「おはよう」
「おう!あれ?一人?」
眠い目をこすりながら、下駄箱で靴を変える。寝ぼけすぎて一度だけ外靴でいたことあるから確認する。声をかけてきたのは、連。連も寝坊したのか、髪の毛に寝癖がついてる。
「うん、僕、寝坊しちゃって、みゆと康太には先に行っててって言った。」
「そうか。」
「連も寝坊?」
寝坊について語り合いながら、教室へ向かう。だんだん春も終わり、風もぬるくて蒸し暑くなってきた。でも紫陽花を見れるのは楽しみ。
「あれ、二人一緒って珍しいな。」
もう先に登校して席に着いてた康太が手を振って声をかけてくる。
「あれ、みゆは?」
「あそこ。」
康太が指を差した先は、廊下で、みゆはクラスの女の子といつもみんなに見せる、爽やかだけど、目が笑っていない作り笑顔で喋っている。
「いや、本当にみゆの対応の違いはすごいですなー。」
連は窓のふちに手を乗せて上半身の体重を預ける。そして、感心しているため息をつきながら僕をちらっと見る。
「でも、今こうだけど、昔はね。酷かったよね。陽太。」
康太は僕の肩に手を乗せて体を窓から乗り出しみゆを見る。
「昔?」
連は興味津々で僕と康太を見比べている。康太は説明してもいい?と言いたそうに僕の目をじっと見つめてくる。
「うん。まあね。僕から説明しようか。あれは、小学6年生の時かな。」
ーーーーーーー
「えー。美幸って名前変だよね!」
小6になっても子供っぽかったクラスメイトの男子達が長年、みゆをいじめていた。馬鹿だよね。みゆに勝てるのが名前しかなかったからこうやって絡んだんだろう。
「何言ってるの?みゆは、綺麗で美しくて幸せに満ちてるから、この名前でも変じゃないでしょ!!」
本当は触れてほしくないのかもだけど、いつも笑顔のみゆの少し傷ついた曇った顔を見たくなくて何度も反対した。
「陽太は嫌じゃないの?俺の名前。」
「嫌なわけない!綺麗でいいと思うよ!」
みゆは二人きりになるとこうやって聞いてきたことがあった。だからみゆも嫌なんだろう。
そして反抗すること1年。中学生に上がった。中学生になった途端、恋を意識してきた女子たちがみゆを囲い始めた。それによって、名前を馬鹿にできず、それどころか、勉強も運動もできて、誰にでも優しいみゆは男子達からも愛されるようになった。そんな優しいみゆは一人だけ冷たい対応をしている人がいた。それは、
僕。
理由は分からない。中学に上がった途端だ。それは、最初の登校日のことだ。
「ピンポーン」
いつも通り、迎えに来てくれると思っていたら、中々来ないため珍しく僕はみゆの家に向かった。
「はーい。あれ、陽太君?どうしたの?」
出てきたのはみゆのお母さん。食器洗い中だったのか、慌てて、出てきてくれた。
「あれ、みゆは?」
チラッと家を覗くが物音ひとつしない。
「みゆならもう行ったけど。まさか、置いてかれたの?」
おいて、かれた?それを聞いた途端、放心状態になり、学校に着くまで記憶がない。
「おはよう。あれ、みゆとは来てないの?」
康太があまりにも落ち込んでいる僕に見かねて声をかけてくれた。
「……康太ー!!」
僕は思わず泣きついてしまった。そんな僕に康太は優しく頭を撫でてくれた。なぜか痛い視線を感じたけど、康太のファンだろう。無視しよう。
「で、本当に何もしてないの?」
康太は話を聞いてくれたが、なぜ優しいみゆが冷たいのか二人とも分からなかった。
「うーん。でもあのみゆなら相当の理由がない限りそんな態度取るとは思えないけど。」
「だよね!僕なんかしたかな?」
康太は僕から離れて肩に手を置く。
「とりあえず、みゆが許すのを待とう!」
康太は目を曇らせながらも僕を元気づけるために笑顔を見せた。
「み、みゆ、おはよう。」
「……。」
勇気を振り絞り、服の裾を掴みながら、みゆに声をかけるも無視して逃げられた。
「……陽太。」
あれから数日、どんなに話しかけても無視。さらには距離も置かれた。あの優しいみゆはどこへ。見かねた康太が僕の背中をさすってくれる。
「なんでだろう。」
「な、俺には普通に話すのにね。でも別のいわゆるカースト上位のつまんないグループにいるなんてみゆらしくない。」
やっぱり康太の目から見ても変なんだ。僕なにしたんだろう。僕は最近毎日夜寝る前に泣いてる。
「ほら、これ食う?」
どんだけ日が経っても酷くなる一方。僕は元気がなくなるどころか、気まずさから不登校になりかけていた。
「ありがとう。」
そんな僕に康太は自分の大切な、康太のお兄ちゃんが作った弁当の僕が好きなおかずをくれる。
「元気出せ!大丈夫。いつかまた仲良くなれるよ!」
その日が来るのは果たしていつか。来るのか。そして僕は今年も梅雨の時期に熱を出した。
「おう!あれ?一人?」
眠い目をこすりながら、下駄箱で靴を変える。寝ぼけすぎて一度だけ外靴でいたことあるから確認する。声をかけてきたのは、連。連も寝坊したのか、髪の毛に寝癖がついてる。
「うん、僕、寝坊しちゃって、みゆと康太には先に行っててって言った。」
「そうか。」
「連も寝坊?」
寝坊について語り合いながら、教室へ向かう。だんだん春も終わり、風もぬるくて蒸し暑くなってきた。でも紫陽花を見れるのは楽しみ。
「あれ、二人一緒って珍しいな。」
もう先に登校して席に着いてた康太が手を振って声をかけてくる。
「あれ、みゆは?」
「あそこ。」
康太が指を差した先は、廊下で、みゆはクラスの女の子といつもみんなに見せる、爽やかだけど、目が笑っていない作り笑顔で喋っている。
「いや、本当にみゆの対応の違いはすごいですなー。」
連は窓のふちに手を乗せて上半身の体重を預ける。そして、感心しているため息をつきながら僕をちらっと見る。
「でも、今こうだけど、昔はね。酷かったよね。陽太。」
康太は僕の肩に手を乗せて体を窓から乗り出しみゆを見る。
「昔?」
連は興味津々で僕と康太を見比べている。康太は説明してもいい?と言いたそうに僕の目をじっと見つめてくる。
「うん。まあね。僕から説明しようか。あれは、小学6年生の時かな。」
ーーーーーーー
「えー。美幸って名前変だよね!」
小6になっても子供っぽかったクラスメイトの男子達が長年、みゆをいじめていた。馬鹿だよね。みゆに勝てるのが名前しかなかったからこうやって絡んだんだろう。
「何言ってるの?みゆは、綺麗で美しくて幸せに満ちてるから、この名前でも変じゃないでしょ!!」
本当は触れてほしくないのかもだけど、いつも笑顔のみゆの少し傷ついた曇った顔を見たくなくて何度も反対した。
「陽太は嫌じゃないの?俺の名前。」
「嫌なわけない!綺麗でいいと思うよ!」
みゆは二人きりになるとこうやって聞いてきたことがあった。だからみゆも嫌なんだろう。
そして反抗すること1年。中学生に上がった。中学生になった途端、恋を意識してきた女子たちがみゆを囲い始めた。それによって、名前を馬鹿にできず、それどころか、勉強も運動もできて、誰にでも優しいみゆは男子達からも愛されるようになった。そんな優しいみゆは一人だけ冷たい対応をしている人がいた。それは、
僕。
理由は分からない。中学に上がった途端だ。それは、最初の登校日のことだ。
「ピンポーン」
いつも通り、迎えに来てくれると思っていたら、中々来ないため珍しく僕はみゆの家に向かった。
「はーい。あれ、陽太君?どうしたの?」
出てきたのはみゆのお母さん。食器洗い中だったのか、慌てて、出てきてくれた。
「あれ、みゆは?」
チラッと家を覗くが物音ひとつしない。
「みゆならもう行ったけど。まさか、置いてかれたの?」
おいて、かれた?それを聞いた途端、放心状態になり、学校に着くまで記憶がない。
「おはよう。あれ、みゆとは来てないの?」
康太があまりにも落ち込んでいる僕に見かねて声をかけてくれた。
「……康太ー!!」
僕は思わず泣きついてしまった。そんな僕に康太は優しく頭を撫でてくれた。なぜか痛い視線を感じたけど、康太のファンだろう。無視しよう。
「で、本当に何もしてないの?」
康太は話を聞いてくれたが、なぜ優しいみゆが冷たいのか二人とも分からなかった。
「うーん。でもあのみゆなら相当の理由がない限りそんな態度取るとは思えないけど。」
「だよね!僕なんかしたかな?」
康太は僕から離れて肩に手を置く。
「とりあえず、みゆが許すのを待とう!」
康太は目を曇らせながらも僕を元気づけるために笑顔を見せた。
「み、みゆ、おはよう。」
「……。」
勇気を振り絞り、服の裾を掴みながら、みゆに声をかけるも無視して逃げられた。
「……陽太。」
あれから数日、どんなに話しかけても無視。さらには距離も置かれた。あの優しいみゆはどこへ。見かねた康太が僕の背中をさすってくれる。
「なんでだろう。」
「な、俺には普通に話すのにね。でも別のいわゆるカースト上位のつまんないグループにいるなんてみゆらしくない。」
やっぱり康太の目から見ても変なんだ。僕なにしたんだろう。僕は最近毎日夜寝る前に泣いてる。
「ほら、これ食う?」
どんだけ日が経っても酷くなる一方。僕は元気がなくなるどころか、気まずさから不登校になりかけていた。
「ありがとう。」
そんな僕に康太は自分の大切な、康太のお兄ちゃんが作った弁当の僕が好きなおかずをくれる。
「元気出せ!大丈夫。いつかまた仲良くなれるよ!」
その日が来るのは果たしていつか。来るのか。そして僕は今年も梅雨の時期に熱を出した。
