授業を終えて、放課後になると各家のお迎えを待つご令嬢たちがゆっくりと車止めへと向かって行きます。
暗黙のルールなのか、三年生の高位の家から進みます。
三年生で一番の高位は天宮家の私。
ですが学年を超えることが許されるのが皇族。
なので二年生の第三皇女殿下から、迎えの車に乗り込むのが女学館のルール。
一番手ではないので私はすこしゆっくり車止めに向かうことにしました。
ちなみに今までは三年生からのルールの例外第三皇女殿下の次はなぜかうちの義妹が一ノ宮の車をつけて帰宅していたとのこと。
そしてきっと今日もそのままだろうことを予測していたら、木々が今日もすでに第三皇女と義妹が一緒に車止めに居ること。
しかし、皇女殿下の車の次は我が天宮の迎えの車であり、一ン宮はその次になっていることを知らせてくれた。
「いつも皇女殿下のあとには一ノ宮の車が控えていましたから、きっと皇女殿下にくっついて一ノ宮の令嬢も居るので鉢合わせるかと思います」
千佳子もそう言っているし、木々からの報告でもすでに車止めに居るのは確認済み。
「えぇ、すでに車止めに皇女殿下と一緒にいるそうよ。木々が教えてくれたわ。まぁ、今日の出来事は皇帝にも一ノ宮にもお父様とお母様に佐彦様から抗議が飛ぶから、明日には私への謝罪と共に義妹は女学館での居場所がなくなるかもしれないわね。天宮家の名を把握していない時点で貴族令嬢としての欠陥が露呈しているもの」
お勉強が嫌いでも各家の家柄と家格、自分の家との差を把握していないのは大いなる間違いである。侯爵家だから早々上の家が少ない。だからこそ自分の家より高位の家は覚えなければいけないというのに。
それに数の多い伯爵家の中には商業や交易で一ノ宮よりすでに大きい家だってあるということを、あの子は理解していないでしょう。
「これにて一ノ宮は斜陽に傾くでしょうね。あの子に婿入りするような奇特な男性は居ないでしょうし。お父様の能力ではこの曲難を乗り切れるか怪しいところ。稼業の建設業も無茶がそろそろ露呈して、世間からの批判が出始める頃でしょう」
聴感覚は、澄まして耳を傾ければ自身のほしい情報を持つものから情報を得ることが出来る。
大変稀有で有能であり、世間すら動かせるほどの能力で多大なる異能だ。
白鷗家の先見の巫女だった母を大事にしていれば、その娘の私の異能も白鷗家の力になったかもしれない。
すべては母の時の失策によりタラればの話になっているが。
だからこそ、それを理解し私に手出しすることはないと断言できる希望さんとそのご両親はもったいないと感じる。
特に希望さんは、親に近い年齢の男爵の後妻に入る予定とか。男爵に関しては良いうわさは全く聞かない。
幸せになれる予感の無い結婚に、彼女自身はどう感じているのか、その意思が確認出来たら。
結婚が嫌だと思うなら、お父様とお母様と佐彦様に相談して庇護し、天宮家で仕えてもらうのも悪くないと思う。
すべては彼女の考え次第なので、確認できるまでは動かないけれど。
出会って、仲良くできそうな従姉妹の行く末が良くないものなのは私も望まないので、手助けできるのであればしたいと思った。
彼女は義妹に単価が切れるほどにはっきりとした考えと態度を取れる、素晴らしい人物だから。
「聴感覚は本当にすごい異能ですね。離れた場所からでも、知りたい場所、人の情報が集まるのですから」
千佳子の言葉に私は頷きつつ答える。
「木々の能力が格別なのよね。地続きであれば根っこから情報伝達できるなんて、そんな彼らから話しかけてもらえるのだもの。感謝しなければならないわ。この力で佐彦様の国守りのお手伝いが出来るのだし」
聴感覚は、とっても便利だし有能であり稀有な力だ。
だからこそ、佐彦様と共に正しきことに使わなければ。
情報をくれる木々や生き物からの協力は得られないだろうから。
神の花嫁になれたからこそ、きっとこの力を存分に発揮できることだろう。
さて、車止めにそろそろ到着するので義妹はもうひと騒ぎするだろうことに心で大きなため息をつきつつ表情をしっかり落ち着けて向かう。
「ごきげんよう、第三皇女殿下。本日より三学年に入りました。天宮メノウと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
私は義妹は一切無視して、その場で一番の高位である皇女殿下へと挨拶した。
皇女殿下は真面目で、勉学にもしっかり取り組み各家の様子や家のことを熟知していると聞いている。
そして天宮家が神の一族であり、その嫁が神と人の間の神人になることもご存じだという。
真面目に勉学に励むからこそ皇族に残る資料もしっかり読み込んでいるのだと、皇宮の木々が誇らしげに教えてくれたと女学館の木々が教えてくれたのだから。
「ごきげんよう、天宮様。本日からご登校とのこと、有意義に過ごせそうですか?」
そんな皇女殿下の問いかけに、私は笑顔で答える。
「えぇ、大変充実しそうで楽しみです。なにしろ生家では家庭教師も学校へも通わせてもらえず、こちらの千佳子が持ち帰る教科書で独学で学びましたの。師に習う女学館に通えることが楽しくてなりません」
私は正直な気持ちをお伝えすれば、皇女殿下はチラッと義妹を見た後ににこやかに告げた。
「それはよかったです。ぜひ、女学館の生活を有意義にお過ごしいただければと父と兄も申しておりました。なにかあれば私に一声おかけくださいな。天宮家の若奥様のお力になりましょう」
皇女殿下からの言葉に、隣で驚いたまま固まる義妹。
本当に天宮家を理解していなかったのでしょうね。
これから、しっかりすればいいのだけれど、他責志向の義妹なのできっと難しいでしょう。
「では、ごきげんよう」
車に乗り込み、皇女殿下が立ち去るとその次に来た車を見て義妹がなんでという顔をしている。
「なんでうちの車じゃないの?! こんな、うちのお荷物だったお姉様の車が先に来るなんておかしいじゃない!!」
それには、私が一言返すしかないので言いました。
「一ノ宮は侯爵家、天宮家は皇族に次ぐ公爵家だから。皇族以外での貴族家の序列一位が天宮家なの。だから女学館が皇女様の次に天宮家の車を通すのよ。今日の一連の出来事は天宮家から抗議するので、しっかり反省するように」
「はぁ?! いなくなったと思ったら結婚しているなんて。普通結婚したら女学館には来ないでしょう?!意味わかんない!」
どこまでも自分のことだけの義妹に私はため息一つ付き、別れの挨拶となりました。
「まぁ、もう関わることも無いでしょう。ごきげんよう」
そう言って天宮家の車に乗り込み大屋敷へと帰宅の途に就く。
「若奥様、しっかり一ノ宮には抗議しておきますからね」
まさかの柳からも、抗議について言われてしまい私は苦笑せざるおえない。
あの子はこの先苦労して理解できればいいのだけれど。
難しいでしょうね……。
暗黙のルールなのか、三年生の高位の家から進みます。
三年生で一番の高位は天宮家の私。
ですが学年を超えることが許されるのが皇族。
なので二年生の第三皇女殿下から、迎えの車に乗り込むのが女学館のルール。
一番手ではないので私はすこしゆっくり車止めに向かうことにしました。
ちなみに今までは三年生からのルールの例外第三皇女殿下の次はなぜかうちの義妹が一ノ宮の車をつけて帰宅していたとのこと。
そしてきっと今日もそのままだろうことを予測していたら、木々が今日もすでに第三皇女と義妹が一緒に車止めに居ること。
しかし、皇女殿下の車の次は我が天宮の迎えの車であり、一ン宮はその次になっていることを知らせてくれた。
「いつも皇女殿下のあとには一ノ宮の車が控えていましたから、きっと皇女殿下にくっついて一ノ宮の令嬢も居るので鉢合わせるかと思います」
千佳子もそう言っているし、木々からの報告でもすでに車止めに居るのは確認済み。
「えぇ、すでに車止めに皇女殿下と一緒にいるそうよ。木々が教えてくれたわ。まぁ、今日の出来事は皇帝にも一ノ宮にもお父様とお母様に佐彦様から抗議が飛ぶから、明日には私への謝罪と共に義妹は女学館での居場所がなくなるかもしれないわね。天宮家の名を把握していない時点で貴族令嬢としての欠陥が露呈しているもの」
お勉強が嫌いでも各家の家柄と家格、自分の家との差を把握していないのは大いなる間違いである。侯爵家だから早々上の家が少ない。だからこそ自分の家より高位の家は覚えなければいけないというのに。
それに数の多い伯爵家の中には商業や交易で一ノ宮よりすでに大きい家だってあるということを、あの子は理解していないでしょう。
「これにて一ノ宮は斜陽に傾くでしょうね。あの子に婿入りするような奇特な男性は居ないでしょうし。お父様の能力ではこの曲難を乗り切れるか怪しいところ。稼業の建設業も無茶がそろそろ露呈して、世間からの批判が出始める頃でしょう」
聴感覚は、澄まして耳を傾ければ自身のほしい情報を持つものから情報を得ることが出来る。
大変稀有で有能であり、世間すら動かせるほどの能力で多大なる異能だ。
白鷗家の先見の巫女だった母を大事にしていれば、その娘の私の異能も白鷗家の力になったかもしれない。
すべては母の時の失策によりタラればの話になっているが。
だからこそ、それを理解し私に手出しすることはないと断言できる希望さんとそのご両親はもったいないと感じる。
特に希望さんは、親に近い年齢の男爵の後妻に入る予定とか。男爵に関しては良いうわさは全く聞かない。
幸せになれる予感の無い結婚に、彼女自身はどう感じているのか、その意思が確認出来たら。
結婚が嫌だと思うなら、お父様とお母様と佐彦様に相談して庇護し、天宮家で仕えてもらうのも悪くないと思う。
すべては彼女の考え次第なので、確認できるまでは動かないけれど。
出会って、仲良くできそうな従姉妹の行く末が良くないものなのは私も望まないので、手助けできるのであればしたいと思った。
彼女は義妹に単価が切れるほどにはっきりとした考えと態度を取れる、素晴らしい人物だから。
「聴感覚は本当にすごい異能ですね。離れた場所からでも、知りたい場所、人の情報が集まるのですから」
千佳子の言葉に私は頷きつつ答える。
「木々の能力が格別なのよね。地続きであれば根っこから情報伝達できるなんて、そんな彼らから話しかけてもらえるのだもの。感謝しなければならないわ。この力で佐彦様の国守りのお手伝いが出来るのだし」
聴感覚は、とっても便利だし有能であり稀有な力だ。
だからこそ、佐彦様と共に正しきことに使わなければ。
情報をくれる木々や生き物からの協力は得られないだろうから。
神の花嫁になれたからこそ、きっとこの力を存分に発揮できることだろう。
さて、車止めにそろそろ到着するので義妹はもうひと騒ぎするだろうことに心で大きなため息をつきつつ表情をしっかり落ち着けて向かう。
「ごきげんよう、第三皇女殿下。本日より三学年に入りました。天宮メノウと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
私は義妹は一切無視して、その場で一番の高位である皇女殿下へと挨拶した。
皇女殿下は真面目で、勉学にもしっかり取り組み各家の様子や家のことを熟知していると聞いている。
そして天宮家が神の一族であり、その嫁が神と人の間の神人になることもご存じだという。
真面目に勉学に励むからこそ皇族に残る資料もしっかり読み込んでいるのだと、皇宮の木々が誇らしげに教えてくれたと女学館の木々が教えてくれたのだから。
「ごきげんよう、天宮様。本日からご登校とのこと、有意義に過ごせそうですか?」
そんな皇女殿下の問いかけに、私は笑顔で答える。
「えぇ、大変充実しそうで楽しみです。なにしろ生家では家庭教師も学校へも通わせてもらえず、こちらの千佳子が持ち帰る教科書で独学で学びましたの。師に習う女学館に通えることが楽しくてなりません」
私は正直な気持ちをお伝えすれば、皇女殿下はチラッと義妹を見た後ににこやかに告げた。
「それはよかったです。ぜひ、女学館の生活を有意義にお過ごしいただければと父と兄も申しておりました。なにかあれば私に一声おかけくださいな。天宮家の若奥様のお力になりましょう」
皇女殿下からの言葉に、隣で驚いたまま固まる義妹。
本当に天宮家を理解していなかったのでしょうね。
これから、しっかりすればいいのだけれど、他責志向の義妹なのできっと難しいでしょう。
「では、ごきげんよう」
車に乗り込み、皇女殿下が立ち去るとその次に来た車を見て義妹がなんでという顔をしている。
「なんでうちの車じゃないの?! こんな、うちのお荷物だったお姉様の車が先に来るなんておかしいじゃない!!」
それには、私が一言返すしかないので言いました。
「一ノ宮は侯爵家、天宮家は皇族に次ぐ公爵家だから。皇族以外での貴族家の序列一位が天宮家なの。だから女学館が皇女様の次に天宮家の車を通すのよ。今日の一連の出来事は天宮家から抗議するので、しっかり反省するように」
「はぁ?! いなくなったと思ったら結婚しているなんて。普通結婚したら女学館には来ないでしょう?!意味わかんない!」
どこまでも自分のことだけの義妹に私はため息一つ付き、別れの挨拶となりました。
「まぁ、もう関わることも無いでしょう。ごきげんよう」
そう言って天宮家の車に乗り込み大屋敷へと帰宅の途に就く。
「若奥様、しっかり一ノ宮には抗議しておきますからね」
まさかの柳からも、抗議について言われてしまい私は苦笑せざるおえない。
あの子はこの先苦労して理解できればいいのだけれど。
難しいでしょうね……。



