「じゃあ、子供たちのお世話、よろしくお願いします」
「えぇ、任せてくださいな」
救助された獣人族の中に、子供たちの家族はいなかった。
だけど元々百五十人ほどの小さな里だったこともあり、全員が顔見知り。
内訳は、五十五歳以上が二十四人。二十代の夫婦が三組と、彼らの赤ん坊が三人だ。
『赤ちゃん、かわいいのぉ~』
「あばぁ~」
赤ん坊の頬をつんつんするニーナが、心なしかキラキラしているように見える。
『土地神は、赤ちゃん大好きなの。だからきっと、この子たちは里に残されたです』
「好きって、それは神力に影響することなのか?」
『はいなの。あと、おじいちゃにゃおばあちゃんも、土地神にたくさん祈ってくれるですから』
へぇ。それで奴隷商人どもは、少しでも土地神の神力を持続させるためにお年寄りや赤ん坊を抱えた若い夫婦を残したのか。
自力で逃げるのが困難な人が無事だったのは良いことだけど、その理由がなんとも……汚い連中だ。
若い夫婦と、鈴木の元にいた若者の中から希望する人たちには、一軒家に住んでもらうことになった。
共同住宅、急いでもう一棟建てないとな。
それは明日やるとして、今日はこれからのことを話し合うことに。
「まず一番は、食料の確保です。人数が一気に増えたし、ガラスハウスの増築をしなきゃな」
「それは志導くんにお任せになっちゃうわね。その代わり私、貝狩りを頑張るわ!」
「湖に落ちないよう、気をつけるんだよ。寒いじゃすまないからね」
「う、うん。心配してくれて、ありがとう」
「なんか面白そうだし、俺もいくよ」
ということで、明日、レイアとアルト、バサラ、それからアッパーおじさんと、ディアが貝狩りに行くことになった。
俺も一緒に湖まで行って、そこで簡易的な小屋をクラフトするだけしてアリューケに戻ることにした。
「帰りは私も一緒だ。しっかり護衛するから、安心するといい」
「あれ? すぐ戻るのか?」
「もちろんだとも。私は道を作るために同行するだけだから」
道を?
「ふふ。明日になればわかる」
明日、か。
湖から俺が戻ってくるまでの間に、残った人にはガラスの材料でもある灰を用意してもらう。
それから雪かきもだ。
そのためのスコップは既にクラフトしてあるので、礼拝堂の方に並べておいた。
それと。
「外で作業する人用の防寒着をクラフトするので、寸法を測って欲しいのですが」
「寸法? どこを測るのかい?」
「え、どこって……。もしかして服を作るとき、寸法を測ったりしない?」
とレイアを見たが、彼女は首を振り「測るわ」と。
でも獣人族は首を傾げている。
「うちらは自分の手を当てて、それで長さを測るもんでねぇ」
「あぁ、なるほど。でもそれだと俺のスキルで上手くクラフトできなくって。どうしようかな」
万能クラフトで俺のシャツを作った時には、肩幅だの袖丈だの、いろんな長さを書き込んだ。
長さを指定するだけで作れるのだから、簡単なものだ。
大雑把にでも測って、少し大きめにクラフトするかな。防寒着なら大きくてもいいだろうし。
「それでしたら、布と針、糸があれば、わしらが縫います。なんもお手伝いせんと、罰があたるし」
「え、いいんですか? 仕事を分担してくれるなら、俺は大助かりですよ」
「じゃあ、そうさせてくださいな」
「わかりました」
それぞれできることをお願いし、明日に備えて解散。
アリューケの町の人口が、一気に七十人規模になった。
「この中に土地神様が?」
アルトたちが持ち帰った魔石は、粗削りした雫のような形をしたもの。
ほんのり緑色の光を放つが、どうにも弱弱しい。
『赤ちゃん。触ってあげてほしいの』
土地神様は赤ちゃん好き。
それもあって、三人のベビーとその母親たちには礼拝堂に残ってもらった。
赤ん坊を抱っこした母親たちに魔石を差し出し、彼女らはその魔石を囲むように並んで立つ。
ぽわぁっと魔石の光が増す。
すると三人の赤ん坊が手を伸ばして、魔石に触れた。
「あらこの子たち、中に土地神様がいらっしゃるのがわかるのかしら?」
母親のひとりがそう話す。
きっと赤ん坊にはわかっているのだろう。
『少し元気になってきたですの。でもまだ石から出てくる力は溜まってないみたいです』
「そっか。毎日赤ん坊に撫でてもらえば、すぐに元気になるさ」
『はいです。赤ちゃん、お願いするですの』
「ニーナちゃん。もちろんですよ。私たちの里をずっと守ってくださった土地神様だもの。いくらでも、この子たちに撫でさせますわ」
今も存分に撫でまくられてるけどな。
土地神様がひとつの町で二人になったら、どうなるんだろう?
その話を、赤ん坊を連れた母親たちが新居に戻った後、ニーナに聞いてみた。
『ん~……わからないですの。ニーナも他の土地神と直接会ったことはないですから』
「あ、そっか。今まで魔石を使って移動できること、知らなかったんだもんな。お互い、どこにいてどうしているのかも、わからないよな」
『ううん。それはわかるですの。土地神はみんな、世界で繋がってるですから』
え、世界で繋がっている?
『ん~。こことは別の世界。ぽわぁっとして、ふわぁ~っとしてるです』
ぽわぁでふわぁ~。
わからん。ぜんっぜんわからん。
神様の世界ってことなのか?
「えぇ、任せてくださいな」
救助された獣人族の中に、子供たちの家族はいなかった。
だけど元々百五十人ほどの小さな里だったこともあり、全員が顔見知り。
内訳は、五十五歳以上が二十四人。二十代の夫婦が三組と、彼らの赤ん坊が三人だ。
『赤ちゃん、かわいいのぉ~』
「あばぁ~」
赤ん坊の頬をつんつんするニーナが、心なしかキラキラしているように見える。
『土地神は、赤ちゃん大好きなの。だからきっと、この子たちは里に残されたです』
「好きって、それは神力に影響することなのか?」
『はいなの。あと、おじいちゃにゃおばあちゃんも、土地神にたくさん祈ってくれるですから』
へぇ。それで奴隷商人どもは、少しでも土地神の神力を持続させるためにお年寄りや赤ん坊を抱えた若い夫婦を残したのか。
自力で逃げるのが困難な人が無事だったのは良いことだけど、その理由がなんとも……汚い連中だ。
若い夫婦と、鈴木の元にいた若者の中から希望する人たちには、一軒家に住んでもらうことになった。
共同住宅、急いでもう一棟建てないとな。
それは明日やるとして、今日はこれからのことを話し合うことに。
「まず一番は、食料の確保です。人数が一気に増えたし、ガラスハウスの増築をしなきゃな」
「それは志導くんにお任せになっちゃうわね。その代わり私、貝狩りを頑張るわ!」
「湖に落ちないよう、気をつけるんだよ。寒いじゃすまないからね」
「う、うん。心配してくれて、ありがとう」
「なんか面白そうだし、俺もいくよ」
ということで、明日、レイアとアルト、バサラ、それからアッパーおじさんと、ディアが貝狩りに行くことになった。
俺も一緒に湖まで行って、そこで簡易的な小屋をクラフトするだけしてアリューケに戻ることにした。
「帰りは私も一緒だ。しっかり護衛するから、安心するといい」
「あれ? すぐ戻るのか?」
「もちろんだとも。私は道を作るために同行するだけだから」
道を?
「ふふ。明日になればわかる」
明日、か。
湖から俺が戻ってくるまでの間に、残った人にはガラスの材料でもある灰を用意してもらう。
それから雪かきもだ。
そのためのスコップは既にクラフトしてあるので、礼拝堂の方に並べておいた。
それと。
「外で作業する人用の防寒着をクラフトするので、寸法を測って欲しいのですが」
「寸法? どこを測るのかい?」
「え、どこって……。もしかして服を作るとき、寸法を測ったりしない?」
とレイアを見たが、彼女は首を振り「測るわ」と。
でも獣人族は首を傾げている。
「うちらは自分の手を当てて、それで長さを測るもんでねぇ」
「あぁ、なるほど。でもそれだと俺のスキルで上手くクラフトできなくって。どうしようかな」
万能クラフトで俺のシャツを作った時には、肩幅だの袖丈だの、いろんな長さを書き込んだ。
長さを指定するだけで作れるのだから、簡単なものだ。
大雑把にでも測って、少し大きめにクラフトするかな。防寒着なら大きくてもいいだろうし。
「それでしたら、布と針、糸があれば、わしらが縫います。なんもお手伝いせんと、罰があたるし」
「え、いいんですか? 仕事を分担してくれるなら、俺は大助かりですよ」
「じゃあ、そうさせてくださいな」
「わかりました」
それぞれできることをお願いし、明日に備えて解散。
アリューケの町の人口が、一気に七十人規模になった。
「この中に土地神様が?」
アルトたちが持ち帰った魔石は、粗削りした雫のような形をしたもの。
ほんのり緑色の光を放つが、どうにも弱弱しい。
『赤ちゃん。触ってあげてほしいの』
土地神様は赤ちゃん好き。
それもあって、三人のベビーとその母親たちには礼拝堂に残ってもらった。
赤ん坊を抱っこした母親たちに魔石を差し出し、彼女らはその魔石を囲むように並んで立つ。
ぽわぁっと魔石の光が増す。
すると三人の赤ん坊が手を伸ばして、魔石に触れた。
「あらこの子たち、中に土地神様がいらっしゃるのがわかるのかしら?」
母親のひとりがそう話す。
きっと赤ん坊にはわかっているのだろう。
『少し元気になってきたですの。でもまだ石から出てくる力は溜まってないみたいです』
「そっか。毎日赤ん坊に撫でてもらえば、すぐに元気になるさ」
『はいです。赤ちゃん、お願いするですの』
「ニーナちゃん。もちろんですよ。私たちの里をずっと守ってくださった土地神様だもの。いくらでも、この子たちに撫でさせますわ」
今も存分に撫でまくられてるけどな。
土地神様がひとつの町で二人になったら、どうなるんだろう?
その話を、赤ん坊を連れた母親たちが新居に戻った後、ニーナに聞いてみた。
『ん~……わからないですの。ニーナも他の土地神と直接会ったことはないですから』
「あ、そっか。今まで魔石を使って移動できること、知らなかったんだもんな。お互い、どこにいてどうしているのかも、わからないよな」
『ううん。それはわかるですの。土地神はみんな、世界で繋がってるですから』
え、世界で繋がっている?
『ん~。こことは別の世界。ぽわぁっとして、ふわぁ~っとしてるです』
ぽわぁでふわぁ~。
わからん。ぜんっぜんわからん。
神様の世界ってことなのか?



