============== これは、勿論フィクションです。 =======
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。
午前9時。時間管理局。
出勤するなり、ボスは言った。もう力石だと、ばれてるが、変な仮面を着けている。
もう知らん振りするしかない。
「五十嵐、お前は・・・お前、逆恨みをどう思う?」
「理不尽ですね。大抵の場合、思い込みです。イジメに繋がる場合も、それ以上も・・・。」
「それ以上、だな。差異が生じたのは、『海の国』。スイカ割りをしていた敏江親子と出逢った次元だ。時間軸は1999年。ある人気歌手の実母が殺された。犯人は、歌手の母の再婚相手の弟、即ち、義弟だ。義弟は、体のハンディキャップがあるので、歌手の実母夫婦から反対されていた。そして、逆恨みした義弟は婚約解消への逆恨みから、歌手の母を殺害、自身も山中で自殺した。ここまでが、データベースにある真実だ。ところが、年鑑が書き変わった。その義弟が行方不明のままで、3026年の今日、似た人物が目撃されている。」
「ファイナルアンサー。」
俺は、MRIに似た移送装置に寝転がった。コートがあった。
まだ、寒い時期か?
睡眠学習によると、その歌手の人気は、特に若い者に高かった。
それだけに、ファンは泣き崩れた。幾らハンディキャップがあって破談になったとは言え、殺害に至ったのはやり過ぎだ。自殺してしまっていたら、怒りの矛先がない。
1999年3月17日。午後2時。『海の国』。
義弟が自殺した、とされる山中。
義弟を確認した直後、声が聞こえた。
「万華鏡。まさか、自殺幇助か?それが時間警察のやることか?」
挑発しているのは、いつかのオンナだ。
「ああ、文字通り、お役御免にして貰いたいね。でも、俺の仕事は『時間の調整』だ。そういうお前は同情で助ける訳ではあるまい。3026年に連れて行かれた人間は、ロボットのように、言う通りに行動する。そういう『人体実験』だよな。お前らに道徳や宗教心はあるまい。」
俺が話している間に、敏江がオンナにしがみついていた。
「今よ!」
俺は、迷わずオンナを『保安檻』に送った。
俺は、義弟に背を向け、敏江の肩を抱いて、麓に跳んだ。
「負けないで。私達がついているから。」
そう言って、敏江は俺の目の前から消えた。
頼もしい言葉だ。
3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
ボスは来なかった。
午後7時。五十嵐家。
帰宅すると、鼻歌を歌いながら、かな子は掃除をしていた。
腕に何かある。
「骨董品屋で見付けたの、リストバンド。似合う?」
「ああ、似合うよ。」
力石は、どこで見付けたのだろう?
まあ、いい。
当該歌手は終生歌い続けたという。
それだけでも、救いだ。
―完―
※安室奈美恵実母殺害事件(あむろなみえじつぼさつがいじけん)は、1999年(平成11年)3月17日、沖縄県国頭郡大宜味村で、歌手の安室奈美恵の実母がその義弟によって殺害された事件である。
※事件概要
※1999年3月17日午前10時40分ごろ、歌手の安室奈美恵(当時21歳、以下安室と表記)の実母(当時48歳)が再婚相手の弟である義弟(当時44歳。安室との血縁関係はない)に車で轢かれたあとにナタで殴られる事件が発生。実母は沖縄県立北部病院に搬送されたが、午前11時48分に死亡が確認された。義弟は事件から4時間後に山中で死亡しているところを発見された。農薬による服毒自殺だった。
※義弟は県内に住む40代女性と交際していたが、自身の身体的・経済的な制約から、兄を含む実母夫婦から交際に反対されており、それが原因で女性と破局することになったため、逆恨みで犯行に及んだのではないかと当時の報道で明らかにされている。その後の会見では義弟の犯行について、夫は実は自身を狙っていたこと、実母は巻き添えになっただけであったことが語られている。


