【書籍化】巻き込まれ転移したアラサー社畜、転移先が滅びかけでした~快適ライフを求めて万能クラフトと解析眼で異世界再生に乗り出します~

「ほぉぉ。やはりスキルは便利なもんじゃな」
「昔、ポンっと作れるクラフト系スキルは職人たちが嫌悪しておったが、こんな世界になってしまえばどれだけ有用なスキルか、ようわかるわい」
「専門知識があるかないかは、だいぶん違うと思いますよ。それに、細かい部分がやっぱり難しいですしね」

 この数日でドワーフ族が増えた。
 岩山の帰りから始まり、レイアと休憩小屋の浄化再付与に行けば、そこでもドワーフを発見。
 さらに数日後も、今度は自力でアリューケまで来た一行が合流。
 あっという間に百二十ほどのドワーフ族がアリューケへと集まった。

 ディノさんが暮らしていた集落のドワーフは、あと十数人ほどらしい。彼の兄でレイアのおじいさんの親友であるデュノさんがまだ……。

 とまぁ、そんな感じでドワーフ族の仮住まいをクラフトしまくった。
 魔王が現れる以前、彼らドワーフ族は穴を掘って暮らしていたという。ファンタジーでは定番な話だ。
 だけど今はそれも難しい。
 穴であっても、汚染された魔素が入って来るからだ。
 まぁ入り口をしっかり扉で塞いで、レイアみたいな司祭にその扉を浄化してもらうか、土地神様から貰う浄化石を設置すればいいんだろうけど。

「それが可能ではあるけれど……」
「確かにわしらは山肌に穴を掘り、そこを住居として構えたい……という願いはある。だが他の町の土地神様を起こさねばならぬのだろう? わしらドワーフ族にとっても、土地神様は必要な存在だ」
「んだ。土地神様に祈って、神力を取り戻してもらうためだぁ。喜んで空の下で暮らすさね」
「すみません。新しい町の方では、ドワーフ族が快適に暮らせるように工夫しますので」

 穴を掘ってそこを住居として使う。
 平地でもそれは可能だ。
 山肌を掘るなら、真っ直ぐ奥に掘り進めればいい。
 平地であれば、地下に向かって掘り進めればいいだけだ!

 ちょっと深めに掘れば、地上では畑を耕せる。土地の有効活用だろ?

 そしてドワーフ族が来たことで、アリューケの開拓も加速した。
 アッパーおじさんとカーラ、ユタにユラ、更にゴー助が炎で雪を溶かし、ドワーフ族が瓦礫を運ぶ。
 彼らは見た目通り、パワーがあった。
 数十キロもあるような瓦礫を軽々と持ち上げ、一カ所にまとめてくれる。
 俺はそれをインベントリに入れるだけ。

 わずか半月たらずで、アリューケの町の三割ほどが更地になった。

「かなり頑張ったのに、まだ三割か」
「それだけ大きな町ってことよ」
「そうだぜ、シド。ゼザーレの首都とそう変わらない広さがあるんだからさ」
「え、首都ってこんなものだったのか」

 アルトやエリサ曰く、首都の建物は縦に縦に伸び、戸建てより集合住宅が多いとのこと。
 狭い範囲で大勢が暮らそうとすると、行きつく先は異世界も地球も同じってことか。

「と言ってもぉ、五階建てが限界みたいだけどねぇ」
「ふぅん。でも俺がイメージしていた異世界の街並みとは違うな。俺の想像してたのは、アリューケみたいな感じだし」
「まぁ昔は、庶民の家といえば二階建ての戸建てだったんだけどな。今でも、魔素に飲まれた町が残ってるけど、そういうところはまさにシドが言った通りの街並みさ。もう人が住んでいないという点を覗いてな」

 そうか……。大神の加護を得られた二カ所以外は、今は住む人もいないゴーストタウンと化しているのか。
 もったいないな。そこに魔導装置を置ければ……。

 いやいや。今は古代魔法都市の町を復活させることを考えよう。
 俺はひとりしかいないんだ。あちこち同時にはできないのだから。

 積雪量も減って来た今日この頃。
 採掘好きドワーフのおかげで、珪砂と石灰石も十分に取れるようになった。
 ガラスハウスも増えたが、増やし過ぎないようにしている。
 雪が溶ければ、直接太陽の下で野菜を栽培したい。
 まぁガラスハウスは残したまま利用するけれど。

 そして、俺たちはついに次の町へ向かう話し合いを始めた。
 大人数で行くわけにもいかない。魔導装置を修繕して、ドワーフ族が暮らせるようにするには何日もかかるだろう。
 百人越えで行っても、困るのは食糧だ。

「まぁ俺が行くのは当たり前として」
「はい! わ、私も一緒にいくわっ」
「テヤンディ!」
『ワタクシモオ供シマス』
「私も行くわ。北東の町なら、以前住んでいたもの」

 レイア、ユタ、ユラ、ゴー助か。

「オレも行こう」
「兄貴が行くならあたしも行く! あたしも志導と一緒に」
「ダメだ。パティは残れ」
「なんでだよ! いいじゃん、あたしだって少しは役に立つもんっ」

 バサラはみんなのために、よく狩りへ出かける。
 パティはバサラと二人暮らしだけど、実質、ひとり暮らしに近い。
 寂しいに決まっている。

「バサラ、ありがとう。でもこれ以上の護衛は必要ないよ。ユタはもちろん、ユラもいるしね」
『主サマ、ワタクシハ』
「いや、お前の実力はまだよく知らないし」
『ガーン』

 擬音を自分で言うな。

『ア、シカシレイア様ノ名前モ呼バレテイマセンネ。オ仲間デス』
「レイアは浄化魔法が使えるからもちろん、頼もしい仲間だ。魔法だけでなく、剣の腕も一流だしね」
「そ、そんなことないわよ。で、でも頼りにされてるなら、頑張るわ」
『ガーン。ワタクシダケ役タタズ!? コンナニ……コンナニ尽クシテイルノニ酷イ。遊ビダッタノネ!』
 
 ……また変なキャラになってるぞ。
 あ、アルトの奴が笑ってやがる。

「アルト。お前か、ゴー助に変なことを教えているのは」
「え、何のこと?」
『ハイ。アルト様ハ心ノ師デス』
「アルトォ?」
「な、なんですぐバラすんだよ!」

 ゴー助は素直だからな。
 まぁだからこそ、変なことを教わって覚えてしまうわけだけども。