薄らと開いている体育倉庫の扉から、そっと中を覗きこむ。
暗がりながらも、マットの上には人影が2つあるのがはっきり認識できる。
寝かされている女にのしかかっている男。
女のセーラー服は首元までたくし上げられ、むき出しになった胸元の先端に男が顔を埋めて激しく吸い付いていた。
濡れている音と喘ぎ声がやけに生々しい。
男の下で身体を震わせ、快感に身を投じているのは……。
着火されたように一瞬で頭の中が熱くたぎった。
「先輩っ……やめっ……」
「こんなに感度抜群のくせにやめても何もないだろ。この一年のうちに、どんどん澄玲ちゃんは俺に開発されてエロい女になったよな」
「違いま……いやっ……あっん」
「澄玲ちゃん、ここ大好きだよね」
「あっ、そんなにいじらないでくだ……んっ」
間違いなく、すぅと、相手の男は3年の先輩だ。
確か折口先輩っていって、この近隣では余りいないタイプで髪の色が明るくピアスもつけて少し不良っぽい印象を受ける人。
しかも、この状況だと、今日この行為をしているのが初めてってわけではなさそうだった。
すぅが本気で嫌がっているのなら助けなければと思うけど、そういった雰囲気でもない。
――僕は今、何を見させられているんだ……。
ショック……というよりは、沸騰したように熱くなった何かが僕の中で急速に冷えていくのを感じた。
大事な何かが崩れて凍り付いて、僕の表情も感情も消えていた。
「男子みんな澄玲ちゃんの身体に触りたいって思ってるって知ってるよな?」
「やだ……そこ……はぁっ」
「ほら。たくさん気持ち良くなって他のこと考えられなくなりなよ」
折口先輩はすぅのスカートの裾から手を侵入させつつ、すぅの耳を舐めあげていた。
全てに反応するように腰をくねらせて、濡れた声を上げるすぅ。
そうして、折口先輩は体育倉庫の入り口に目線を向けてくる。
――僕と目が合って、彼は不敵に笑った。
僕をここに呼び出したのは、この人ってわけか。
すぅとの現場を僕に見せたかったってことか。
どうして僕相手なのか理解できないけれど、考えたくはない。
静かに体育倉庫から距離をとっていく。
その間もすぅの色情を唄うような声が耳に入ってきた。
僕は周りの男と何が違うつもりだったんだろう。
折口先輩が言っていたように僕だってすぅの身体に触りたいって劣情があるのは否定できなくて。
そういうものに、すぅを純粋に好きな気持ちが上塗りされてしまう気がして。
否定できないから僕は大切にしたいすぅと距離を置いてきた。
『あおくんなら、私に触ってもいいんだよ?』
――やっぱり、僕はすぅにからかわれただけだった。
すぅはきっと僕の知らない世界を先に知っている。
すぅと距離が出来ていたって、僕の中ですぅは”特別”で、すぅの中でも僕は”特別”だって、どこかで思い込んでいた。
思いあがっていた。
生まれた時からすぅを知っているってだけで、今のすぅを何も知らないくせに。
誰よりも早く、すぅを好きになっておきながら、僕は結局すぅに何も出来なかった。
僕がすぅの何を守ってきたというのだろう。
――すぅはもう僕の知らないすぅだった。
このどうしようもないやるせなさを抱えながら、ソフトテニス部の部室へと足を向ける。
――僕の初恋が終わっていく音が聞こえていた。
暗がりながらも、マットの上には人影が2つあるのがはっきり認識できる。
寝かされている女にのしかかっている男。
女のセーラー服は首元までたくし上げられ、むき出しになった胸元の先端に男が顔を埋めて激しく吸い付いていた。
濡れている音と喘ぎ声がやけに生々しい。
男の下で身体を震わせ、快感に身を投じているのは……。
着火されたように一瞬で頭の中が熱くたぎった。
「先輩っ……やめっ……」
「こんなに感度抜群のくせにやめても何もないだろ。この一年のうちに、どんどん澄玲ちゃんは俺に開発されてエロい女になったよな」
「違いま……いやっ……あっん」
「澄玲ちゃん、ここ大好きだよね」
「あっ、そんなにいじらないでくだ……んっ」
間違いなく、すぅと、相手の男は3年の先輩だ。
確か折口先輩っていって、この近隣では余りいないタイプで髪の色が明るくピアスもつけて少し不良っぽい印象を受ける人。
しかも、この状況だと、今日この行為をしているのが初めてってわけではなさそうだった。
すぅが本気で嫌がっているのなら助けなければと思うけど、そういった雰囲気でもない。
――僕は今、何を見させられているんだ……。
ショック……というよりは、沸騰したように熱くなった何かが僕の中で急速に冷えていくのを感じた。
大事な何かが崩れて凍り付いて、僕の表情も感情も消えていた。
「男子みんな澄玲ちゃんの身体に触りたいって思ってるって知ってるよな?」
「やだ……そこ……はぁっ」
「ほら。たくさん気持ち良くなって他のこと考えられなくなりなよ」
折口先輩はすぅのスカートの裾から手を侵入させつつ、すぅの耳を舐めあげていた。
全てに反応するように腰をくねらせて、濡れた声を上げるすぅ。
そうして、折口先輩は体育倉庫の入り口に目線を向けてくる。
――僕と目が合って、彼は不敵に笑った。
僕をここに呼び出したのは、この人ってわけか。
すぅとの現場を僕に見せたかったってことか。
どうして僕相手なのか理解できないけれど、考えたくはない。
静かに体育倉庫から距離をとっていく。
その間もすぅの色情を唄うような声が耳に入ってきた。
僕は周りの男と何が違うつもりだったんだろう。
折口先輩が言っていたように僕だってすぅの身体に触りたいって劣情があるのは否定できなくて。
そういうものに、すぅを純粋に好きな気持ちが上塗りされてしまう気がして。
否定できないから僕は大切にしたいすぅと距離を置いてきた。
『あおくんなら、私に触ってもいいんだよ?』
――やっぱり、僕はすぅにからかわれただけだった。
すぅはきっと僕の知らない世界を先に知っている。
すぅと距離が出来ていたって、僕の中ですぅは”特別”で、すぅの中でも僕は”特別”だって、どこかで思い込んでいた。
思いあがっていた。
生まれた時からすぅを知っているってだけで、今のすぅを何も知らないくせに。
誰よりも早く、すぅを好きになっておきながら、僕は結局すぅに何も出来なかった。
僕がすぅの何を守ってきたというのだろう。
――すぅはもう僕の知らないすぅだった。
このどうしようもないやるせなさを抱えながら、ソフトテニス部の部室へと足を向ける。
――僕の初恋が終わっていく音が聞こえていた。



