何をしてるんだ?何かを捨て終わった?くるっと振り返ると僕と目が合う。
「あ、陽太。どうした?」
いつもの表情をしてるのに、どこか恐れを感じる。みゆは横を過ぎて歩いていく。まるで今捨てたものに触れられたくないように。でも僕はとりあえず要件を伝える。
「了解。じゃあ、戻ろうか。」
『ねえさっき何捨ててたの?』と聞こうとしてみゆの表情を見て止まる。まるで中学の時のような冷たい表情をしていた。それ以上僕は何も言えなかった。
放課後までずっとあの冷たい表情で頭がいっぱいだった。帰る時間になると、連は友達と遊ぶ、康太はお兄ちゃんと会う、そしてみゆは学校で用事があるらしい。
「じゃあ、僕は一人で、」
「あ、そういえば、母さんがみゆに渡したいものがあるって言ってたな。」
みゆに待っててほしいと言われ、僕は予定もないし待つことにした。
『そろそろ終わりそう。入り口で待ってて。』
連絡が来て僕は荷物をまとめて教室を後にする。
「でさ、聞いてよ!」
たまたま通りかかった美術室で残ってる女子生徒達が話してるのが耳に入った。
「堂本君の事でしょ?」
通り過ぎようとして僕の名前が聞こえて思わず立ち止まった。
「そう!堂本君に告白の手紙を渡しても、約束の日時に来ないし、返事すら返ってこないんだって。しかもそのあと東堂君が圧をかけてくるの!」
手紙?何の話だ?そんなの受け取った覚えは……。僕は扉に張り付き聞き耳を立てる。
「東堂君と堂本君って好き同士ではないんでしょ?」
「ねー。どうなんだろう。もちろん高校1年生の時はさ、東堂君と仲良すぎて東堂君好きが嫉妬してたけど諦めたよね。でも堂本君も可愛いから人気出たよね!」
「しかもさ、問題は、そんなに堂本君を囲ってるのに、急に特定の子だけ優しくして好きにならせて相手が告白すると振って何事もなかったようにいつもの王子様フェイスなんだよね!」
「何人かいたけど、例えば、近藤さんとか!」
そこまで聞いて僕は力が抜けるけど何とか立つ。何それ聞いてない。手紙も、近藤さんのことも。もしかしてみゆの作戦?僕はすぐに聞くのをやめてみゆのもとへ向かった。
「お待たせ。大丈夫だった。」
「……うん。」
「だから、先生に捕まっててごめんな。待たせたよな。」
「……うん。」
さっきの女の子達の会話が頭から離れない。みゆは何を考えているのだろう。
「陽太、大丈夫?上の空だな?」
少し冗談っぽく言ってきたが今はそこまで頭が回らない。返事しない僕に察したのかみゆはそれ以上何も言わなかった。
気が付くとみゆの家に入っていた。みゆのお母さんは出かけていたみたいで少し待つことになった。
「はい。飲み物。」
「……うん。」
僕はベッドに寝っ転がりクッションを抱きしめる。
「……それでどうした?なんか変だよな。」
みゆは目の前に座ってじっと見てくる。今は恥ずかしさよりもさっきの話が気になる。
「……実はさ、聞いたんだ。僕宛の告白の手紙が届いてないとか。近藤さんしか聞こえなかったけど、その人達がみゆに行って告白して振られてるとか。1回じゃないよね?過去僕が好きになった人達を手のひらで転がしてたのは。全部みゆがやったの?」
みゆは視線を泳がせた後、ゆっくり瞳を閉じて、目を合わせる。
「そうだよ。俺が全部やった。陽太宛の手紙を捨てたり、わざと陽太の好きな人奪ったり。」
その瞳は揺れていた。僕は、だからあの距離感だったのか。と腑に落ちた。
「なんで?」
分かってるけどみゆの本音を聞きたいから質問する。
「……本当はだめなの分かってた、でも守りたかった、自分勝手なのは分かってる、でも、」
みゆは考えがまとまらないのか、珍しく悩んでいる。
「昔の距離を置いてた期間も陽太のことばかり考えていて、これも自分勝手だと分かってる。だけど。」
「……好き。なんだ、」
みゆは唇を噛みしめ歪んだ顔で見つめてくる。僕は頭の整理がつかない。え、今、好きって言った?
「で、でも、好きな人がいたんじゃないの?」
「陽太のことだ。」
僕はずっと愛されたことの驚きと同時に頬が緩む。好きな人は僕なんだ!
だが、その瞬間、過去のトラウマが来る。今聞いた理由は僕のことを考えてただけ。分かってても怖い。またあの距離感に戻ってしまったら。
「……答えは待ってるから。
今日は帰った方がいいよ。」
何も言わない僕に今答えを出すのは無理だし、離れていく可能性も覚悟しているようだ。
好きだけでは危ない。傷つくから。でも逃げると後悔すると思う。だから僕はみゆに甘えてその日は帰った。
「ただいま……。」
「お!陽太!」
お兄ちゃんが来てくれたが僕はスルーして通り過ぎて自分の部屋へ向かう。その様子にお兄ちゃんは察したのか何も言わなかった。
「はあ。」
頭では理解している。みゆも好きで。僕も。でも気持ちが追い付かない。怖いんだ。でもみゆはとんでもない秘密を説明してくれた。その覚悟に甘えてはいけない。僕もちゃんと覚悟を決めてのらりくらりではなく選ばなきゃ。
その夜は寝れなかった。
「あ、陽太。どうした?」
いつもの表情をしてるのに、どこか恐れを感じる。みゆは横を過ぎて歩いていく。まるで今捨てたものに触れられたくないように。でも僕はとりあえず要件を伝える。
「了解。じゃあ、戻ろうか。」
『ねえさっき何捨ててたの?』と聞こうとしてみゆの表情を見て止まる。まるで中学の時のような冷たい表情をしていた。それ以上僕は何も言えなかった。
放課後までずっとあの冷たい表情で頭がいっぱいだった。帰る時間になると、連は友達と遊ぶ、康太はお兄ちゃんと会う、そしてみゆは学校で用事があるらしい。
「じゃあ、僕は一人で、」
「あ、そういえば、母さんがみゆに渡したいものがあるって言ってたな。」
みゆに待っててほしいと言われ、僕は予定もないし待つことにした。
『そろそろ終わりそう。入り口で待ってて。』
連絡が来て僕は荷物をまとめて教室を後にする。
「でさ、聞いてよ!」
たまたま通りかかった美術室で残ってる女子生徒達が話してるのが耳に入った。
「堂本君の事でしょ?」
通り過ぎようとして僕の名前が聞こえて思わず立ち止まった。
「そう!堂本君に告白の手紙を渡しても、約束の日時に来ないし、返事すら返ってこないんだって。しかもそのあと東堂君が圧をかけてくるの!」
手紙?何の話だ?そんなの受け取った覚えは……。僕は扉に張り付き聞き耳を立てる。
「東堂君と堂本君って好き同士ではないんでしょ?」
「ねー。どうなんだろう。もちろん高校1年生の時はさ、東堂君と仲良すぎて東堂君好きが嫉妬してたけど諦めたよね。でも堂本君も可愛いから人気出たよね!」
「しかもさ、問題は、そんなに堂本君を囲ってるのに、急に特定の子だけ優しくして好きにならせて相手が告白すると振って何事もなかったようにいつもの王子様フェイスなんだよね!」
「何人かいたけど、例えば、近藤さんとか!」
そこまで聞いて僕は力が抜けるけど何とか立つ。何それ聞いてない。手紙も、近藤さんのことも。もしかしてみゆの作戦?僕はすぐに聞くのをやめてみゆのもとへ向かった。
「お待たせ。大丈夫だった。」
「……うん。」
「だから、先生に捕まっててごめんな。待たせたよな。」
「……うん。」
さっきの女の子達の会話が頭から離れない。みゆは何を考えているのだろう。
「陽太、大丈夫?上の空だな?」
少し冗談っぽく言ってきたが今はそこまで頭が回らない。返事しない僕に察したのかみゆはそれ以上何も言わなかった。
気が付くとみゆの家に入っていた。みゆのお母さんは出かけていたみたいで少し待つことになった。
「はい。飲み物。」
「……うん。」
僕はベッドに寝っ転がりクッションを抱きしめる。
「……それでどうした?なんか変だよな。」
みゆは目の前に座ってじっと見てくる。今は恥ずかしさよりもさっきの話が気になる。
「……実はさ、聞いたんだ。僕宛の告白の手紙が届いてないとか。近藤さんしか聞こえなかったけど、その人達がみゆに行って告白して振られてるとか。1回じゃないよね?過去僕が好きになった人達を手のひらで転がしてたのは。全部みゆがやったの?」
みゆは視線を泳がせた後、ゆっくり瞳を閉じて、目を合わせる。
「そうだよ。俺が全部やった。陽太宛の手紙を捨てたり、わざと陽太の好きな人奪ったり。」
その瞳は揺れていた。僕は、だからあの距離感だったのか。と腑に落ちた。
「なんで?」
分かってるけどみゆの本音を聞きたいから質問する。
「……本当はだめなの分かってた、でも守りたかった、自分勝手なのは分かってる、でも、」
みゆは考えがまとまらないのか、珍しく悩んでいる。
「昔の距離を置いてた期間も陽太のことばかり考えていて、これも自分勝手だと分かってる。だけど。」
「……好き。なんだ、」
みゆは唇を噛みしめ歪んだ顔で見つめてくる。僕は頭の整理がつかない。え、今、好きって言った?
「で、でも、好きな人がいたんじゃないの?」
「陽太のことだ。」
僕はずっと愛されたことの驚きと同時に頬が緩む。好きな人は僕なんだ!
だが、その瞬間、過去のトラウマが来る。今聞いた理由は僕のことを考えてただけ。分かってても怖い。またあの距離感に戻ってしまったら。
「……答えは待ってるから。
今日は帰った方がいいよ。」
何も言わない僕に今答えを出すのは無理だし、離れていく可能性も覚悟しているようだ。
好きだけでは危ない。傷つくから。でも逃げると後悔すると思う。だから僕はみゆに甘えてその日は帰った。
「ただいま……。」
「お!陽太!」
お兄ちゃんが来てくれたが僕はスルーして通り過ぎて自分の部屋へ向かう。その様子にお兄ちゃんは察したのか何も言わなかった。
「はあ。」
頭では理解している。みゆも好きで。僕も。でも気持ちが追い付かない。怖いんだ。でもみゆはとんでもない秘密を説明してくれた。その覚悟に甘えてはいけない。僕もちゃんと覚悟を決めてのらりくらりではなく選ばなきゃ。
その夜は寝れなかった。
