その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。もう力石だと、ばれてるが、変な仮面を着けている。
 もう知らん振りするしかない。
 「五十嵐、お前は・・・お前、風船は好きか?冒険は好きか?」
 「風船は好きです。冒険は・・・。」
 「嫌いなら、万華鏡になっていないか。今回の差異も、お騒がせ系だな。差異が生じた場所は、『野の国』。お前と、次元管理局のオンナ達が、敵のオンナ達と対峙した次元だ。時間軸は、1992年11月24日。音楽家でも経営者でもあった冒険家須々木謙吉が、気球に乗って、行方不明になった。ここまでがデータベースだ。ところが、書き変わった『野の国』の年鑑によると、3026年に、『風船おじさんF』として大道芸人になっている。そっとしてやりたいのはやまやまだが、こんなこと出来るのは、シッパーしかいない。」

 MRIに似た移送装置に横になった。
 睡眠学習によると、3つの事件に関わって、歴史の教科書に出てくる人物だ。文字通り『とんでるおじさん』だった。『ビニール風船』で大洋を横断するなんて、狂気の沙汰だ。ヨットで大洋を横断した人はヒーローになったが、帰還出来なければ、冒険家として讃えられない。マスコミは報じていないが、『危険な国』の干渉があれば、撃ち落とされていたかも知れない。

 1992年11月23日。『野の国』。
 俺は、支援者と野宿している須々木を発見した。
 タイムリープを数回繰り返し、空から海上に円盤が近づいて来た。
 俺は、現れた、もう一機の円盤に乗り込んだ。
 空中戦が始まったが、俺の出番はない。
 やがて、局長は、敵円盤を撃ち落とした。
 「今だ、万華鏡。」
 俺は念じて、向こうの円盤の乗り組み員を『保安檻』に送った。
 そして、局長は、円盤をどこかへ跳ばした。
 この円盤の弱点は、生体反応がある無機物を移動させられないことだ。
 この円盤自体は、生き物を乗せて移動出来るのに。
 致命的だが、今は、そうも言っていられない。

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 局長とボスがやってきた。
 「あの機体は、まだ試作機のままなんだ。何とか決戦に間に合えば、本格装備のもので闘える。」
 「だから、出動人員は絞り込んでいるんだ。」とボスが横から言った。
 「了解しました。」

 面倒くさいが、電車で帰る。
 前は、知らないから、お互い「サラリーマン」を演じてよもやま話をしていた。
 まさか、局長なんて。

 午後7時。五十嵐家。
 帰宅して、ぎょっとした。
 かな子の頭に、妙なものがあったからだ。
 「あ、これ?今、流行ってるの、バルーンヘアピン。」
 局長と力石と俺は、顔を見合わせた。
 まさか・・・。

 ―完―

 ※1992年11月23日、鈴木は、ヘリウム入りの風船を多数付けたゴンドラ「ファンタジー号」の試験飛行を琵琶湖畔で行うとした。前日の22日夜から風船を守るため、琵琶湖畔で野宿していた。

 ※試験飛行の場には、電話で呼び出された当時同志社大学教授の三輪茂雄と学生7人、朝日新聞の近江八幡通信局長、前日から密着していたフジテレビのワイドショー『おはよう!ナイスデイ』取材班、そして鈴木の支持者らが集まった。

 ※この日の名目はあくまで200メートルあるいは300メートルの上昇実験ということだった。運輸省(現:国土交通省)は装備の不足を理由に安全性に疑問があることから飛行許可の申請は受理しておらず、あくまで地上に係留したままの試験飛行という条件で受理していた。しかし実際には「僕がもし、太平洋横断を決行したら、マスコミが大騒ぎして家に押しかけてくると思う」と家族にホテルに宿泊するよう事前に手配しており、鈴木は密かにアメリカまでの飛行を強行しようと考えていた。ホテルには12月3日頃まで待っていればいいとも言っていたという。鈴木は3人の娘にはアメリカ土産に何がいいかと聞いて、希望の品を書いたメモをポケットに入れて旅立っている。

 ※120メートルまで上昇して一旦は地上に降りたものの、16時20分頃「行ってきます」と言ってファンタジー号を係留していたロープを外した。「どこへ行くんだ」という三輪に「アメリカですよ」との言葉を返し、重りの焼酎の瓶を地上に落とし周囲の制止を振り切って、アメリカネバダ州サンド・マウンテンを目指して出発した。見物人たちは呆れて、誰も鈴木に手を振らなかった。

 ※飽くまでも私見です。誰も口にしないけれど、私は某国に撃墜されたのだと思います。そして、「鮫の餌食」になったのではなく、拉致され利用されたのではないか、と思います。『風船爆弾研究家』として。