僕にだけ愛の重い王子様な幼なじみ君

「あ、やっと起きた?!」

夏祭りから帰って来たあと、僕は付き合ってるのにこの不安はなんだと、みゆで頭が埋め尽くされていた。メッセージでは普通で、また遊ぼうみたいなことを送られてきた。安心と同時にもしかして……。でもみゆの愛情を否定してるわけではない。
そんなことを考えていると朝になり、夏休みなのにボーっとしていた。それから数日後、答えは出ず、モヤモヤしてる気持ちで目を覚まし下に降りた。

「あれ、今日お出かけ?」
「そうそう!突然ね!あ、お兄ちゃんも少し出かけてくるらしいから留守番お願いね!」

お母さんは急遽決まったからか、右往左往して荷物をまとめている。僕はそんなお母さんを横目に朝食の準備をする。

「行ってきます!」
「はーい。」

お母さんは優しいのか過保護なのか分からないが、お昼ご飯を弁当で用意してくれた。申し訳ないと言ったがお母さんの愛情(?)の圧には負けてしまった。そしてお母さんはママ友とショッピングに行くらしい。なんか急遽セールが入ったとか。

「……テレビでも見るか。」

お兄ちゃんもお母さんも忙しいから夏休み中、1人でいることは多い。テレビをつけると、世間の時間の流れは早いな。と実感できる。


「ピンポーン」

お昼を食べ終わり、コンビニにでもアイスを買いに行こうかな?と近くだけど一応、着替えているとチャイムが鳴った。家族はチャイムなんか鳴らさないし、宅配便は無いはず。恐る恐るドアスコープを覗くと。

「あ!みゆのお姉ちゃん。」

みゆのお姉ちゃんがいた。なんの用だろうと思い扉を開ける。

「あれ!陽太じゃん!大きくなったね!」

相変わらずテンションの高いみゆのお姉ちゃんは僕の頭を撫でくり回す。いつものことだから大人しく受け止めるが相変わらず力強いな。

「どうしたの?突然。」

みゆのお姉ちゃんは目を見開いて玄関の靴が置いてあるところを見て頭を抱える。表情が見えなくて不安になっていると、

「今日、もしかしてお母さんいない?」

顔を勢いよく上げて珍しく顔を歪ませて機嫌を伺うかのように聞いてくる。

「居ないけど。あ、」

そういえば結構前にみゆが言ってたな。みゆのお姉ちゃんが僕のお母さんに用があるって。

「もしかしてお母さんに用があった?」
「そうだよ!!わざわざ颯太に聞いたのに!!」

颯太とは、僕のお兄ちゃんだ。連絡してたんだ。でもお母さんが行くって決まったの多分お兄ちゃんが出た後だよね。これはどうしようもない。と説明すると、みゆのお姉ちゃんは文句を言いたいけど仕方ないと葛藤している。

「分かったわ。」
「?」

みゆのお姉ちゃんは納得したのに帰ろうとしない。それどころか悪いことを考えている子供のようだ。

「帰らないの?」
「ええ。あいつを直接説教するのよ。」

覚悟を決めたようで、玄関に立っているから「僕コンビニ行きたいな。」と呟くと、「じゃあ、お姉さまがカフェに連れて行ってあげるわ!おごりよ!」と提案してくれて、ありがたく着いていった。


カフェに着いて注文して商品を待っていると、みゆのお姉ちゃんは僕のお兄ちゃんにカフェに来るように。と連絡していた。

「明日、楽しみだね。」

そう。明日は楽しみなことがある。旅行だ。姉兄が揃うのは久しぶりだからみんなわくわくしている。

「そうだね。」
「あ、ちゃんと起きてなよ!陽太寝坊するからさ!」
「あはは、まあ頑張るよ。」
「では、恋バナ教えなさい。」
「?!」

僕は水を飲んでいたため変なところに入った。ゲホゲホとむせているとみゆのお姉さんはお構いなしにキラキラした目で見てくる。急すぎない?!

「恋バナって。僕は、「逃げないでよ?このカフェ代、相当の話は聞かせてもらう。」」

本当に強い。僕の身の回りの人は女の人の尻にひかれてるところが多いな。

「大丈夫。私は知ってるから。みゆと付き合ってるんでしょ?」

なぜそれを?!僕は予想外の返事に戸惑いが隠せない。みゆが言ったのか?

「まあそれはおいておいて。で、最近どうなの?」

僕は初めてみゆに対しての気持ちを口に出すから、恐る恐る開く。

「幸せ。だと思う。一緒にいるだけでも、恋人になれたのも。優しく包み込んでくれるのも、優しい言葉も、気遣いも。でも、」

僕は視線を下げて、両手で服の裾をぎゅっと握る。こんなに幸せなのに。なのに。

「みゆは優しい。嫌われてるとは思ってない。その分、距離を感じるの。スキンシップが減ったり、なんかこう。待ちの姿勢って言うか。僕がなんかしたら受け止めてくれるけど、みゆからは……、」

視界が歪み手に生ぬるい水滴を感じているけど何とか説明をする。

「過去と同じじゃない。そう分かってても。同じになりそうと怖い。」
「ねえ、まさか。美幸から何も聞いてないの?」

何も?って?と聞き返そうとすると重い空気を感じる。

「お兄ちゃん?」

振り返ると、お兄ちゃんが鬼の形相で歩いてきた。

「なんで泣いてるんだ……?」
「私は何も言ってない。それより話を聞いてあげたら?こんなに可愛い弟が泣いてるんだからさ!」

それを聞いてお兄ちゃんは目の前に座る。そして僕はまた少しずつ話した。

「え、聞いてないのか?」

お兄ちゃんもみゆのお姉ちゃんと同じ反応をしている。一度、話を聞いたからか、みゆのお姉ちゃんは携帯で何かをしていた。