僕にだけ愛の重い王子様な幼なじみ君

「奈緒さんは?」
「今、足りないもの買いに行ってる。」
「え、誰か一緒に行かなくてよかったの?」
「一人で行けるって言ってたし皆寝てたから。」
「そっか。」

そのあとは特に話もなくただ無言でアイスを食べた。話してこないのも触れてこないのも距離感がある。みゆが食べ終わったときに携帯が鳴る。確認すると、先ほど連絡先交換した奈緒さんだったらしい。物を取りに来てほしいとのこと。

「僕も行くよ!」

慌ててアイスを口に入れてキーンと鳴る頭を無視しようとして耐えられずに頭を抱える。

「大丈夫。そんなにないみたいだし。それに起きてる人がいないと万が一のためにな。」
「……うん。」

みゆは僕を見て大丈夫。と目で訴えている。スマホを持ち連絡取りながら歩いて離れていく姿に思わず手が伸びる。だが途中で理性が働き空気を掴み手を引く。

「あれ。陽太一人?みゆと姉ちゃんは?」

一人で放心状態でいると沢山寝てスッキリした連がこっちへ来た。手を組んで背伸びをしているのを横目にみゆが帰ってくるのを待つ。

「うん?なんか喧嘩でもしたのか?」
「……ううん。違う。奈緒さんは買い物に、みゆはその荷物を受け取りに行ったの。あ、そろそろ康太も起こさないとね。」

二人が帰ってくる道をチラチラ見ながら康太の元へ向かう。

「?」

連は僕の態度に違和感を感じたのか、ジーっと見てくる。

「わ!」

連は近寄ってきて僕の肩に乗っかかってくる。急だったためバランスを崩しそうになって連に引っ張られる。

「大丈夫!もし陽太が悪くないんだったら、いくらでも陽太と一緒にみゆを、やっつけてやろう!」
「ふふ。ありがとう。」
「あー!!このおばか!」

連の気遣いに甘えていると脳に響くくらいでかい奈緒さんの声がする。そして道を見るともう目の前に来ていて、荷物をすぐに置き、連を僕から剥がして胸ぐらを掴んでいる。

「あのね?あんたのおばかが陽太君に移ったらどうするの?ってことで触れるの禁止!!」
「な、奈緒さん!大丈夫ですよ!」
「いいの!陽太君!これぐらい言っておかないと調子乗ってやらかすのは目に見えてるのよ!」

必死に僕は止めたが奈緒さんは相当溜まってるみたいだ。二人が言い合いしていると、ポンっと肩に手が当たってきた。

「陽太。もういい時間だから準備しよう。」

振り返るとみゆが立っていた。あ、みゆも蓮が触ってきたの見てたよね?でもいつもならスキンシップをしてくるのに今日は軍手を渡された。

「み、みゆ。ごめんね。」

みゆは持ってたものを置いて手を伸ばしてくる。

「寝ぐせ。ついてるよ。」

だが頭を軽く触って少し目を細めて寝ぐせを指摘してすぐに作業を再開している。なんで触ってくれないの?なんで。

「あ、陽太君!康太君起こして!」

奈緒さんの文句から喧嘩に発展していたが夜ご飯の準備に使いたいため片手間で康太を起こすように指示してくる。

「……はい。」

寝る場所へ向かう途中みゆをチラッと見たがいつも通りの真顔で真剣に火おこしの準備をしている。そして康太を起こし、喧嘩が落ち着いた二人も戻ってきて皆でご飯の準備をする。

「ねえ。みんなでゲームしない?」

夜ご飯の準備が終わりみんなでご飯を食べていると辺りは段々と光を失い、夏だからか真っ暗ではない暗さになった。食器や使ったものを皆で協力して洗い、奈緒さんが持ってきてくれたマシュマロをあっためながらキャンプファイヤーをする。夏なのに山の中だからか涼しくて温度がちょうどいい。これはテントで寝れそうだな。そう思っていると奈緒さんは提案してくれる。僕らは返事をして、奈緒さんのあの大荷物の中のボードゲームやカードゲームで遊ぶ。

「そろそろ最後だね!じゃあ、最後は、寝る位置を決めるゲームをしましょう!」

皆で大盛り上がりでランプを照らしながらなんとかしていると、そろそろ寝る時間なため最後になった。寝る位置。か。誰の隣でもいいけど。

「さあ!やるわよ!」

誰の隣を狙ってるのか分かりやすく燃えている奈緒さんと、どこでも大丈夫な僕達。今までの熱は薄まり、落ち着いたことによりあんなに寝たのに眠気が出てきている。


「負けた!!」

結果は1位、みゆ。2位、康太。3位、連。4位、僕。そして最下位、奈緒さんだった。

「じゃあ、一位のみゆから。」

そして決まった。左から、奈緒さん、連、康太、みゆ、僕。になった。

「なんてこと……。これなら普通に話し合えば。しかも連の隣とか。……ないわ。」

テンションがダダ下がりの奈緒さんは。お分かりの通り、奈緒さんは僕の隣を狙っていたようだ。さすがに嫌なんだと思う、みゆは1位なのに角ではなく1個空けて場所を選んだ。そして僕は合ってるか分からないけど角を選んだ。

「では、おやすみなさい。」

皆やっぱり眠かったのか、お金がかかるのに五分とかしか使えない慌てるシャワーをすぐに浴びて、歯を磨いて、布団に入る。

「みゆ?」
「何?」
「……何でもない。」

僕は背を向けたみゆの背中に触れようとしてやめる。狭いから。少しだけ。と言い訳をして肩を肩で触れる。そして一瞬触れたが離れていかないことに安心して僕から離れる。距離が近くて僕の心臓は久しぶりだ!と喜んでいた。