「見つけた……」
『見つけた、ですの』
午前中にガラスハウスの設置を終わらせ、午後から鉄を探してある場所へとやって来た。
ニーナ曰く、この通りには鍛冶屋が数軒あった場所だという。
ただ、どの建物も保存魔法がかかっていなかったようで、原型を留めたものが一軒もない。
そんな場所で、朝から獣人族の若者たちと瓦礫を撤去しながら鉄集めをしていて見つけたのだ。
「やっと見つかったのね、魔導ゴーレム」
「あぁ、やっとだよ」
インベントリに大きな瓦礫を収納すると、その下に魔導ゴーレムを見つけた。
頭は右側がつぶれ、右腕もなし。胴体もあちこちべこべこだし、これ、動くのか?
いや、なんとしても動かして見せる。
そうじゃなきゃ、古代魔法王朝への道が遠のくんだ。
少しでも近づけるために、こいつは必ず修理する!
「志導殿。それを探していたのか?」
「あぁ、そうなんだよバサラ。あ、鉄はどうだい?」
「錆びているものも多いが、精錬された塊もいくつか見つかった」
おぉ、インゴットか。そのまま自由にクラフト材料として使えるな。
他にも売り物だったのだろう剣や鎧――つまり武具も見つかった。もちろん、調理器具なんかもだ。
まぁほとんど錆びてるけど、落とせば十分使える。
魔導ゴーレムもインベントリへ収納し、またちらつき始めた雪の中を教会へと戻った。
まずは先に万能クラフトスキルを使って、鉄の錆取り作業だ。
「渡錬くぅん。できれば大きなお鍋をひとつだけでもクラフトしてもらっていい?」
「わかったよ、エリサ」
「志導くん。大きすぎる鍋だと火の通りが遅くなっちゃうし、少し大きめなのを二つにした方がいいと思うの」
「なるほど。確かに大量の水を入れれば、沸くのに時間がかかるもんな」
ということで、鉄鍋を二つクラフトする。左右の持ち手は木で覆って、火傷しないよう対策もした。
夜はさっそくその鍋を使ってスープを作ってくれるそうだ。
その間に全部の錆取りを済ませ、包丁と鍋は各家庭二本ずつとフライパンひとつをクラフトする。それに合わせて木材でも作れる調理器具とお皿のセットも用意した。
「あと、武器の錆取りもしたんだけど。バサラたちは使えるよね?」
「あ、あぁ。見様見真似だから、アルトやレイアほど上手くは使えないが」
「ほとんど我流なのか。へぇ、大したものだ。レイアやアルトは、人に教えられたりとかは?」
「うぅん。俺も我流だしなぁ。だったらレイアの方がまだいいと思う。剣術マスタリーのスキルも、俺は『Ⅰ』だけどレイアは『Ⅱ』だしさ」
スキル的にもレイアの方が上位なのか。
「わ、私? でも、日が暮れてからしか……」
「いや、その方が俺たちも助かる。昼間は畑仕事もしなきゃならないしな。少しでもいい。基本動作を学ばせてくれ」
「だってさ、レイア」
「うぅん。そう言うなら……。あ、ねぇ志導くん」
ん? もしかして俺も一緒に学べっていうんじゃ。
「ミッションにしましょうよ」
「ミッション? ふぅむ、なるほど。その方が効率が上がるかもな」
今夜からさっそく、ミッション形式での特訓をすることになった。
俺は俺でやることもあるし、剣術を学びたいという人に対してミッションを課しておく。
【レイアから基本の型を三十分学ぶ】
【剣の素振りを三十分続ける】
それから、アルトの意見で【剣の手入れをする】を付け加えた。
手入れをすることで、剣が自分の手に馴染んでくるんだそうだ。
よくわからん。
そして俺の目の前には壊れたゴーレムと、都市の門から持ち帰ったゴーレムの頭がある。
修理に必要な素材は解析眼で調べ、もう集めてある。
ミスリル以外にも、水晶や鉄、ガラス、魔石、それに銅もあったが、鍛冶屋の跡地で全部見つかっていた。
『もしかするとこのゴーレムさん、鍛冶屋さんに、修理、してもらおうと思っていたのかもですの』
「修理に必要なものがそこにあると知って、頼みに行こうとしていたのかもな」
『きっとそう、ですの』
そう考えると、この魔導ゴーレムそのものを修理してやりたい気持ちになる。
ただ幸か不幸か、解析眼の結果では潰れた頭の右側にメモリがあって、一度壊れてしまうと修理してもゼロの状態にリセットされてしまうとあった。
「頭はこいつのがあるし、取り換える形で修理しよう」
『はいです』
「じゃ、さっそく」
『あっ』
ん?
『も、もし暴れたら大変なの。だから、ここの魔石を取り外すですの』
「胸のところにある石か。あ、ここがカバーになっているんだな」
魔導ゴーレムの胸というのかな? そこにあたる部分に赤い石がはめ込まれている。
その魔石を囲むようにカバーがあって、開くと簡単に魔石を取り出せた。
『その魔石が、魔導ゴーレムの使う魔法の媒体、ですの』
「あいつらの魔法って、魔石の種類で変わるのか。赤ってことは、炎?」
『です』
魔石を外した後、念のため瓦礫をクラフトしてすっぽり収まるサイズの檻を作った。
その檻の中に入れ、隙間から手を入れてゴーレムの上に乗せる。
「よし。じゃ、修理開始」
インベントリ内の修理素材が、俺の掌から壊れたゴーレムに吸い込まれるようにして出ていく。
実際に俺の手から出てきているわけじゃない。
インベントリ枠が掌と、触れているゴーレムとの間にあるだけだ。
さて、解析眼で見てみよう。
胴の破損回路の修理――完了。破損部分の再構築。
失った右腕――左腕をコピーし、左右逆転をさせ、接続。完了。
頭部の接続――完了。
エネルギーを蓄えるための魔石は無事らしい。よし。
「終わったみたいだ。どうやって起動するのかな?」
質問はそのまま、解析眼への投げかけになる。
起動ボタンは頭の後ろ。触れる際に呪文を唱えると、蓋が開いて、そこにボタンがある――と。
その呪文は……。
「プーオン?」
『プゥーオン、だと思うですの』
「そか。じゃ。んっんっ。『我、命を吹きこみし者なり。我が友、目覚めよ。プゥーオン』」
すると触れていた部分、魔導ゴーレムの頭の後ろが、カード一枚分だけパカっと開いた。
我が友か。
昔の魔術師たちにとって、ゴーレムは友人だったのかな。
開いたそこにはボタンがあって、一度だけ深呼吸してから押す。
ピピッという電子音のようなものが聞こえた。
閉じられていた一つ目が開く。
だ、大丈夫か? 暴走して暴れたりしないだろうか。
まぁ瓦礫の檻の中だし、大丈夫だろうけど。
「おう。起こしたのか」
「あ、アッパーおじさん。いいところへ」
「あ?」
「こいつが暴れたときは、よろしく」
「ひえっ」
『大丈夫、なの。志導お兄ちゃん、ゴーレムさんのお友達になった、ですから』
友達に? あぁ、起動ボタンか。
そんな程度でともだ……ち……あ、れ?
『あっ! 起動するとき、魔力、いっぱい吸われる、です。言い忘れてたです、の。ごめんなさい、ごめん――』
「志導くん!? どうしたの、志導くん!!」
あぁ、そんな謝らなくていいって。
俺を心配そうにのぞき込むニーナ。その後ろにアッパーおじさんがいて、あぁ、レイアまで。
それに……。
瓦礫の檻の中から、寂し気な表情の魔導ゴーレムが俺を見下ろして、い、た……。
『見つけた、ですの』
午前中にガラスハウスの設置を終わらせ、午後から鉄を探してある場所へとやって来た。
ニーナ曰く、この通りには鍛冶屋が数軒あった場所だという。
ただ、どの建物も保存魔法がかかっていなかったようで、原型を留めたものが一軒もない。
そんな場所で、朝から獣人族の若者たちと瓦礫を撤去しながら鉄集めをしていて見つけたのだ。
「やっと見つかったのね、魔導ゴーレム」
「あぁ、やっとだよ」
インベントリに大きな瓦礫を収納すると、その下に魔導ゴーレムを見つけた。
頭は右側がつぶれ、右腕もなし。胴体もあちこちべこべこだし、これ、動くのか?
いや、なんとしても動かして見せる。
そうじゃなきゃ、古代魔法王朝への道が遠のくんだ。
少しでも近づけるために、こいつは必ず修理する!
「志導殿。それを探していたのか?」
「あぁ、そうなんだよバサラ。あ、鉄はどうだい?」
「錆びているものも多いが、精錬された塊もいくつか見つかった」
おぉ、インゴットか。そのまま自由にクラフト材料として使えるな。
他にも売り物だったのだろう剣や鎧――つまり武具も見つかった。もちろん、調理器具なんかもだ。
まぁほとんど錆びてるけど、落とせば十分使える。
魔導ゴーレムもインベントリへ収納し、またちらつき始めた雪の中を教会へと戻った。
まずは先に万能クラフトスキルを使って、鉄の錆取り作業だ。
「渡錬くぅん。できれば大きなお鍋をひとつだけでもクラフトしてもらっていい?」
「わかったよ、エリサ」
「志導くん。大きすぎる鍋だと火の通りが遅くなっちゃうし、少し大きめなのを二つにした方がいいと思うの」
「なるほど。確かに大量の水を入れれば、沸くのに時間がかかるもんな」
ということで、鉄鍋を二つクラフトする。左右の持ち手は木で覆って、火傷しないよう対策もした。
夜はさっそくその鍋を使ってスープを作ってくれるそうだ。
その間に全部の錆取りを済ませ、包丁と鍋は各家庭二本ずつとフライパンひとつをクラフトする。それに合わせて木材でも作れる調理器具とお皿のセットも用意した。
「あと、武器の錆取りもしたんだけど。バサラたちは使えるよね?」
「あ、あぁ。見様見真似だから、アルトやレイアほど上手くは使えないが」
「ほとんど我流なのか。へぇ、大したものだ。レイアやアルトは、人に教えられたりとかは?」
「うぅん。俺も我流だしなぁ。だったらレイアの方がまだいいと思う。剣術マスタリーのスキルも、俺は『Ⅰ』だけどレイアは『Ⅱ』だしさ」
スキル的にもレイアの方が上位なのか。
「わ、私? でも、日が暮れてからしか……」
「いや、その方が俺たちも助かる。昼間は畑仕事もしなきゃならないしな。少しでもいい。基本動作を学ばせてくれ」
「だってさ、レイア」
「うぅん。そう言うなら……。あ、ねぇ志導くん」
ん? もしかして俺も一緒に学べっていうんじゃ。
「ミッションにしましょうよ」
「ミッション? ふぅむ、なるほど。その方が効率が上がるかもな」
今夜からさっそく、ミッション形式での特訓をすることになった。
俺は俺でやることもあるし、剣術を学びたいという人に対してミッションを課しておく。
【レイアから基本の型を三十分学ぶ】
【剣の素振りを三十分続ける】
それから、アルトの意見で【剣の手入れをする】を付け加えた。
手入れをすることで、剣が自分の手に馴染んでくるんだそうだ。
よくわからん。
そして俺の目の前には壊れたゴーレムと、都市の門から持ち帰ったゴーレムの頭がある。
修理に必要な素材は解析眼で調べ、もう集めてある。
ミスリル以外にも、水晶や鉄、ガラス、魔石、それに銅もあったが、鍛冶屋の跡地で全部見つかっていた。
『もしかするとこのゴーレムさん、鍛冶屋さんに、修理、してもらおうと思っていたのかもですの』
「修理に必要なものがそこにあると知って、頼みに行こうとしていたのかもな」
『きっとそう、ですの』
そう考えると、この魔導ゴーレムそのものを修理してやりたい気持ちになる。
ただ幸か不幸か、解析眼の結果では潰れた頭の右側にメモリがあって、一度壊れてしまうと修理してもゼロの状態にリセットされてしまうとあった。
「頭はこいつのがあるし、取り換える形で修理しよう」
『はいです』
「じゃ、さっそく」
『あっ』
ん?
『も、もし暴れたら大変なの。だから、ここの魔石を取り外すですの』
「胸のところにある石か。あ、ここがカバーになっているんだな」
魔導ゴーレムの胸というのかな? そこにあたる部分に赤い石がはめ込まれている。
その魔石を囲むようにカバーがあって、開くと簡単に魔石を取り出せた。
『その魔石が、魔導ゴーレムの使う魔法の媒体、ですの』
「あいつらの魔法って、魔石の種類で変わるのか。赤ってことは、炎?」
『です』
魔石を外した後、念のため瓦礫をクラフトしてすっぽり収まるサイズの檻を作った。
その檻の中に入れ、隙間から手を入れてゴーレムの上に乗せる。
「よし。じゃ、修理開始」
インベントリ内の修理素材が、俺の掌から壊れたゴーレムに吸い込まれるようにして出ていく。
実際に俺の手から出てきているわけじゃない。
インベントリ枠が掌と、触れているゴーレムとの間にあるだけだ。
さて、解析眼で見てみよう。
胴の破損回路の修理――完了。破損部分の再構築。
失った右腕――左腕をコピーし、左右逆転をさせ、接続。完了。
頭部の接続――完了。
エネルギーを蓄えるための魔石は無事らしい。よし。
「終わったみたいだ。どうやって起動するのかな?」
質問はそのまま、解析眼への投げかけになる。
起動ボタンは頭の後ろ。触れる際に呪文を唱えると、蓋が開いて、そこにボタンがある――と。
その呪文は……。
「プーオン?」
『プゥーオン、だと思うですの』
「そか。じゃ。んっんっ。『我、命を吹きこみし者なり。我が友、目覚めよ。プゥーオン』」
すると触れていた部分、魔導ゴーレムの頭の後ろが、カード一枚分だけパカっと開いた。
我が友か。
昔の魔術師たちにとって、ゴーレムは友人だったのかな。
開いたそこにはボタンがあって、一度だけ深呼吸してから押す。
ピピッという電子音のようなものが聞こえた。
閉じられていた一つ目が開く。
だ、大丈夫か? 暴走して暴れたりしないだろうか。
まぁ瓦礫の檻の中だし、大丈夫だろうけど。
「おう。起こしたのか」
「あ、アッパーおじさん。いいところへ」
「あ?」
「こいつが暴れたときは、よろしく」
「ひえっ」
『大丈夫、なの。志導お兄ちゃん、ゴーレムさんのお友達になった、ですから』
友達に? あぁ、起動ボタンか。
そんな程度でともだ……ち……あ、れ?
『あっ! 起動するとき、魔力、いっぱい吸われる、です。言い忘れてたです、の。ごめんなさい、ごめん――』
「志導くん!? どうしたの、志導くん!!」
あぁ、そんな謝らなくていいって。
俺を心配そうにのぞき込むニーナ。その後ろにアッパーおじさんがいて、あぁ、レイアまで。
それに……。
瓦礫の檻の中から、寂し気な表情の魔導ゴーレムが俺を見下ろして、い、た……。



