天宮の大屋敷である現世のお屋敷は通常運行で回っている。
なにかあっては困ると、私の身は現在第三皇女殿下より厳重にされていると思われる。
幽世のお屋敷から出ないでくれというお父様とお母様と佐彦様からの願いで幽世の屋敷の方から出ていない。
女学館も退学すると伝えた以上現世の大屋敷から女学館に通う必要もなくなったので、ますます幽世の屋敷から出る必要性がなくなっている。
人質に取られても困るので、現在白鴎家のご一家も守り固めのため幽世の屋敷の方で仕事をしてもらっている。
私にとって大切な佳也子と千佳子も現在は幽世のお屋敷組に入っている。
本来なら人間が幽世に来るのは良くないとされているが、現在は非常事態なので良しと神様自身が言うのだから良しとしましょうという流れで神使達も受け入れてくれている。
そんな中で現世の屋敷に謝罪したいと訪れた夫人がいるというので、特徴を聞けばどうやら一ノ宮家から父に離縁され追い出された義母が到来したらしい。
正直に言うなら、今更謝罪されてもという感じなので会う必要性を感じない。
サクッとおかえりいただくように伝えようとした矢先に藤の木のおばあちゃんが飛ぶように私の前にやって来た。
『巫女姫、絶対に行ってはならぬが神々の誰かに帰ってきてもらいなさい。夫人は術で操られてここに来ている。目的は巫女姫の誘拐だから。術の解除は神であれば造作もない。誰か呼び出しなさい』
藤のおばあちゃんの進言に従い、佐彦様を呼び出す。
私が呼びかければ答えて現れてくれるのが佐彦様だからだ。
「佐彦様、お越しください」
そう私が声に出して呼びかければ風と共に現れる。
「メノウ、なにがあった?」
そう問いかけつつも佐彦様は現世の大屋敷の方を見つめているので、何かしら起きたのが現世のお屋敷の方であることを既に感づいていそうだ。
「いま現世の大屋敷の方に一ノ宮に居た義母が謝罪に訪れていると知らせが来たのですが、私はこちらの邸から出てはいけないと言われているのでその必要はないと返すことにしようとしたところ藤の木が義母は術で操られてここに来ていると。佐彦様かお父様、お母様の誰かしらを呼んで解呪してから帰さねば意味がないと言われたのでお呼びしたのです」
私の説明に、佐彦様は頷き現世の方の邸を眺めてからそちらに向かって行く。
「メノウは絶対にこちらに居て部屋からも出るな。この術者はなかなかの使い手だが、ケンカを売る相手を間違えたな。神に喧嘩を売って勝てるわけがないだろうに」
そんなつぶやきと共に佐彦様は現世のお屋敷に向かい、サッと義母の術を解除し二度とお屋敷に来ないことと言い含めてお帰りいただいたというのを十五分後には聞かされて一安心した。
まさか人を操るような術を用いて、私を誘拐しようとまでするとは。
謀反の主犯格は結構焦っているのだろうか?
そうまで考えるのなら謀反自体が上手くいかないということに気づいて諦めればいいのに。
私はそんな風に考えるけれど、地位に目がくらんでいる先代皇帝の弟にはきっと見えていないのだろうなとため息がこぼれた。
部屋でそんな感じでいると、千佳子と希望がお茶とお菓子を携えてやって来る。
「メノウ様、そんなに暗い顔をなさらないでください。そもそもあの方が今更謝ってもメノウ様の大事な子ども時代は帰ってこないのですから。操られようがそうでなかろうが謝罪は今さらです」
私のことで私以上に怒るのは千佳子らしい。
そんな千佳子の様子で私はようやく笑みを浮かべることが出来た。
「そうね、今さらよね。だから謝罪に来ていると言われても全く会う気にはならなかったわ」
私の言葉に希望も頷いて答える。
「本来の跡取りを差し置いて自分とその娘が優位に立てるように動くなんて、欲が深いからこそです。だから今回も利用されてしまったのでしょ。そんな人とはもう関わらなくていいと思います」
希望もだいぶはっきり物申すようになった。
初めは遠慮がちだったけれども、私は言った。
友達って対等でしょう?と。
そうすると目を大きく見開いたかと思うと、微笑んで答えてくれた。
「確かに、友達は対等だわ」と。
そこから、部屋の中で私と千佳子と希望だけになると砕けた口調のままで会話できるまでになった。
ようやく、近くに来てくれたと私も嬉しくて仕方ない
千佳子以外の初めての友人は希望だ。
だからこそ、ちゃんと助けられて良かった。
人を利用するしか考えない香風の君は人の上に立ち国を束ねるのには向いていない。
周囲をあまねく見届け、必要なことを考え実行するための人出を集めて手配し、実行させる。
その手腕は人の上に立ち、人にこの人が言うならやってやろうと思わせられる人でなければ難しい。
自分しか考えない先代皇帝の弟では無理だと思う。
「そもそも、先代皇帝時代に先代皇帝より皇帝に向いてれば皇太子になって皇帝になってるはずなのよ。それが無かったてことは皇帝には向かないって既に言われていたってことなのに、どうしてそれを認められないのかしらね?」
私の言葉に、希望が言った。
「ただ先に産まれただけで皇帝になったやつだって言うのが香風の君の言い分なんだそうよ。香風の君の近い人物から聞いたから間違いないわ」
まさか希望からそんな情報が聞けるとは思っていなくてびっくりする。
「巫女の家系は相談事も持ち込まれることが多いから。お父様やお母様のところに話に来ている人の話をちょこっと聞いたりしてね。結構貴族社会のあれこれ、知っている方だと思う」
と、ちょっと複雑という表情を隠さずに希望は教えてくれたのだった。
なにかあっては困ると、私の身は現在第三皇女殿下より厳重にされていると思われる。
幽世のお屋敷から出ないでくれというお父様とお母様と佐彦様からの願いで幽世の屋敷の方から出ていない。
女学館も退学すると伝えた以上現世の大屋敷から女学館に通う必要もなくなったので、ますます幽世の屋敷から出る必要性がなくなっている。
人質に取られても困るので、現在白鴎家のご一家も守り固めのため幽世の屋敷の方で仕事をしてもらっている。
私にとって大切な佳也子と千佳子も現在は幽世のお屋敷組に入っている。
本来なら人間が幽世に来るのは良くないとされているが、現在は非常事態なので良しと神様自身が言うのだから良しとしましょうという流れで神使達も受け入れてくれている。
そんな中で現世の屋敷に謝罪したいと訪れた夫人がいるというので、特徴を聞けばどうやら一ノ宮家から父に離縁され追い出された義母が到来したらしい。
正直に言うなら、今更謝罪されてもという感じなので会う必要性を感じない。
サクッとおかえりいただくように伝えようとした矢先に藤の木のおばあちゃんが飛ぶように私の前にやって来た。
『巫女姫、絶対に行ってはならぬが神々の誰かに帰ってきてもらいなさい。夫人は術で操られてここに来ている。目的は巫女姫の誘拐だから。術の解除は神であれば造作もない。誰か呼び出しなさい』
藤のおばあちゃんの進言に従い、佐彦様を呼び出す。
私が呼びかければ答えて現れてくれるのが佐彦様だからだ。
「佐彦様、お越しください」
そう私が声に出して呼びかければ風と共に現れる。
「メノウ、なにがあった?」
そう問いかけつつも佐彦様は現世の大屋敷の方を見つめているので、何かしら起きたのが現世のお屋敷の方であることを既に感づいていそうだ。
「いま現世の大屋敷の方に一ノ宮に居た義母が謝罪に訪れていると知らせが来たのですが、私はこちらの邸から出てはいけないと言われているのでその必要はないと返すことにしようとしたところ藤の木が義母は術で操られてここに来ていると。佐彦様かお父様、お母様の誰かしらを呼んで解呪してから帰さねば意味がないと言われたのでお呼びしたのです」
私の説明に、佐彦様は頷き現世の方の邸を眺めてからそちらに向かって行く。
「メノウは絶対にこちらに居て部屋からも出るな。この術者はなかなかの使い手だが、ケンカを売る相手を間違えたな。神に喧嘩を売って勝てるわけがないだろうに」
そんなつぶやきと共に佐彦様は現世のお屋敷に向かい、サッと義母の術を解除し二度とお屋敷に来ないことと言い含めてお帰りいただいたというのを十五分後には聞かされて一安心した。
まさか人を操るような術を用いて、私を誘拐しようとまでするとは。
謀反の主犯格は結構焦っているのだろうか?
そうまで考えるのなら謀反自体が上手くいかないということに気づいて諦めればいいのに。
私はそんな風に考えるけれど、地位に目がくらんでいる先代皇帝の弟にはきっと見えていないのだろうなとため息がこぼれた。
部屋でそんな感じでいると、千佳子と希望がお茶とお菓子を携えてやって来る。
「メノウ様、そんなに暗い顔をなさらないでください。そもそもあの方が今更謝ってもメノウ様の大事な子ども時代は帰ってこないのですから。操られようがそうでなかろうが謝罪は今さらです」
私のことで私以上に怒るのは千佳子らしい。
そんな千佳子の様子で私はようやく笑みを浮かべることが出来た。
「そうね、今さらよね。だから謝罪に来ていると言われても全く会う気にはならなかったわ」
私の言葉に希望も頷いて答える。
「本来の跡取りを差し置いて自分とその娘が優位に立てるように動くなんて、欲が深いからこそです。だから今回も利用されてしまったのでしょ。そんな人とはもう関わらなくていいと思います」
希望もだいぶはっきり物申すようになった。
初めは遠慮がちだったけれども、私は言った。
友達って対等でしょう?と。
そうすると目を大きく見開いたかと思うと、微笑んで答えてくれた。
「確かに、友達は対等だわ」と。
そこから、部屋の中で私と千佳子と希望だけになると砕けた口調のままで会話できるまでになった。
ようやく、近くに来てくれたと私も嬉しくて仕方ない
千佳子以外の初めての友人は希望だ。
だからこそ、ちゃんと助けられて良かった。
人を利用するしか考えない香風の君は人の上に立ち国を束ねるのには向いていない。
周囲をあまねく見届け、必要なことを考え実行するための人出を集めて手配し、実行させる。
その手腕は人の上に立ち、人にこの人が言うならやってやろうと思わせられる人でなければ難しい。
自分しか考えない先代皇帝の弟では無理だと思う。
「そもそも、先代皇帝時代に先代皇帝より皇帝に向いてれば皇太子になって皇帝になってるはずなのよ。それが無かったてことは皇帝には向かないって既に言われていたってことなのに、どうしてそれを認められないのかしらね?」
私の言葉に、希望が言った。
「ただ先に産まれただけで皇帝になったやつだって言うのが香風の君の言い分なんだそうよ。香風の君の近い人物から聞いたから間違いないわ」
まさか希望からそんな情報が聞けるとは思っていなくてびっくりする。
「巫女の家系は相談事も持ち込まれることが多いから。お父様やお母様のところに話に来ている人の話をちょこっと聞いたりしてね。結構貴族社会のあれこれ、知っている方だと思う」
と、ちょっと複雑という表情を隠さずに希望は教えてくれたのだった。



