独占欲の強い王子様(?)幼なじみ君

それは遡ること少し前。

「東堂君!ちょっと、体育祭の準備の関係で来てくれない?」

教室で昼休みをのんびりと過ごしていると、このあと体育祭の話があるため少し実行委員が忙しそうだった。みゆは運動もできるため、話があるようだ。

「みゆ。呼ばれてるよ。」

とはいえ、みゆはいつも通りで僕を膝の上にのせて僕の背中に顔をうずめて唸っている。

「……陽太充電が足りない!」

とか文句も言っている。そう言ってても仕方ないため、無理やり立たせて押し出した。

「いやー、本当にどっちも赤ちゃんだよな。」

そばで見届けていた連はあきれた様子でパンを食べながらつぶやく。

「まあ、それが相性いいんでしょ。陽太もみゆも。」

酷い言われようだが、僕は反応しない。だって反応してこれ以上何か言われたら僕はきっと恥ずかしくてみゆの顔が見れない。

「ねえねえ、堂本君?」

珍しく苗字を呼ばれて思いっきり振り返る。見ると、体育祭実行委員の子と普通のクラスメイトの女の子たちが立っていた。

「ちょっといいかな?」

鬼のような圧と両手を腰にあててる姿に僕はすぐに立ち上がる。

「は、はい!」

連と康太も抵抗できないのか目を逸らす。

「来て。」


そういわれて連れてこられたのは、人気の少ない廊下。僕、殴られる?!そう思っても体は恐怖から言うことを聞かずに足を動かして後を追う。

「単刀直入に言うよ?
東堂君と東岩君を体育祭の応援団に入れてほしいの!」

「はい!?」

嫌だよ。みゆも康太も嫌がってるの知ってるし、僕が二人にお願いする理由もないし。

「お願い!学校の皆のお願いなの!!」

先ほどの威圧的な雰囲気とは打って変わり、両手を合わせて乙女の顔でお願いしてくる。

「でも。」

正直、みゆは僕がお願いすればやりそうだし、康太はお兄ちゃんで釣れば行ける。でもそんな戦いをわざわざする理由は。

「堂本君ってアイス好きだったよね?」

思いもしない発言にドキッとする。女の子達は悪代官のようにごそごそとポケットから一枚の紙を出す。

「二人に頼んでくれるならこれを上げるけど?」
「これは!!」

手に持っていたのは一個、500円くらいする有名アイス屋さんの5000円分のチケット。ここのアイス屋さんもおいしいし、チェーン店だけど高校生の僕には中々手の届かない。そんなお店の5000円!?目を逸らせない。女の子たちは作戦成功と思ったのか、チケットを左右に動かすので僕は目を逸らさずに追っかける。

「ほれほれ。これが欲しいでしょ?」

僕は唾を飲み込む。欲しい!これのためなら!!

「分かった。交渉成立で!」
「よし!」

女子たちはそのあと何度も飛んでハイタッチをし合っていた。さて、ここで問題。果たして二人をどう説得するか。

「ただいま!」
「おかえりなさい!あ、陽太!お手伝いしてくれない?康太君の家にこれ、届けてくれない?」

どうしようか迷ってたらちょうどよかった!確か、今日、康太のお兄ちゃんいたよな?大チャンスだ!

「いいよ!行ってくる!」


次の日学校に着くと女子達がこそこそと話していて康太をチラチラ見ていた。

「おはよう!」
「おはよう!なあ!陽太聞いて!お兄ちゃんがさ!」

話を聞くと、康太のお兄ちゃんと話していると運動会の話になり、お兄ちゃんは昔、応援団に憧れがあったらしい。でもいろいろな事情でできなくて、でも好きだから康太の運動会に見に行って応援団を見てもいい?と聞かれたらしい。お兄ちゃん大好きな康太は、自分以外の人をそんなにキラキラした目で見ないでほしい。そう言うと、康太の応援団の姿も見たいな!と言われて応援団に入ろうとしたらしい。

「なんでだろうな!そんな話聞いたことなかったけど。」
「まあ、いいじゃん!頑張れ!お兄ちゃん見てるよ!」

よっしゃ!作戦通り!実は昨日に康太のお兄ちゃんに会ってお願いしておいたんだ。僕にも優しいから理由を話したら「仕方ないな。」と条件無しで聞いてくれた。
そして康太に気づかれずに女子達は僕に向かってグッドポーズをしてきた。
さて問題のみゆだ。

「陽太。吸わせて。」
「いや!猫じゃないから!」

そう言いながら運動会の計画で疲れているみゆが僕を吸いに来た。いや、僕、猫みたいになんか出てる?

「お疲れさん?」
「まあね。」

少しの間バックハグをされる。首元に息が当たってくすぐったい。てかすごい音で吸ってない?さすがに周りの女子も慣れててもチラッと見てくる。

「みゆは応援団しないの?」

康太はすっかりお兄ちゃんで頭がいっぱいで相当楽しみなようだ。まあ康太は元々応援団に向いてるけど。

「……しない。それなら陽太といる。」

みゆは一回、吸うのをやめたが、冷たく返事をしてまた埋もれる。
これはチャンスか!?

「そうなんだ!でも応援団ってかっこいいよね!」

みゆは止まった。疲労から回ってない頭を何とかフル回転しているのだろう。

「……陽太好きなの?」
「うん!かっこいいよね!服とか、動きとか!
あー。惚れちゃうな!」

特に意識せず出た「惚れちゃうな。」の言葉に明らかにみゆは反応して抱きしめる手に力が入った。

「ふーん。」

だがみゆは何も言わない。あれ、失敗かな?でも今押さないで放置したらきっと!


「では、応援団入りたい人!」
「はい!」
「……はい。」

なんと二人とも手を上げた!