独占欲の強い王子様(?)幼なじみ君

「まあ、昔からだよね。」

僕らがいつも通りに過ごすから、少し落ち着いて復活した康太が腕を机について頬杖をして、大きなため息をつく。

「羨ましい限りだ。そんなに愛してくれる人がいて。」

康太のため息の原因はそれか。確かにみゆは僕のことを愛してくれる。でもそれは康太が求めてるような恋ではないような。

「そうだよなー。こんなに慣れてるのは長年のみゆの計画だろうな。」

計画?何の話だ?聞こうとしたら、連は緩んだ顔をハッとさせて戸惑っている。

「何でもないよ!
……ってか、長年だったらさすがの鈍い陽太でも気づきそうだが?」

慌てて僕から離れて康太のもとに向かいこそっと何かを話している。

「……まあ、仕方ないよね。中学生の頃があるから。」
「……中学生?なんかあったのか?」
「……俺からの口からはちょっと。」

何をこそこそ話してるか知らないけど、康太は頭をかいて言いにくそう。

「何の話してんの?」

ちょうど康太が困っていて、連が僕に話しかけようと近寄って来たタイミングでみゆが戻ってきた。

「少し、世間話を!ね!」

康太は何か相当言いにくいのか連の肩に手を回して引き攣った笑みを見せている。

「あ!授業始まるよ!」

その一言で皆は自分の席に戻った。


「ですので、この人物は何を考えていたのか。」

今は四時間目の授業中。なんだか空腹のせいか、頭がボーっとする。心なしか顔も熱いような。まあ昼ご飯までの辛抱だ。それにしても、()から見たら、独占や重く見えるんだ。正直、中学生の頃とのみゆは別人のようだ。原因は不明。でも最近、いや、高校に上がってから、小学生の頃よりも拍車がかかった気がする。このことを考えてるせいでボーっとするのかも。その後も僕は窓を見ながら先生の授業の声をBGMにして考えこむ。

「よっしゃー!昼飯だ!!」

両手を上げて今日一口角を上げる笑顔で弁当を持って近寄ってくる。

「陽太。こっちおいで。」

康太がいつも通りみんなの机と椅子をくっつけてくれたのでありがたく座ろうとすると、みゆは僕を手招く。僕は何も考えずに横に座り、そこでハッとなる。こういうところが独占欲なのかな?というか独占欲よりも怖いのは、ダメ人間にされてないか!いや、怪しいぞ。最近、僕もみゆを甘やかしてるけど、僕もみゆや康太たち以外とまともに話してない!これは外堀を埋められている?

「た、陽太、陽太!」

ハッとなると、皆が顔を覗きこんでいた。

「大丈夫?どこか調子悪いのか?」

連はこんな僕を見るのが初めてだからオロオロしている。

「……熱だな。」
「あー、やっぱり?この季節はだめだね。陽太君。」

みゆは業務のように僕のおでこを触り、真顔で頭を撫でる。康太は毎回すぎて、「また来ましたか」と言いそうだけど、心配して珍しく弁当を食べる手を止めた。そう。僕が梅雨が嫌いな理由。それは毎年と言っていいほど、熱を出すからだ。

「え、熱!?
 ……でも二人は冷静だな?」
「毎年だからねー。じゃあ、保健室行ってきな。みゆ頼んだ。多分帰ることになるけどねー。」
「そんなに高いのか!?」

そんな二人の話を聞いていると、さらに体が宙に浮いてるような感覚になって、頭が割れそうなほど痛い。

「陽太。歩ける?」

手を貸してくれて歩き出したが、視界が歪んで、力が抜けて倒れこむ。

「……仕方ない。
陽太。抱っこするね。」

声がした途端体が軽くなる。そして歩いてる振動と、みゆのリズムのいい心臓の音がする。そしてざわざわするクラスメイトの声がする。

「きゃー!宝石男子かっこいい!」
「いや、かわいいでもあるでしょ!」

宝石男子ってなんだろう。重たい瞼をなんとか開くと、やはり、康太と連とみゆを交互に見ていた。確か前までは、康太とみゆの事は「topaz(トパーズ)王子」って呼ばれてたような。理由は、知らないけど。そんなことを思っていると思考が限界になった。


「はい。39度ですね。保護者に連絡しますね。東堂君は帰って大丈夫ですよ。」
「……はい。」

まだボーっとするけどベッドに横になったら少し瞼の重さがよくなった。みゆはやっぱり僕の隣に居たいみたいだけど、渋々帰っていく声がする。でも、どうせ、放課後になったら来そうだけど。


「陽太、なんか食べれそう?」

迎えに来てくれたお母さんの車に乗って家に向かう途中、なんか食べれないかと言われたので大好きなアイスを買ってもらった。


家に帰り、お母さんに熱さまシートを貼ってもらい、アイスを少し食べて、薬を飲んで、部屋で布団にくるまって寝ようとしてみるが中々寝れない。ふと時計を見ると、放課後だ。そしたらきっと。
すると、ドタドタと階段を上る音がする。

「陽太。大丈夫?」

入って来たのは予想通り、みゆで、走って帰って来たのか汗をかいていて髪は乱れていた。

「少し良くなった。みゆ、運んでくれてありがとうね。」

こんなに焦って心配して来てくれたのが嬉しすぎて思わず口角が上がる。

「気にすんな。……眠そうだな?寝れてないのか?」

みゆの顔を見たら安心してあくびが出てしまった。

「少しね。」
「なら。」

みゆはカバンをおろしてベッドの脇に座る。そして僕の胸元をトントンと優しく叩く。

「去年もみゆに寝かしてもらったよね。」
「そうだな。」
「ありがとうね。でもいつまでもこうだと、みゆも困るよね。例えば僕以上に好きな人が出来た場合とか。」

みゆがそばにいる安堵から力が抜けてみゆの顔が見えない。

「……大丈夫だ。
……陽太が一番大切だから。

……幼馴染以上に。」