その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。もう力石だと、ばれてるが、変な仮面を着けている。
 もう知らん振りするしかない。
 「五十嵐、お前は・・・お前、伝統芸能は好きか?」
 「はい。」
 「ファイナルアンサー?」
 「ファイナルアンサー。」
 「実は、私も嫌いではない。多次元を渡ったお前には記憶にあるだろうが、複数の次元で『歌舞伎』という伝統芸能がある。差異が生じたのは、『話の国』。お前が、時の反対勢力から国のトップを守った次元だ。この次元にも、『歌舞伎』なる伝統芸能があった。時間軸が1986年の頃、若手の歌舞伎俳優が『エターナル歌舞伎』を始めた。これが大当たりして、後に『エターナル歌舞伎Ⅱ』が始まった。そして、やはり大盛況だった。若者に古典芸能が受け入れられたのだ。ここからが差異だ。『話の国』の年鑑によると、時間軸が2005年12月2日。『エターナル歌舞伎』に事故が起きた。主演俳優が上演中、何故か『見せ場』の『宙吊り』の最中、ワイヤーが切れて、落下。即死になったからだ。判るな、どういうことか。」
 「大衆の面前で殺人を犯したんですね、シッパーは。許せない。」

 MRIに似た移送装置に寝転ぶ時、何故か、コートでなく黒子衣装があった。
 そうか、そういうことか。
 睡眠学習によると、差異が起こる歴史でない正史では、主演俳優のスキャンダルもあって、『エターナル歌舞伎』は観られなくなったようだが、伝統芸能の歴史は大きく変わった。

 2005年12月2日。『話の国』。ネオ演舞場。
 俺は、舞台地下のコントロールエリアにいた。
 配電盤を弄ろうとするヤカラがいた。
 腕時計を通じて、俺の能に指令が来た。
 「万華鏡。舞台は我々が何とかする。地下の方を頼む。」
 力石、いや、ボスの声だ。
 ボスと、俺の仲間達に『上』は任せて、俺は、狭い空間の中、シッパーの手下を麻痺させながら、『保安檻』に送った。
 配電盤を確認し、潜む奴がいないことを確認してから、俺は、舞台袖に急いだ。
 蒔が降りた。
 力石と俺の仲間達は消えた。
 そして、俺も。

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 力石、いや、ボスは来なかった。

 午後7時。五十嵐家。
 かな子は、おやつを食べていた。
 「夕食前だぞ。」
 「これね、『歌舞伎揚げ』って言うんですって。なんて変な名前。お茶漬けにしよう。あなたもお茶漬けにする?」
 「お茶漬けはいいけど、普通のお茶漬けがいいな。」
 「OK!!」

 何か変だ。

 ―完―

 ※※スーパー歌舞伎(スーパーかぶき)は、三代目市川猿之助が1986年に始めた、古典芸能化した歌舞伎とは異なる演出による現代風歌舞伎。新橋演舞場などで上演されることが多い。第1作は梅原猛の脚本による『ヤマトタケル』であった。

 ※特徴
 ※3代目猿之助は、スーパー歌舞伎創作以前から宙乗りや派手な立ち回りなどエンターテイメント要素の強い「猿之助歌舞伎」を得意としたが、歌舞伎ファン以外に話題を広げた一方で、一部の保守的な論客からは酷評された。

 ※スーパー歌舞伎ではさらに古典歌舞伎の踊りや立ち回り、見得、ケレン(観客を驚かせるような演出)、隈取り、下座音楽といった演出法や演技術を意識的に取り入れる一方、中国の古典や日本の古代神話など、従来の歌舞伎の枠にとらわれない題材を脚本化した。

 ※猿之助はスーパー歌舞伎の特徴のひとつとして「真に現代人の胸に迫る物語性」を挙げ、壮大で骨太な物語が基調となっている。制作に当たっては現代劇や京劇など多ジャンルの出演者やスタッフを取り入れて創作され、煌びやかな衣装と最新の照明や舞台装置、雄大な劇伴音楽などで世界観を作り込む、現代劇と古典歌舞伎の融合的作品群である。

 ※スーパー歌舞伎(あるいはスーパー歌舞伎に代表される猿之助歌舞伎)は「ストーリー(Story)」「スピード(Speed)」「スペクタクル(Spectacle)」の「3S」を重視することを特徴とした。すなわち、先述の「真に現代人の胸に迫る物語性」、「メリハリのあるテンポ」、「宙乗りや早替りなどの視覚的な見せ方」といった従来の歌舞伎や新歌舞伎作品にはなかった新しい要素を持った歌舞伎作品群である。
 (Wikipediaより)