その名は時間管理局


 ============== これは、勿論フィクションです。 =======
 俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋をしていたが、時間管理局に『異動』になった。俺の使命は、この未来世界(3026年)から、所謂タイムリープをして逃げた犯人を追って、『悪さ』をしていた場合、逮捕し、局に移送させることだった。殺しはしないが、痛め付けること位は許されている。
 今の俺は、『異次元のパトロール警官』。次元の『調整係』だ。

 午前9時。時間管理局。
 出勤するなり、ボスは言った。もう力石だと、ばれてるが、変な仮面を着けている。
 もう知らん振りするしかない。
 「五十嵐、お前は・・・判子は好きか?」
 「嫌いじゃないけど・・・それこそ『前世紀の遺物』でしょ。ここもスタンプレスだし。あ、ひょっとして、差異?」
 「お前も賢くなったな。」
 判るよ、それくらい。
 「ありがとうございます。で?」
 「うん。差異が生じたのは、『印の国』。お前がマスコミと隣国との関係を暴いた次元だ。時間軸だが、1989年。他の次元でもそうなんだが、天王が亡くなり、大騒ぎになった。慣習として、天王が亡くなると、『こよみ』も変わる。『印の国』暦は改元される。そこで重要なのが、調印だ。同年1月7日には、『改元調印式』が行われた。ここまでが、データベースにある真実だ。ところが、年鑑が書き変わった。王室所有の判子が盗まれ、代用の判子を用意するのに一週間かかった。政府も必死だったろうな。お陰で、元号が無い期間が出来た。まあ、書類上は溯って日付は調整されたが、国民に、新しい元号を衆知させる迄に空白があった。つまり、儀式として調印して初めて改元になるわけだな。」
 「シッパーが盗んだって、ことですか。本来の判子を。」
 「そういうことだ。」

 MRIに似た移送装置にコートがあるのを確認の上、俺は睡眠学習で予習した。
 他国、特に隣国からは干渉され続けたが、国民は、『心のシンボル』として、王室を意識してきた。詰まり、天王の崩御は、ショッキングな出来事で、改元は、それに比して明るいニュースだった。その希望を砕いたのが、シッパーってことだ。何てやつらだ・・・って、そういうヤカラか。

 1989年1月6日。政府。王宮庁。
 職員が忙しく働く中、準備室に移送中に、賊が現れた。
 姿を消している。それで発覚しなかったのか。
 そこへ、『墨汁銃』で墨汁を撃った者がいた。
 「神様、今です。」俺を神様と呼ぶ人間は2人しかいない。敏江か、クリスチャンの看護師悦子だ。今の声は、敏江だ。
 俺は、姿を消したまま、シッパーを『保安檻』に送った。
 ボスが、助っ人に呼んだのだろう。
 俺は、そこから一番近い公園に敏江を跳ばし、俺も跳んだ。
 約5分間、敏江はキスをしてきた。
 「子供、出来るんですってね。神様を独り占めしちゃいけないわ。あの『しとね』は一生大事にします。王宮庁に行く前に確認しましたが今跳ばしたシッパー以外には、いないようです。決戦の時は呼んで下さいね。」
 「ああ、頼りにしているよ、敏江。」
 敏江は、すぐに消えた。
 俺も未来に帰った。

 3026年某月某日。午後5時。時間管理局。
 俺はタイムレコーダーシステムに体内時計をスキャンさせた。
 アラームは鳴らない。
 「再会は嬉しいか、五十嵐。」
 「え・・・まあ。あ、今回の敵は一人でした。」
 「まあ、判子盗むだけだからなあ。録音、しとけよ。」
 そう言って、ボスは去った。

 午後7時。五十嵐家。
 帰宅すると、かな子はカレンダーに助っ人の名前を書き込んでいた。
 「浮気していないのは、判っている。いつか決戦が終るまでは、『ぶら下がりもの』は、私だけのものよ。」

 意味深だなあ。

 ―完―

 ※昭和から平成への改元では、昭和天皇が崩御された昭和64(1989)年1月7日に公布された「元号を改める政令」(昭和64年政令第1号)で、新しい元号を「平成」とすること、及びこの政令が公布の日の翌日から施行されることが規定され、1月8日から、元号が平成となりました。
 ※当時は、年越しを『行く年来る年』という番組をNHKも民放も『おごそかな時間』で送っていました。民放もCMをなるべく挟まないようにしていました。
 個人的感想ですが、その一週間後、またCMのない放送時間がありました。
 それが、昭和天皇の崩御による『自粛』でした。
 平成・令和生まれの人間には、判らないでしょうね。