「ピンポーン」
中々寝れなかったのに布団に籠っていたせいで時間ギリギリになってしまった。ご飯をかきこんでカバンを持ってお母さんの「お弁当は!?」という声に引き戻され荷物のチェックをして玄関を開けようとするとチャイムが鳴った。
「はーい。」
開けると、みゆがいた。一瞬気まずくなったが、ちゃんと向き合わなきゃと顔を上げる。
「おはよう。」
「……おはよう。」
目線が合うと僕より先にみゆが逸らした。そこで気づいた。逸らされるのってこんなに胸が痛むのか。
「今日、康太、後から来るって。」
「あ。うん。」
「陽太、」
みゆは手を伸ばして触れるギリギリで顔を歪める。
「……寝ぐせ。ついてるよ、」
「あ、ありがとう。」
今までとは違って触れずに指摘してくる。その距離感に少し心がミシミシとひび割れる音がするが、寝ぐせを直す時間もないため歩き始める。
「でさ、お兄ちゃんが久しぶりに帰って来たと思ったら、過保護が凄くて!」
「お兄さんいつもと同じだろ。まあ可愛がってるんだろ?」
「そうかなー?」
僕の方を一切見ず、前を向いて歩き続けているみゆ。返事はあるけど前みたいに話してはくれない。表情も横顔しか見えないけど、中学の頃のように冷たくもなく、最近のように甘くもない、その中間みたい。
「みゆは?お姉さんどう?」
「……まあ普通。」
話しながら気づくとみゆの手に視線が行ってしまう。だめだ。正直この距離感はしんどい。でもみゆにも待ってもらってるし今回は自分で決めたい。高1の時は正直みゆが頑張って近づいてきてくれたから今度は僕から!
「あ、陽太また寝ぐせついてるよ!」
学校に着き、あまり会話も盛り上がらず教室へ入ると、連に真っ先に指摘された。
「ほれ。」
鏡を見せられいつもより更に酷いな。そう思い鏡を見ながら連に渡されたヘアブラシで直らない寝ぐせを直す。
「ありがとう。」
「あ、直らないか!」
「大丈夫だよ。少し行ってくるね!」
直ってないから諦めて水で濡らすか。とヘアブラシと鏡を返して水道場まで移動する。
「はあ。」
改めて鏡を見ると寝不足とみゆの事が気になっているためか相当顔色が悪い。こんな顔だとみんなも、みゆにも心配かけちゃうよね。
「みゆ!陽太!ご飯食べよう!」
いつも通り、お弁当を広げて食べ始めようとしている康太と連に呼ばれる。僕は拳を握り締めてお弁当を持って向かう。僕は普通にみゆの隣の席に座る。
「陽太は今日のお弁当好きなのある?」
いつも通りの雑談。でもみゆとの会話は盛り上がらないし、膝の上にものせてこないし、ハグもない。スキンシップが相当な癒し効果があったのか、自分で決めなきゃいけないと思っているせいか、息が苦しい。
でも、本当に僕の答えを待ってくれてるんだ。と思い過去との差に戸惑う。
「康太は一緒に帰る?」
帰り時間になったが連は遊びに、康太は何か考えているみたい。
「あ、いや、
……少し用事があって。先帰ってて」
僕とみゆの気まずさに察したのか理由は不明だが康太には断られた。歩きだすけどみゆは僕の話に返事をするぐらいであまり話さない。
「じゃあ、また明日。」
「……うん。」
それから一週間後、毎日、登下校は一緒にしてくれるし、お弁当も一緒に食べてくれるし、冷たいわけではない。そんな距離感は思ったより辛いしみゆのたまに合うけど逸らす目は光が入ってなくて苦しそうだった。このままはお互い無理かも。
「……みゆはこの距離感嫌だ……?
でも、また僕傷つくのかな?」
自分の部屋で一人で呟く。その問いには当たり前だが返事はなく、静まり返っている。
『大丈夫?』
久しぶりにそんな声が聞こえて起き上がる。だが辺りを見渡しても誰もいない。ついに幻聴が聞こえるようになったか。僕は枕に顔を乗せて一人で唸る。
「陽太ー。
アイスあるぞー。」
お兄ちゃんは最近の僕を心配してか気を使いながら部屋に入ってくる。
「ありがとう。」
「大丈夫か?まあなんかあったら相談してな!」
優しいお兄ちゃんを見るとみゆの姿がふと、フラッシュバックする。甘く、強い愛、でも優しいみゆが脳裏をよぎる。告白は正直嫌じゃない。でも失うかもしれない。傷つく可能性もある。
『陽太!』
でも、傷つきたくないより、あの顔を思い出すと、何もしないと、みゆを失うし、後悔しそう。みゆなんて選びたい放題だ。なのに男な僕を選んでくれた。性別の壁も超えてくれた。僕も考えた。自分で選びたい。そしてその相手は。
みゆがいい。
「陽太?どうした?大丈夫か?」
お兄ちゃんは大好きなアイスを食べずに考えこむ僕を心配してか顔を覗きこんでいた。
「大丈夫!」
僕の覚悟が決まった顔に気づいたのか、僕を気にして様子を伺っていたお兄ちゃんはいつもの元気な顔に戻った。
「そうか!よかったな!」
お兄ちゃんに頭を撫でられながら決めた。明日告白しよう。と。
中々寝れなかったのに布団に籠っていたせいで時間ギリギリになってしまった。ご飯をかきこんでカバンを持ってお母さんの「お弁当は!?」という声に引き戻され荷物のチェックをして玄関を開けようとするとチャイムが鳴った。
「はーい。」
開けると、みゆがいた。一瞬気まずくなったが、ちゃんと向き合わなきゃと顔を上げる。
「おはよう。」
「……おはよう。」
目線が合うと僕より先にみゆが逸らした。そこで気づいた。逸らされるのってこんなに胸が痛むのか。
「今日、康太、後から来るって。」
「あ。うん。」
「陽太、」
みゆは手を伸ばして触れるギリギリで顔を歪める。
「……寝ぐせ。ついてるよ、」
「あ、ありがとう。」
今までとは違って触れずに指摘してくる。その距離感に少し心がミシミシとひび割れる音がするが、寝ぐせを直す時間もないため歩き始める。
「でさ、お兄ちゃんが久しぶりに帰って来たと思ったら、過保護が凄くて!」
「お兄さんいつもと同じだろ。まあ可愛がってるんだろ?」
「そうかなー?」
僕の方を一切見ず、前を向いて歩き続けているみゆ。返事はあるけど前みたいに話してはくれない。表情も横顔しか見えないけど、中学の頃のように冷たくもなく、最近のように甘くもない、その中間みたい。
「みゆは?お姉さんどう?」
「……まあ普通。」
話しながら気づくとみゆの手に視線が行ってしまう。だめだ。正直この距離感はしんどい。でもみゆにも待ってもらってるし今回は自分で決めたい。高1の時は正直みゆが頑張って近づいてきてくれたから今度は僕から!
「あ、陽太また寝ぐせついてるよ!」
学校に着き、あまり会話も盛り上がらず教室へ入ると、連に真っ先に指摘された。
「ほれ。」
鏡を見せられいつもより更に酷いな。そう思い鏡を見ながら連に渡されたヘアブラシで直らない寝ぐせを直す。
「ありがとう。」
「あ、直らないか!」
「大丈夫だよ。少し行ってくるね!」
直ってないから諦めて水で濡らすか。とヘアブラシと鏡を返して水道場まで移動する。
「はあ。」
改めて鏡を見ると寝不足とみゆの事が気になっているためか相当顔色が悪い。こんな顔だとみんなも、みゆにも心配かけちゃうよね。
「みゆ!陽太!ご飯食べよう!」
いつも通り、お弁当を広げて食べ始めようとしている康太と連に呼ばれる。僕は拳を握り締めてお弁当を持って向かう。僕は普通にみゆの隣の席に座る。
「陽太は今日のお弁当好きなのある?」
いつも通りの雑談。でもみゆとの会話は盛り上がらないし、膝の上にものせてこないし、ハグもない。スキンシップが相当な癒し効果があったのか、自分で決めなきゃいけないと思っているせいか、息が苦しい。
でも、本当に僕の答えを待ってくれてるんだ。と思い過去との差に戸惑う。
「康太は一緒に帰る?」
帰り時間になったが連は遊びに、康太は何か考えているみたい。
「あ、いや、
……少し用事があって。先帰ってて」
僕とみゆの気まずさに察したのか理由は不明だが康太には断られた。歩きだすけどみゆは僕の話に返事をするぐらいであまり話さない。
「じゃあ、また明日。」
「……うん。」
それから一週間後、毎日、登下校は一緒にしてくれるし、お弁当も一緒に食べてくれるし、冷たいわけではない。そんな距離感は思ったより辛いしみゆのたまに合うけど逸らす目は光が入ってなくて苦しそうだった。このままはお互い無理かも。
「……みゆはこの距離感嫌だ……?
でも、また僕傷つくのかな?」
自分の部屋で一人で呟く。その問いには当たり前だが返事はなく、静まり返っている。
『大丈夫?』
久しぶりにそんな声が聞こえて起き上がる。だが辺りを見渡しても誰もいない。ついに幻聴が聞こえるようになったか。僕は枕に顔を乗せて一人で唸る。
「陽太ー。
アイスあるぞー。」
お兄ちゃんは最近の僕を心配してか気を使いながら部屋に入ってくる。
「ありがとう。」
「大丈夫か?まあなんかあったら相談してな!」
優しいお兄ちゃんを見るとみゆの姿がふと、フラッシュバックする。甘く、強い愛、でも優しいみゆが脳裏をよぎる。告白は正直嫌じゃない。でも失うかもしれない。傷つく可能性もある。
『陽太!』
でも、傷つきたくないより、あの顔を思い出すと、何もしないと、みゆを失うし、後悔しそう。みゆなんて選びたい放題だ。なのに男な僕を選んでくれた。性別の壁も超えてくれた。僕も考えた。自分で選びたい。そしてその相手は。
みゆがいい。
「陽太?どうした?大丈夫か?」
お兄ちゃんは大好きなアイスを食べずに考えこむ僕を心配してか顔を覗きこんでいた。
「大丈夫!」
僕の覚悟が決まった顔に気づいたのか、僕を気にして様子を伺っていたお兄ちゃんはいつもの元気な顔に戻った。
「そうか!よかったな!」
お兄ちゃんに頭を撫でられながら決めた。明日告白しよう。と。
