その名は時間管理局

 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。
 「五十嵐、お前は家系をどう思う?」
 毎度毎度、変ななぞなぞ。
 「大学とか政治家とか・・・あ、財閥とか。」
 「ブー。ある俳優が消された。何者かによってだ。差異が現れたのは『伝の国』。お前が、『通常生活保障』差別で困っている男を助けた次元だ。1940年生まれの、その俳優秋野政男は、芸能人一家の家系で、俳優・映画監督で活躍した。データベースでは、2018年に没しているが、3026年の『伝の国』の伝記では何故か1999年に没したことになっている。それが差異だ。」
 「暗殺、ですか。シッパーが関与していますね。」

 MRIに似た移送装置の睡眠学習によると、非常にTVや映画への貢献度が大きく、左翼系の組織に、その『口』を疎んじられていた。
 成程。彼一人封じ込んだところで歴史が大きく動くとは思えないが、気に入らない人間には『葬り去りたい』願望が強く、それを利用されたか。
 映画は思想と遠く無い位置関係だ。秋野の前にも不審死した映画監督がいたようだ。

 1999年。『伝の国』。
 世は次世紀を迎えるに当たって流言飛語が飛び交っていた。
 暗殺されたと思しき4月1日に時間軸を合わせ、俺は様子を伺った。
 まだ、何も起こっていない。そうか。夜だ。
 睡眠学習によると、差異が生じた伝記では、4月2日に自宅近くで倒れているのを家人が発見している。
 午後9時。秋野家近く。
 機関銃を持った、2人の男。明らかに未来人だ。
 「反社と契約したか?それとも政治家か?」
 男達が振り向いたので、俺はわざと逃げた。
 墓地があった。都合がいい。お互いにな。
 男達は、機関銃をぶっ放した。
 俺は『イリュージョン』で機関銃を消した。
 そして、『見えない鎖』で2人の体を拘束した上で、未来の『保安檻』に2人を送った。
 動機は、いずれ判明するだろうが、俺の仕事じゃない。

 3026年。午後5時。時間管理局。
 「秋野は亡くなった。予定通りの時間でね。『伝の国』の伝記が戻ったんだ。名優の冥福を祈ろう。」
 ボスにしては、珍しいと思いながらも、俺は一緒に黙祷をした。

 午後7時。帰宅すると、かな子がいない。
 気配を感じて、両手で真剣を受け止めた。
 「お見事!真剣白刃取り!!今夜はサービスしてあげるね。豚汁付きよ。」
 そっちか、と思った瞬間、頭に木刀が当たった。
 「いて。何すんだよぉ。」

 「大丈夫。これからイヤしてあげるから。」

 このツンデレ、何とかならないかなあ。

 ―完―

 ※津川雅彦(つがわ まさひこ、1940-2018)は、京都出身の日本を代表する俳優・映画監督で、芸能一家に生まれ『狂った果実』でデビュー、映画・ドラマで幅広く活躍し、監督作ではマキノ雅彦名義も使用、2018年に78歳で死去しました。
 ※民主党や日本教職員組合を批判し、自民党(特に清和政策研究会)を支持するなど保守的な政治姿勢を示しました。
 ※大江健三郎を「反日分子」と批判し、山田洋次監督のような左翼的とされる監督が日本映画をダメにしたと発言するなど、文化人への批判も行いました。
 『たかじんのそこまで言って委員会』では、田嶋陽子などのリベラル系パネリストと激しく意見が衝突していました。
 ※映画『極道の妻たち』でA級戦犯を演じることについて、質問した記者に反論するなど、自身の役柄や政治的スタンスに関する対立もありました。