「お母様、ありがとうございます。たとえお迎えが来なくとも、これを誕生日に羽織れるだけで幸せだわ」
私はそうつぶやくと小さな小屋の、小さな縁側で夕暮れに輝き始めた星と月を見て色打掛を羽織り微笑んだ。
日々慎ましくとも毎年母から祝いの品が準備され、大好きな育ての母の佳也子と姉同様の千佳子が祝ってくれる。
小さな世界だけれど、それで十分だし幸せだった。
そんな私の元に、母の手紙通りに神様が迎えに来るのは読んでいても驚かずにはいられなかった。
日が沈み、月が出るころようやく佳也子が離れに戻って来た。
「まぁ、よくお似合いですよ。メノウ様」
母が用意してくれた色打掛を羽織っていると、そんな風に母屋から戻った佳也子に声を掛けられた。
同じく佳也子より先に母屋の手伝いに行っていた千佳子も一緒に戻ったらしく、私の羽織っている色打掛に目を見張っていた。
「本当によくお似合いです。和代様は、本当にセンスが良い方ですね」
亡くなった母まで褒めるのだから、佳也子も千佳子も私贔屓なのである。
「こんなにりっぱな打掛をよく今日まで見つからずにいられたわね?」
私の疑問はもっともなものだったのだろう。
関わりたくないという割に定期的にこの小屋を後妻と異母妹が物色しては物を持ち去っていくのだ。
一昨年、誕生日に母が用意していたツゲの櫛とかんざしを持ち去られ、その前年はリボンだったがそれも持ち去られた。
誕生日の祝いの品は数日後には持ち去られるのが常になっていたが去年からは、上手く隠すようになった。
去年は首飾りだったのもあり、身につけて服の下に隠して事なきを得たのだ。
父から色々買い与えられているので私の祝いの品など大したことはないだろうに、毎年嫌がらせで誕生日の翌日か二日後には家探しに来る、卑しい親娘だとしか思えない。
そして、毎回異母妹の誕生日はどんな食事に、数々の祝いの品が届いたかを自慢げに話しながら、亡くなった母からの祝いの品を取り上げていく。
「今年のお祝いは、この衣裳を頼んだ呉服問屋さんに今年の誕生日まで預かってもらっていたのです。今日ここに運んでもらったので無事でした」
お母様の采配も見事だと思わずにはいられない。
先々まで見越していたのは、弱いながらに先見の力を持っていたからだと去年の手紙に書かれていた。
巫女ではなくとも、巫女の家系として力を持っていたお母様。
その力を実家のために使うことはなく、白鷗家は母の力を知ることは無かったという。
佳也子は母の力を知っていたので、今年届くことも理解していたようだ。
一緒に準備を手伝っていたので毎年の祝いの品を熟知していたのはもちろん、去年からは上手く隠せる品に変えたのも母の先見の力での采配だという。
「私にも何か力があるのかしらね?」
そんな言葉をつぶやくと、佳也子も千佳子も頷いている。
「和代様も、十七のお誕生日にお力が目覚めたと伺っております。メノウ様も今日あたりだと思いますよ」
なんて言葉を添えて、ささやかにカステラと御夕飯を食べて、月を見つつ誕生日の一日が終わろうとしたとき。
私の前に、一人の青年が現れた。
私はそうつぶやくと小さな小屋の、小さな縁側で夕暮れに輝き始めた星と月を見て色打掛を羽織り微笑んだ。
日々慎ましくとも毎年母から祝いの品が準備され、大好きな育ての母の佳也子と姉同様の千佳子が祝ってくれる。
小さな世界だけれど、それで十分だし幸せだった。
そんな私の元に、母の手紙通りに神様が迎えに来るのは読んでいても驚かずにはいられなかった。
日が沈み、月が出るころようやく佳也子が離れに戻って来た。
「まぁ、よくお似合いですよ。メノウ様」
母が用意してくれた色打掛を羽織っていると、そんな風に母屋から戻った佳也子に声を掛けられた。
同じく佳也子より先に母屋の手伝いに行っていた千佳子も一緒に戻ったらしく、私の羽織っている色打掛に目を見張っていた。
「本当によくお似合いです。和代様は、本当にセンスが良い方ですね」
亡くなった母まで褒めるのだから、佳也子も千佳子も私贔屓なのである。
「こんなにりっぱな打掛をよく今日まで見つからずにいられたわね?」
私の疑問はもっともなものだったのだろう。
関わりたくないという割に定期的にこの小屋を後妻と異母妹が物色しては物を持ち去っていくのだ。
一昨年、誕生日に母が用意していたツゲの櫛とかんざしを持ち去られ、その前年はリボンだったがそれも持ち去られた。
誕生日の祝いの品は数日後には持ち去られるのが常になっていたが去年からは、上手く隠すようになった。
去年は首飾りだったのもあり、身につけて服の下に隠して事なきを得たのだ。
父から色々買い与えられているので私の祝いの品など大したことはないだろうに、毎年嫌がらせで誕生日の翌日か二日後には家探しに来る、卑しい親娘だとしか思えない。
そして、毎回異母妹の誕生日はどんな食事に、数々の祝いの品が届いたかを自慢げに話しながら、亡くなった母からの祝いの品を取り上げていく。
「今年のお祝いは、この衣裳を頼んだ呉服問屋さんに今年の誕生日まで預かってもらっていたのです。今日ここに運んでもらったので無事でした」
お母様の采配も見事だと思わずにはいられない。
先々まで見越していたのは、弱いながらに先見の力を持っていたからだと去年の手紙に書かれていた。
巫女ではなくとも、巫女の家系として力を持っていたお母様。
その力を実家のために使うことはなく、白鷗家は母の力を知ることは無かったという。
佳也子は母の力を知っていたので、今年届くことも理解していたようだ。
一緒に準備を手伝っていたので毎年の祝いの品を熟知していたのはもちろん、去年からは上手く隠せる品に変えたのも母の先見の力での采配だという。
「私にも何か力があるのかしらね?」
そんな言葉をつぶやくと、佳也子も千佳子も頷いている。
「和代様も、十七のお誕生日にお力が目覚めたと伺っております。メノウ様も今日あたりだと思いますよ」
なんて言葉を添えて、ささやかにカステラと御夕飯を食べて、月を見つつ誕生日の一日が終わろうとしたとき。
私の前に、一人の青年が現れた。



