============== これは、勿論フィクションです。 =======
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。
午前9時。時間管理局。
出勤するなり、ボスは言った。もう力石だと、ばれてるが、変な仮面を着けている。
もう知らん振りするしかない。
「五十嵐、お前は・・・神頼みする方か?」
「苦しい時の神頼み、ですか。実は何度もあります。まさか?」
「そのまさか、だ。差異の場所は、『進の国』。お前がTV局に乗り込んだ次元だ。暴走報道の公共放送局だ。ところで、時間軸は、2017年12月7日。留岡八幡宮で、当時の宮司が、前前代の宮司に切りつけられる事件があった。切りつけられた宮司は傷を負ったが、切りつけた方は、自殺し、亡くなった。前代未聞の事件だった。ここまでが、『進の国』のデータベースだ。ところが、年鑑が書き変わった。」
「まさか?」
「そのまさか、だ。傷害ではなく殺人になった。凶器の日本刀を入れ替えた可能性があるが、当該の日本刀はみつから無かった。」
MRIに似た移送装置には、コートが置いてあった。
睡眠学習によると、留岡八幡宮は有名な、大きな神社で、由緒正しい神社として知られていた。切りつけ宮司は、商売を広げる一方で、放蕩も始めた。
氏子の会の意見もあって、父である、先代宮司は、切りつけ宮司を解任し、兄弟を新宮司にした。激昂した、切りつけ宮司は、無理心中しようとした。
なんとまあ、神職とは思えない所業だ。
2017年12月7日。『進の国』。留岡八幡宮。
切りつけ宮司が日本刀を持って、境内を歩く。
それを追って、現れた男が持っていた日本刀を、切りつけ宮司に念力で送った。
だが、当該日本刀は消えた。
俺が消したからだ。
「やはり、来たか。お前が万華鏡か。」
「いかにもたこにも。」
10人同時に斬りかかってきた。
流石に避けきれない、と思ったら、全員、フリーズした。
ミカだった。
「今よ、にいさん。」
「にいさん」の言葉に引っかかったが、俺は、『保安檻』に奴らを送った。
ミカは、切りつけ宮司の記憶を消してから、どこかへ跳んだ。
俺も、すぐさま姿を消した。
キョロキョロする彼を見て、「邪魔したな。」と呟き、未来に跳んだ。
3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
「切りつけた方は、自業自得だからな。気にするな。」とだけ言って、去って行った。
午後7時。五十嵐家。
やっぱり、ミカがいた。
「今日ね、ミカちゃんが、お守り届けてくれたの。安産のお守り。」
「・・・どこの?」
「留岡八幡宮。『進の国』の。」
ネクタイを緩める俺の手はフリーズした。
―完―
※2017年12月7日、富岡八幡宮第21代宮司(以下、A)が、神社近郊の路上で前々任の第20代宮司であった実弟(以下、X)に日本刀で斬りつけられ、殺害された。Aが搭乗していた車の運転手も、共謀していたと思われるXの妻(以下、Y)などに追跡され、傷害を負ったが命に別状はなかった。その後、XはYを神社敷地内で殺害した後、自殺した。
※富岡八幡宮は勧進相撲発祥の地として広く知られており、地元民から八幡様の名称で呼ばれている由緒ある神社だった。富岡八幡宮が観光スポットとして年間30万人の集客力を見せ、数十億円の集金力がある金満な経済地盤があり、不動産収入でも隣の商業地やマンションから個別に、数千万の土地代が入ってくる裕福ぶりだった。別表神社の序列にも列挙されている。
※1995年、Xは、実父である第19代宮司(以下、19代目)から、地位を受け継ぎ、同神社の第20代宮司に就任した。Xは参拝者を広く呼び込むために、勧進相撲発祥地であり、横綱力士碑が建立されていることなどを利用し、新横綱の土俵入りを記念する興行などを神社で行い、来訪者を集めていた。その一方でXは、神社の賽銭などを使って、銀座などのクラブで飲み歩いたり、ラスベガスのカジノで賭博を日常的に行ったりするなどの放蕩行為が問題視されていた。
※これを見兼ねた氏子の会、モラロジー江東事務所(事件後解散)が19代目に捉し2001年にXの宮司の職階が解かれ、19代目が宮司に復帰した。この頃から、Xは、解任されたことへの逆恨みから、怪文書を送りつけるようになり、2006年には「積年の恨み。地獄へ送る」と脅迫的な内容の葉書を実姉であるAに送付したことで、警視庁に逮捕された。
※2010年、19代目は高齢のため宮司の職を退き、後継者として禰宜であったAを指名したが、神社本庁からの返答はなく、事実上宮司就任拒否の状態が続いたため、長期にわたって宮司が存在しない空位になった。A側も弁護士を介入させ、就任拒否に抗弁するも突き返されるなど、話し合いが一向に進展しないことに業を煮やし、2017年9月28日、同神社の責任役員会は、神社本庁より脱退した。
※これにより、Aが正式に第21代宮司に就いたものの、この離脱騒動の最中で、Xは腹を立て、Yの名義で神社本庁に告発状を送付するなどの嫌がらせを、神社の顧問弁護士から警告を受けるまで繰り返した。Aは、Xが書いた中傷文を自らのブログで公開し、その内容について「驚く事に、私の父親と母親と私の誹謗中傷を超えた創作妄想物語」と評し、彼の言動についても「嫌悪感以上の異常さを感じました」と述べている。
※Xは、事件を引き起こす直前にも、「私は死後も怨霊となり、永遠にたたり続ける」など、同じく脅迫めいた文章を交えて、自分の息子を宮司に指名することを要求する脅迫文を、学校や責任役員の自宅に送り付けていた。事件直前、Xは約2,800通の手紙を、全国の神社関係者や氏子達やダイヤモンド社に郵送していた。手紙には被害者Aへの中傷及び追放の要求、そして「死後においてもこの世に残り、怨霊となり、祟り続ける」などの脅迫が書かれていた。


