僕にだけ愛の重い王子様な幼なじみ君

『なあ、今週末の夏祭りに4人で行かない?』

キャンプから数日後、今日も夏休みだ!嬉しさのあまり遅起きしてスマホを見ると、4人のメッセージに連から、連絡が来た。そういえばそんな時期か。去年は3人で行ったんだよね。懐かしいな。

『いいよ!僕は空いてるよー。』

メッセージを送信すると、すぐに3人の既読が付いた。皆ちょうど見てたんだ。すると2人も空いてると返事が来て、行くことが決定した。服装をどうするかという話が出てきたら、

『あ、姉ちゃんが、着付けできるみたいだから、俺んち集合だって。』

奈緒さんは相変わらず優しいな。服と待ち合わせ場所は決定したためその話は終わった。


「楽しみだな。」

康太とみゆはいつも通り僕の家に来てくれたので3人で向かった。歩きながら去年の屋台を思い出し何を買うか相談する。人気な祭りなため人も多くて大変なんだよね。

「はーい。いらっしゃい。」

扉が開くと連はすでに疲れ切ったような雰囲気で出てきた。

「連。大丈夫?」
「ああ、ありがとう。だが、ダメだ。もうあいつらは手に負えない。」

表情は死んでて無理やり口角を上げている。何が起きた?そう思い、リビングに入ると、

「あ!いらっしゃい!汚くてごめんね!もう3人とも、かっこいいから、どれにしようか悩んでて!」

笑顔な奈緒さんと澪さん。その表情とは真逆に部屋中は着物や布で埋め尽くされていた。

「これを見て分かっただろ。俺はもう、これ以上、手伝えない!!」
「ねえ、陽太君、どっちがいいかな?!」
「もういいだろ!どれでもいいから、決めて「どれでもいい?」」

連は地雷を踏んでしまったようで、笑顔だった奈緒さんはすぐに態度を変えて説教が始まった。


「本当にこれでいい?まだ何とかできるけど。」
「大丈夫だよ!!皆かっこいい!」
「いや、連は普通だけど。」

説教を聞いて連の大変さを感じながら、僕らも聞かれたことには答えて着物の組み合わせが決まった。

「じゃあ、次、陽太君ね!」

順番に着付けをしてもらった。次は僕の番だ。別部屋に移動して服を脱ぐ。

「陽太君、楽しんで。あ、最後に!」

そう言って手と手首に何かを塗られる。

「なんですか?これ?」
「香水ハンドクリームよ!美幸君と幸せになれますように!って!」

僕は顔が少しだけ熱くなる。でも前と違うのは、満たされていないから。トラウマの時みたいに冷たくないし、返事もしてくれるから愛されてるのは分かる。でも。でも。

「はい!完成。」
「……ありがとうございます。」


「いやー。今年も混んでるね!」

4人で並ぶのは危ないから分かれようとしたので僕からみゆの隣に立った。みゆは嫌がらないから少しだけ気持ちが上がった。連は何度か振り返りながら、話をしてくれる。

「そうだね。連も毎年来てるの?」
「来てるよ!」

そんな話をしながら、屋台をめぐる。

「あ、射的やろうぜ!」
「いいね。」

皆で並んで射的ををする。置かれてる中に大きな箱に入った高いお菓子のチョコレートがある。昔から好きなんだよね。でも、お母さんから貰い忘れて、手持ちも足りるか心配だし、自信がなく、諦めてしまった。

「陽太?本当にいいの?」
「うん。手持ち足りなさそうだし。」

嘘ではないけど少しだけ心が痛む。連も諦めてくれたみたい。

「はい。次お兄さんね。」

次はどこ行こう。と屋台を見ていると、

「カランコロン。
おめでとう!」

ざわざわした声に振り返ると、みゆが僕の欲しかったお菓子をもって立っていた。

「え!すごいじゃん!」
「これ。あげる。欲しかったんだろ?」

ふっと力が抜けたような笑みを見せて連達のところへ行った。

「もう。」

僕は熱くなった頬を隠しながら皆のもとへ向かった。


「あ、そろそろだね。」

主に食べていただけで終わったが、それでも楽しかった。気が付いたら花火の時間なので、花火を見れる少し穴場なところへ向かう。

「えー!ここいいな!」

僕らは毎年だから普通に来たけど、今日初めてこの場所を知った連は大興奮だ。

「いいよな。ここ。」
「人も少ないし!最高だな!!」

二人は、はしゃいでるし、人も少ないし、暗いから、いいかなと思い、恐る恐るみゆの隣に立って、手に触れる。みゆは嫌がらないからつなぐ。

「ひゅるる。」

花火が始まった。二人は写真を撮るのに夢中で、僕とみゆはただ見るだけ。みゆは、つないだ手を離さずにでも強くもない力加減でいる。僕はそのあとはみゆの体温を感じながら花火を見た。こんなに心臓がうるさい花火は初めてかもしれない。

「じゃあ、帰ろうか。」
「あ。」

花火が終わるとすぐに手は離れていった。寂しさを感じた。どうして近づいてきてくれないのだろう。僕の中では違和感が大きく育っていた。まるで中学の頃のように。

「……みゆ。不安だよ。」

その問いは中学の頃のように返事は返ってこなかった。