”優しい”と自分を表現されることに、もやもやと心に影が落ちた。
すぅに僕は恋愛対象外だと言われているように感じてしまったからだ。
――それはそうだよな。
こんな無防備な姿で誰も居ない家に僕を招いて勉強を教えてもらおうとするくらいだし……。
「山園にノルマこんなに出しておいて、優しいって表現されるの複雑なんだけど」
「私が今まで勉強を後回しにしてきたのが悪かったの。こんなに一生懸命考えてくれるなんて……優しいよ。あお……谷内くんは、とっても」
後回しって、すぅは勉強を何の後回しにしてきたのだろう。
数学を見る限り、中学に入ってからの学習が上積みされていない気がした。
「――僕も出来ることはするから、頑張ろうな」
「……うん」
それから僕とすぅは19時にすぅのお父さんが帰宅するまで一緒に勉強をした。
すぅの家を退出してから、すぐに自宅に帰って夕ご飯を食べられるのは同じマンションの良いところ。
案外、普通にすぅと接することが出来たし話が出来た。
それでも、すぅが出してくれたお菓子を食べながら、僕はすぅの姿を視界にいれすぎないように強く意識した。
シャンプーなのか、ボディクリームなのか、ずっと甘い香りがすぅから香ってきて、意識外に追い出すのに一苦労で。
すぅが頼んでいた家庭教師の大学生もこんな天然で誘惑してくるような中学生が相手では大変だっただろう。
知りもしないその男に嫉妬する気持ちと裏腹に同情もしてしまう。
その男にもこんなに近くですぅは無防備に接していたのだろうか……。
身体を触られたりもしたのか……。
考えたくもない想像が脳内で繰り広げられそうになっては、振り切るように今まで以上に期末テストの勉強に注力した。
すぅの成績が上がって、僕の成績が下がっては本末転倒だというのもある。
来月には3年生最後の部活の大会だ。
3年生とペアを組み、団体戦にも個人戦にも出場する僕は先輩の引退を少しでも引き延ばしたい。
2年生で個人戦に出場する人は居ても、団体戦にまで出るのは僕だけだ。
ソフトテニス部の活動にも力をいれつつ、月曜と水曜はすぅの勉強を見るために、すぅの家へと通う。
そんな日々が続いているうちにカレンダーは7月に変わり、期末テスト1週間前、部活は練習休みとなった。
すぅは僕が、
「ここまでやっておいて」
と伝えたノルマはやってくるし、どこの単元が引っかかるのか、躓きがちなのか、自分でも具体性を帯びたようで勉強のコツを完全に掴んだようだった。
僕に質問してくるのも漠然としているのではなく、ポイントを押さえるようになってきている。
明日は期末テスト。
僕たちの通う中学は主要5科目を1日で終わらせるテスト編成になっているから、どの科目も最後の総仕上げを怠るわけにはいかない。
前日も放課後にすぅの家にやってきていた。
「こんなにテスト前日が不安じゃないの初めてかも」
すぅは今回の期末テストには手応えを感じているようだった。
そう言ってもらえると、どうすぅに教えたらいいか試行錯誤した自分が報われるような気がする。
本番はこれからだけれど。
「駆け込みでテスト前だけ頭に詰め込もうとするとテスト前日は不安で仕方なくなるよな。中学入学したばかりの頃は要領掴めなくて僕もそうなってた」
そう言いながら、自然とすぅに目を向けてしまい、音でも鳴ったようにバチッとしっかり目が合う。
――すぅを見ないようにしていたのに……。
すぅが僕を探るようにジッと見つめてくる。
すぅの大きく潤んだ瞳に吸引力でもあるように逸らせなくなった。
「――ねぇ、”あおくん”」
ずっと谷内くんと僕を呼んでいたすぅの声で”あおくん”の響きは懐かしく響いて。
でも、同じすぅの声なのに昔とは違う。
”大人”に近づいた危うくて甘い声。
「キスしたことある?」
ひどく心臓が持ち上がる感覚がした。
「あ、あるわけないだろ」
動揺が僕の声の揺らぎに現れている。
「私としない?」
すぅはじっくりと僕の目を見つめて、問いかけてきた。
「……いや、すぅ、何を言って……」
戸惑いが隠せずに、ぼくは“すぅ“と口にしていた。
「私、あおくんとちゅーしてみたい」
すぅの物欲しそうな、誘ってる、相手を探る目……。
こんなの断れる男なんているのか?
ゴクリと僕が唾を飲み込んだ音がやけに大きく響いた。
すぅはどういうつもりでこんな……。
自然と目線が下がると、すぅの瑞々しいピンクの唇だとか、触りたくなる柔らかそうな大きい胸とかが視界に飛び込んできた。
目に入れないようにしてたのに……。
「私の身体、あおくんは興味ない?」
こんなの理性で抗えって無理だろう。
これは白昼夢か……。
「あおくんなら、私に触ってもいいんだよ?」
脳裏をよぎる。
――僕もすぅとしたい。
弾力のある唇をくっつけたら、すぅの舌に自分のを絡めて、その胸に手を伸ばして、すぅを組み敷いてめちゃくちゃ、ぐちゃぐちゃに汚してしまう自分……。
下半身に熱が溜まっていく。
頭の中がグラグラと大きく揺れる。
――僕もすぅとキスもその先も……。
自分の欲情に制御が効かなくなりそうだった。
すぅに僕は恋愛対象外だと言われているように感じてしまったからだ。
――それはそうだよな。
こんな無防備な姿で誰も居ない家に僕を招いて勉強を教えてもらおうとするくらいだし……。
「山園にノルマこんなに出しておいて、優しいって表現されるの複雑なんだけど」
「私が今まで勉強を後回しにしてきたのが悪かったの。こんなに一生懸命考えてくれるなんて……優しいよ。あお……谷内くんは、とっても」
後回しって、すぅは勉強を何の後回しにしてきたのだろう。
数学を見る限り、中学に入ってからの学習が上積みされていない気がした。
「――僕も出来ることはするから、頑張ろうな」
「……うん」
それから僕とすぅは19時にすぅのお父さんが帰宅するまで一緒に勉強をした。
すぅの家を退出してから、すぐに自宅に帰って夕ご飯を食べられるのは同じマンションの良いところ。
案外、普通にすぅと接することが出来たし話が出来た。
それでも、すぅが出してくれたお菓子を食べながら、僕はすぅの姿を視界にいれすぎないように強く意識した。
シャンプーなのか、ボディクリームなのか、ずっと甘い香りがすぅから香ってきて、意識外に追い出すのに一苦労で。
すぅが頼んでいた家庭教師の大学生もこんな天然で誘惑してくるような中学生が相手では大変だっただろう。
知りもしないその男に嫉妬する気持ちと裏腹に同情もしてしまう。
その男にもこんなに近くですぅは無防備に接していたのだろうか……。
身体を触られたりもしたのか……。
考えたくもない想像が脳内で繰り広げられそうになっては、振り切るように今まで以上に期末テストの勉強に注力した。
すぅの成績が上がって、僕の成績が下がっては本末転倒だというのもある。
来月には3年生最後の部活の大会だ。
3年生とペアを組み、団体戦にも個人戦にも出場する僕は先輩の引退を少しでも引き延ばしたい。
2年生で個人戦に出場する人は居ても、団体戦にまで出るのは僕だけだ。
ソフトテニス部の活動にも力をいれつつ、月曜と水曜はすぅの勉強を見るために、すぅの家へと通う。
そんな日々が続いているうちにカレンダーは7月に変わり、期末テスト1週間前、部活は練習休みとなった。
すぅは僕が、
「ここまでやっておいて」
と伝えたノルマはやってくるし、どこの単元が引っかかるのか、躓きがちなのか、自分でも具体性を帯びたようで勉強のコツを完全に掴んだようだった。
僕に質問してくるのも漠然としているのではなく、ポイントを押さえるようになってきている。
明日は期末テスト。
僕たちの通う中学は主要5科目を1日で終わらせるテスト編成になっているから、どの科目も最後の総仕上げを怠るわけにはいかない。
前日も放課後にすぅの家にやってきていた。
「こんなにテスト前日が不安じゃないの初めてかも」
すぅは今回の期末テストには手応えを感じているようだった。
そう言ってもらえると、どうすぅに教えたらいいか試行錯誤した自分が報われるような気がする。
本番はこれからだけれど。
「駆け込みでテスト前だけ頭に詰め込もうとするとテスト前日は不安で仕方なくなるよな。中学入学したばかりの頃は要領掴めなくて僕もそうなってた」
そう言いながら、自然とすぅに目を向けてしまい、音でも鳴ったようにバチッとしっかり目が合う。
――すぅを見ないようにしていたのに……。
すぅが僕を探るようにジッと見つめてくる。
すぅの大きく潤んだ瞳に吸引力でもあるように逸らせなくなった。
「――ねぇ、”あおくん”」
ずっと谷内くんと僕を呼んでいたすぅの声で”あおくん”の響きは懐かしく響いて。
でも、同じすぅの声なのに昔とは違う。
”大人”に近づいた危うくて甘い声。
「キスしたことある?」
ひどく心臓が持ち上がる感覚がした。
「あ、あるわけないだろ」
動揺が僕の声の揺らぎに現れている。
「私としない?」
すぅはじっくりと僕の目を見つめて、問いかけてきた。
「……いや、すぅ、何を言って……」
戸惑いが隠せずに、ぼくは“すぅ“と口にしていた。
「私、あおくんとちゅーしてみたい」
すぅの物欲しそうな、誘ってる、相手を探る目……。
こんなの断れる男なんているのか?
ゴクリと僕が唾を飲み込んだ音がやけに大きく響いた。
すぅはどういうつもりでこんな……。
自然と目線が下がると、すぅの瑞々しいピンクの唇だとか、触りたくなる柔らかそうな大きい胸とかが視界に飛び込んできた。
目に入れないようにしてたのに……。
「私の身体、あおくんは興味ない?」
こんなの理性で抗えって無理だろう。
これは白昼夢か……。
「あおくんなら、私に触ってもいいんだよ?」
脳裏をよぎる。
――僕もすぅとしたい。
弾力のある唇をくっつけたら、すぅの舌に自分のを絡めて、その胸に手を伸ばして、すぅを組み敷いてめちゃくちゃ、ぐちゃぐちゃに汚してしまう自分……。
下半身に熱が溜まっていく。
頭の中がグラグラと大きく揺れる。
――僕もすぅとキスもその先も……。
自分の欲情に制御が効かなくなりそうだった。



