僕にだけ愛の重い王子様な幼なじみ君

朝、目を覚ますと今日告白するのに、覚悟が決まったからか、久しぶりにスッキリとしていた。しかもいつもより余裕な時間に起きたためゆっくり支度を始める。

「あ、陽太、もう起きてきたの?珍しい事もあるんだね。」
「まあね。」

家族全員が雪でも降るんじゃないかと話している。僕はその話を横目にご飯を食べる。

「おはよう。行こうか。」

支度が終わりテレビを見ているとチャイムが鳴る。出るとやはり康太とみゆの二人だった。

「あれ、今日は表情もだいぶいいし、寝ぐせもない。まさか。早起きした!?」

挨拶をして出ようとすると、康太が顔を出す。康太も雪が?!とみゆに話しかけている。

「……確かに。なんかあるの?」
「……うん。人生を変える大事なことがね。」

詳しくはまだ言わない。だってみゆに話があるなんて言ったら、みゆもそうだけど僕も一日中緊張しちゃう。でもみゆは察したのか、嫌な予感がしたのか、空気が重い。

「そういえば、みゆのお姉さんが近いうちに俺と陽太の家に会いに来るって言ってたけど本当?」
「ああ、なんか二人のお母さんに話があるみたい。」

そんな雑談を聞きながら、なんてみゆに告白するか考える。頭は覚悟決めたからちゃんと言うね!と、みゆ、でいっぱい。

「なんか上の空だな。」

教室移動中、四人一列は他の生徒に迷惑だから、康太とみゆ、僕と連で並んで歩く。正直告白はしたい。でも不安な部分もある。いつかもっと近くなって離れられたら。だって中学の距離を置かれた時も、直前まで優しかったんだ。『この名前でも仲良くしてくれる?』って。今はまだ理由を知ってるからマシだけどそれでも怖い。

「あ、ごめんね。なんだっけ?」

連が話しかけてきたのにすっかり思考が飛んでた。連は僕の顔を覗きこんでいる。僕が手を合わせると連は「まあいいけど。」と離れていく。

「で、何?」
「いいよ。そんなに大したものじゃねぇーから。てか康太から聞いたけど今日人生を変えることあるんだって?」

なんて答えよう。少しだけ体に冷や汗が出てくる。僕は何とか口角をあげて笑ったように見せる。

「まあ、いつか言える時になったら教えて。」

僕の反応を見て連は深堀りしないでくれた。そしてまた前を向いて歩き出した。


「いただきます。」

まだ放課後じゃないし、みゆにも宣言してないのに、意識がどっか飛んでて何も手につかない。そんな中、お昼の時間になった。僕はやっぱりみゆの隣に座って何もしてこないみゆを何度かチラッと見る。

「陽太食べないの?」

その声にハッとして弁当を開く。さすがにそんな僕の様子に疑問を持ったのかみゆの視線を感じる。でも振り向くとまた目を逸らされると思い前を向く。


「じゃあ、帰ろうか。」
「うん。」

何とか授業を受けれて、ノートが白紙は避けられた。でもあまり頭には入ってない。そんな中三人で歩き出す。


「じゃあ、ここで。またな。」
「待って……!」

二人は雑談をしていたけど僕はうまく話せず家の前まで来てしまった。僕は心臓が口から飛び出そうで、顔が熱い中、みゆの服の裾を掴んで聞こえるかギリギリな声で引き留める。

「どうした?」
「少しだけ僕の家に来てくれない……?」

僕は先に歩き出し、みゆが来るのを待つ。みゆは一瞬だけ目を見開いて前髪が目にかかる。前髪の隙間から見える瞳は揺れていた。

「とりあえずここ座って。」
「今日、家族は?」
「……いない。」

部屋に案内すると、みゆは告白の件だと察したのか前髪を触っている。僕はクッションの上に座ったみゆの目の前に座る。

「それで。どうした?」

分かってるけど知らないふりを多分してるみゆ。僕は深呼吸をして目を大きく開く。

「この間は告白ありがとう。正直、迷って悩んだこともあった。中学の頃を思い出すと怖い。それでも覚悟は決めた。」

僕は服の裾を握る。下を一度見て覚悟を決めて顔を上げる。

「……僕の答えは。
……好きです。」

僕は自分の答えを出した。それは好かれてるはずなのに離れていった過去のトラウマや、理由もなく距離を置かれることが怖いから。だから信じることを自分で選んだ。
みゆの瞳は零れ落ちそうで唇は震えている。

「……ありがとう。信じてくれて嬉しい。」

僕は両手を開いて近寄る。みゆは様子を伺いながら腕を回してくれて抱きしめあう。ああ、久しぶりだ。なんだか告白よりやっと触れられたことに涙が流れる。気が付くと肩が濡れてる気がした。でも、すぐに恥ずかしくなって離れる。正直まだ抱きしめていたかったし、名残惜しい。けど、とりあえず、泣いてる顔を隠す。


「それで!そろそろ夏休みだな?」
「そうだな。何しようか?」
「うーん、」

いつも通り次の日は迎えに来てくれて学校でも過ごしてお昼休み。連と康太は夏休みについて話している。その話を横目に隣に座っても何もしてこないみゆに一瞬気になるけどすぐ恋人になったのを思い出し、大丈夫。と思う。

「みゆ?」
「?どうした?」

口調は前と同じで甘めだし話も前よりしてくれる。

「……何でもない。」

僕は一瞬出たモヤモヤを、でも幸せだし。と誤魔化した。