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じっと目を見つめて話を聞いてくれるのが
ものすごく嬉しくて、
どうにかなってしまいそうだった。

忘年会シーズン。
街はイルミネーションできらきらと輝いて賑やかな夜だった。

会社にいるときはいつもスーツだったから
はじめて見る私服姿にドキッとした。
こんなことでいちいち意識していたら、心臓がもたない。

ひとしきり話した。
はじめて一緒に飲んだお酒は、あまりに美味しく感じた。

大して強くないのに、美味しいと感じたのはきっと
昨日夜遅くまで働きすぎたせい。

「最近はどうですか。嫌な思いしてないですか。」

「間宮さんが出向されてから、
課長も急に異動して、もうみんなてんやわんやです。」

「なんか責任感じますね、僕のせいじゃないはずですけど。」

間宮さんは
私の2つ上の歳なのに今でさえ敬語を全く崩さない。

その距離感がどうももどかしくて、
これがわざとならなんて計算高いんだろう。
なんて、隙あらばあるはずない妄想をしてしまう。


「出向自体は別によかったんですけど
心残りだったんですよ、花木さんを置いていくのは」

「、え?」

「ほら、なんかいつも遅くまで残ってるし。
 教育担当は機能してないし。」

「あはは、間宮さんよく見てくださってましたよね。」

「新卒をことごとく使い物にならなくする部署なので。花木さんだから成り立ってるけど、酷い体制ですよ、本当。」

ああ、なんかもしかして褒められてるのかな。
なんて思ったら嬉しくて嬉しくて、
気がついたら次から次へとグラスが空いていった。