現世の大屋敷にも衣装や化粧品にアクセサリーなどと共に、寝具や文机などのある大きな私専用のお部屋があった。
そこには、佳也子と千佳子がすでに部屋を整えたりして待っていてくれた。
五日ぶりの再会である。
いままでずっと一緒だったのでこんなに離れたことが無かったので顔を見るとホッとした。
「佳也子、千佳子。こちらに来てくれたのね、良かった。こちらに来ることもあるから、よろしくね」
私の言葉に佳也子も千佳子も微笑んで頷く。
「もちろんです、若奥様。こちらでこのまま末永く、若奥様にお仕えさせていただきます」
そんな佳也子と千佳子の姿はお屋敷の生き物たちには大変好評であり、気に入られている。
『さすがは幼き日々から巫女姫にお仕えしていた母娘ね。気も清廉で気に入ったわ』
『本当ね。この二人になら安心して巫女姫のお世話が頼めるわね』
『さっきのおかしな人の子と比べちゃダメよ。こちらはしっかりしているもの』
などと花や鳥たちが嬉しそうに話しているので、二人がお屋敷に受け入れられたようで安心する。
そして千佳子が言った。
「若奥様、若旦那様が来週から一緒に女学校に通うようにと仰せです。ようやっと若奥様も学び舎へ行けますね」
そんな千佳子の言葉には生き物たちも舞い上がったように喜んでくれる。
『我らの巫女姫がようやく学び舎へ行けるのね。ずっと邸の外に出してくれなかったものね』
『良かったわ。これで巫女姫に多くの者たちの声が届く』
そんな声も聞こえて来た。
「そうなの?私、女学校へ行けるの?」
私の疑問形に佐彦様が答えてくれる。
「あぁ、天宮メノウとして通うといい。学校でしか得られない経験がある。メノウには少ない期間になるが三年次に編入の手続きは取ったから千佳子と通うといい」
そんな手配までしてくれていたとは思わず驚いた。
普通結婚したらそこで学校も退学の手続きを取るものだと千佳子から聞いていたので、てっきりここからはお母様に付いて家内の切り盛りを学ぶものだと思っていたから女学校に行くように言われるとは思っていなかった。
でも、ずっと学校に行ってみたかった。
私の夢がまた一つ叶うのを、喜ばないでいられるはずがない。
「ありがとうございます、佐彦様。嬉しいです」
偽りのない私の言葉に佐彦様は、頷いて私の頭を撫でつつ言った。
「送迎に運転手も付けるから、安心するといい。運転手は栄の夫だから安心するといい」
至れり尽くせりとはまさにこのことだろう。
佳也子と千佳子も来てくれて、天宮の大屋敷での新生活に馴染みの二人が加わったことに安堵したのだった。
説明を受けて改めてみれば現世の部屋には女学校の制服も用意されていて、文机の側の本棚にはしっかりと教科書も準備されている。
通学のための準備がしっかりなされていたのが見て取れる。
「一体、いつから編入の準備がされていたのかしら?」
私の呟きには栄がニッコリと答える。
「もちろん、十七歳のお誕生日後にこちらから通えるように早々に若様が手配しておりましたよ」
栄は私の呟きにさえ、きっちり返事をくれる。
お世話の時もマメだし、作る衣裳も大変すばらしいので細かいところまで行き届く神使の鏡のような献身ぶりである。
「一ノ宮で、メノウ様が居なくなった責を問うようなことがあれば暇を取ってすぐに天宮の大屋敷に来るよう言ってくださったのも若旦那様でした。メノウ様、ようございましたね。私たちもそのままメノウ様に仕えて良いとの言葉に大変嬉しく思いました」
佳也子の言葉に千佳子も頷き、そして微笑んで言う。
「このお屋敷に着てすぐに若旦那様は私に聞かれたのです。メノウは学校に通いたいだろうか?と。私はメノウ様はずっと外の学校で学ぶことを希望しておられましたが、一ノ宮ではメノウ様の声が届かず歯がゆかったのですと正直に話しました。そしたらホッとした顔をして若旦那様がおっしゃったのです。来週から一緒に女学校に通っておくれと。準備は済んでいるとのことに私も驚きましたが嬉しゅうございました」
千佳子が来ているのとお揃いの女学校の制服。
紺のセーラーカラーに赤のリボン、くるぶしまでのプリーツスカート。
茶色のローファーに茶色の手提げかばんまで、すべて女学校の指定の道具が揃っている。
筆箱には、鉛筆と消しゴムと赤鉛筆に定規までしっかりと入っている。
「ずっと一ノ宮の離れの小屋が私の世界だったけれど、天宮では外に行けるし学校にも行けるのね。これから行きたいところもやりたいことも叶うのね。私の声は聴いてもらえるのね」
私の言葉に、少し瞳を潤ませながら佳也子が左様にございますと答える。
そしてそんな佳也子に栄が頷いて肩を叩く、大丈夫だというように。
「ここではメノウ様は既に神人でございます。神でもあり人でもある、どちらも知る神に近しい物、神様の花嫁ですので半分神様ですね。そして聴感覚で生き物の声を聞き届ける女神でもあります。声を聴くためには、どこにでも行けねば。巫女姫で女神たるメノウ様を止める者などここには誰一人おりません」
栄の言葉に庭の生き物たちも同意を示しており、私は天宮メノウとなったことでようやく自由を得られたのだと気づいたのだった。
そこには、佳也子と千佳子がすでに部屋を整えたりして待っていてくれた。
五日ぶりの再会である。
いままでずっと一緒だったのでこんなに離れたことが無かったので顔を見るとホッとした。
「佳也子、千佳子。こちらに来てくれたのね、良かった。こちらに来ることもあるから、よろしくね」
私の言葉に佳也子も千佳子も微笑んで頷く。
「もちろんです、若奥様。こちらでこのまま末永く、若奥様にお仕えさせていただきます」
そんな佳也子と千佳子の姿はお屋敷の生き物たちには大変好評であり、気に入られている。
『さすがは幼き日々から巫女姫にお仕えしていた母娘ね。気も清廉で気に入ったわ』
『本当ね。この二人になら安心して巫女姫のお世話が頼めるわね』
『さっきのおかしな人の子と比べちゃダメよ。こちらはしっかりしているもの』
などと花や鳥たちが嬉しそうに話しているので、二人がお屋敷に受け入れられたようで安心する。
そして千佳子が言った。
「若奥様、若旦那様が来週から一緒に女学校に通うようにと仰せです。ようやっと若奥様も学び舎へ行けますね」
そんな千佳子の言葉には生き物たちも舞い上がったように喜んでくれる。
『我らの巫女姫がようやく学び舎へ行けるのね。ずっと邸の外に出してくれなかったものね』
『良かったわ。これで巫女姫に多くの者たちの声が届く』
そんな声も聞こえて来た。
「そうなの?私、女学校へ行けるの?」
私の疑問形に佐彦様が答えてくれる。
「あぁ、天宮メノウとして通うといい。学校でしか得られない経験がある。メノウには少ない期間になるが三年次に編入の手続きは取ったから千佳子と通うといい」
そんな手配までしてくれていたとは思わず驚いた。
普通結婚したらそこで学校も退学の手続きを取るものだと千佳子から聞いていたので、てっきりここからはお母様に付いて家内の切り盛りを学ぶものだと思っていたから女学校に行くように言われるとは思っていなかった。
でも、ずっと学校に行ってみたかった。
私の夢がまた一つ叶うのを、喜ばないでいられるはずがない。
「ありがとうございます、佐彦様。嬉しいです」
偽りのない私の言葉に佐彦様は、頷いて私の頭を撫でつつ言った。
「送迎に運転手も付けるから、安心するといい。運転手は栄の夫だから安心するといい」
至れり尽くせりとはまさにこのことだろう。
佳也子と千佳子も来てくれて、天宮の大屋敷での新生活に馴染みの二人が加わったことに安堵したのだった。
説明を受けて改めてみれば現世の部屋には女学校の制服も用意されていて、文机の側の本棚にはしっかりと教科書も準備されている。
通学のための準備がしっかりなされていたのが見て取れる。
「一体、いつから編入の準備がされていたのかしら?」
私の呟きには栄がニッコリと答える。
「もちろん、十七歳のお誕生日後にこちらから通えるように早々に若様が手配しておりましたよ」
栄は私の呟きにさえ、きっちり返事をくれる。
お世話の時もマメだし、作る衣裳も大変すばらしいので細かいところまで行き届く神使の鏡のような献身ぶりである。
「一ノ宮で、メノウ様が居なくなった責を問うようなことがあれば暇を取ってすぐに天宮の大屋敷に来るよう言ってくださったのも若旦那様でした。メノウ様、ようございましたね。私たちもそのままメノウ様に仕えて良いとの言葉に大変嬉しく思いました」
佳也子の言葉に千佳子も頷き、そして微笑んで言う。
「このお屋敷に着てすぐに若旦那様は私に聞かれたのです。メノウは学校に通いたいだろうか?と。私はメノウ様はずっと外の学校で学ぶことを希望しておられましたが、一ノ宮ではメノウ様の声が届かず歯がゆかったのですと正直に話しました。そしたらホッとした顔をして若旦那様がおっしゃったのです。来週から一緒に女学校に通っておくれと。準備は済んでいるとのことに私も驚きましたが嬉しゅうございました」
千佳子が来ているのとお揃いの女学校の制服。
紺のセーラーカラーに赤のリボン、くるぶしまでのプリーツスカート。
茶色のローファーに茶色の手提げかばんまで、すべて女学校の指定の道具が揃っている。
筆箱には、鉛筆と消しゴムと赤鉛筆に定規までしっかりと入っている。
「ずっと一ノ宮の離れの小屋が私の世界だったけれど、天宮では外に行けるし学校にも行けるのね。これから行きたいところもやりたいことも叶うのね。私の声は聴いてもらえるのね」
私の言葉に、少し瞳を潤ませながら佳也子が左様にございますと答える。
そしてそんな佳也子に栄が頷いて肩を叩く、大丈夫だというように。
「ここではメノウ様は既に神人でございます。神でもあり人でもある、どちらも知る神に近しい物、神様の花嫁ですので半分神様ですね。そして聴感覚で生き物の声を聞き届ける女神でもあります。声を聴くためには、どこにでも行けねば。巫女姫で女神たるメノウ様を止める者などここには誰一人おりません」
栄の言葉に庭の生き物たちも同意を示しており、私は天宮メノウとなったことでようやく自由を得られたのだと気づいたのだった。



