天狗の神様の契約花嫁

 お父様とお母様が連れ出してくれた温泉地は皇都からほど近い湯治場として有名な湯畑香る温泉地だ。
 ぎゅっとしてポンみたいな擬音語でお母様が動くとスパーンと空間が割れてそこを通ると、温泉地にある天宮家の別邸に繋がったのだ。
 こんな移動方法は神様クオリティでしかなく、効けば電車で4時間ほどかかる場所にある温泉地なのだそうだ。
 お泊り先は天宮の温泉地にある別荘で、周囲の目を気にせず気兼ねなく過ごせる場所だった。
 しかも、私たちがこっちに移動すると何食わぬ顔で松も栄も柳も来ているし、鈴も梅もこちらに来ているのだから驚いた。
「さぁさぁ、メノウ様。こちらの温泉はお肌に優しいですよ。ご堪能なさいませ」
 と言って栄が私をしっかりと温泉に入れて、身の回りのお世話は鈴と梅が担当してくれた。
 温泉は栄が言ったように肌に良い効果をもたらす泉質の用で。お肌がしっとりと落ち着くのを感じる。
「温泉って初めてだけれど、とっても気持ちいいのね」
 私の言葉に頷きつつも、果実水を持ってきてくれたりとお世話されている。
 そしてのぼさないところで切り上げて、きちんと身支度をさせてくれる。
「今日は初めてですしこれくらいで、明日からはもう少し温まってみましょう」
 そんな会話をしつつ、初めての温泉を堪能して一日目は松とご主人の力作のお料理まで堪能して温泉地のお庭を散策してぐっすりと休んだ。
 翌朝のお肌の艶っぷりに驚かされた、温泉の効能ってすごい。
 ただ温泉の床は滑りやすいので、誰かと一緒に入ることとされているのでお母様か神使の誰かと一緒に入るのが鉄則とされている。
 転んだら危ないものね。
 朝風呂も気になっていた私は起きていたお母様を誘い、朝から温泉へ。
 これが贅沢なのか!という体験に大変満足しています。
「ふふ、メノウちゃんが蕩けているわぁ。温泉ってやっぱりすごいわねぇ」
 なんて言いながらお母様も温泉を堪能しています。
 朝風呂には栄も一緒に入っています。
 梅と鈴は松と一緒に朝ごはんの準備とお風呂上がりのお手伝いに分かれている。
「朝からお風呂なんて贅沢すぎて。とっても気持ちいいし、最高です」
 お風呂から上がり果実水で潤し、化粧水や乳液で整えた肌を軽くメイクして浴衣を着つけてもらって朝食のために食堂へ。
 食堂に着けばみんな 浴衣なので違和感なし。
 佐彦様は浴衣も良く似合っている。
 今日は近くの温泉街を散策することとなった。
 温泉街の中には湯畑と呼ばれる源泉が溢れている場所があり、そこは温泉のにおいが充満している。
「さ、ここに来たらお饅頭は必須よ。とっても美味しいの。あとはゲームも楽しいし、お蕎麦も美味しいのよ」と先を歩くお母様と腕を組んで歩くお父様。
 大変絵になる美男美女のご夫婦である。
 お父様の色とお母様の美しいパーツをもらった佐彦様は美丈夫である。
 そんな美形一家に入っている、小さめの小娘が私だ。
 佐彦様は背も高いし整った顔立ちと、美しい濃紺の髪を持ち合わせている。
 銀の髪は珍しいし、紫の瞳だって珍しいけれど。
 この国にはあまりない色だから、目立つのだ。
 お母様もお父様も黒髪に黒目がちな要望なので、お似合いなのだ。
 互いの色が浮くといった心配が無いのだから。
 色が目立つけれど、それでも私は佐彦様と共にいることを選んだのだから色が違うことで悲観することもないと吹っ切れるようになったのはいつのころからだろう。
 きっとお父様もお母様もそんなこと一つも気にせず接してくれるから。
 佐彦様に至っては毎日可愛い可愛いと伝え続けてくれるので、ちょっとだけなら可愛いのかもしれないと思うようになった。
 そんな変化も感じつつ、温泉地の別荘で二泊三日の家族旅行を満喫したのだった。