僕にだけ愛の重い王子様な幼なじみ君

「好きです!付き合ってください!」

季節の実感を毎年する、淡いピンクの桜が地面に落ちて数週間。
次は僕は体調を崩す、梅雨の時期が来ると言われている間の時期。
新しい学年になってクラスメイトも変わって、新しいグループが出来てきた。
少し落ち着いたからか、やはりあの人は……。

「また、告白されてるのー?」

風を吸いたくて窓を開けたのに
たまたま目に入ったあの人の告白のシーンを見かけてしまった。
まるで僕があの人の告白が気になるみたいじゃないか。
そう言いながらもお弁当を食べるはやめずに横から覗いてきた、幼馴染、東岩 康太(とういわ こうた)

「いやー。モテる人は大変ですねー!」

爽やかな、笑顔を見せているが、内心、モテるの大変だね!と自分を棚に上げてニヤニヤしている。
自分だって結構モテるのに
主に僕から恨みを買うぞ?と圧をかけておいた。
そんな彼は、堂安 連(どうあん れん)

「あ、終わったみたいだよ。ってかあの子、近藤さんって陽太の好きな子じゃなかったけ?」

そう。そこが問題だ。

僕、堂本 陽太(どうもと ようた)は、恋人が今までできたことがない。
それは何個かの理由がある。

「いやー。みゆはモテますな!」

連は、帰って来たあの人、
東堂 美幸(とうどう みゆき)に声をかけた。
みゆ、とは、この人のあだ名だ。
僕が恋人がいない最大の原因はみゆだ。

みゆ、は、透き通った白い肌。すらっとした足の長い高身長。そしてなにより、モデルのような整った顔。さらに普段クールなのに、仲のいい人には見せるずるい笑顔。
当然モテるよな。
これらから王子と呼ばれている。
もう一人、

「ごちそうさまでした。」

連とみゆの話は流してもいいと思ったのか、反応せずに、優雅にご飯を食べ終わったのは康太。
彼は、穏やかで、愛想もいいけど
意外とマイペースだ。

康太もみゆとは違うタイプのイケメンで王子と呼ばれている。

そんな二人とは幼馴染。なら僕もかっこいいか?って?
答えはno。僕は背景になるようなモブだ。

そして今年から絡んできたコミュニケーション能力お化けで一般人と比べたらイケメンな連と四人で過ごしている。

「やっぱり告白は断ったんですか?!
美幸さん!」

悪ノリが好きな連はみゆに絡んでいる。

「……まあ、な。」

そう言いながら瞬きを何度も繰り返してこちらをちらっと見る。連は僕とみゆをキョロキョロと見ていて察したのか両手をあげて「なるほど」と言ってる。
もしかして、僕が近藤さんのこと、好きって知ってて、わざと断ったのかな?
二人が付き合うのを見たくないから嬉しいような、なんで僕が好きになったこのタイミングなのか、分からなくて正直辛い。


振られるのと同じくらい正直辛い。と思う。振られたことないから分からないけど。
そのことで頭がいっぱいで気が付いたら、先生の帰りの挨拶が終わった。
クラスメイトは授業中の静けさの反動か、ざわざわし始めた。

「あ、今日、ちょっと用があるから先に帰るな!」

康太は夕焼けに負けないぐらいの、笑顔を見せて、先に教室を後にした。

「あ、ごめん。
僕、日直で、時間かかるから、先に」
「待ってる。」

悩んだ後だからか気まずくて、みゆに先に帰ってほしかったのに夕焼けで見えないが、固い意思を感じる。
仕方なく一緒にいることになった。

「終わった!」
「頑張ったな。」

一日中書いてたから疲れたので手を上に伸ばし、ふーっとため息をつきながら背伸びをすると、みゆはポンポンと頭を撫でる。
その目は友達と呼ぶには甘い視線を感じた。
こうやって距離が近いのって僕だけなんだよね。
でも嫌ではないから大人しく撫でられる。

「はー。落ち着く。」

みゆと距離が近くなって好きな香水の匂いがして安心して目を閉じる。
僕が書くのが遅すぎて教室には誰もいなくて静まり返っている。外からは部活動の声がする。

「帰ろうか。」

その声に目を開けるとなぜかみゆは顔をそらして顔を覆っている。
表情が見えないが、ため息をついている。


「今日、家来る?」
「うん、いいよ。」

ほぼ毎日放課後も一緒にいるからお互い特別な感じはしないが、一応、体調とかの関係で確認は取る。
肯定すると毎日のことなのに満足そうに笑っている。

「それにしても、みゆはいいよなー。
告白してくる子がいて。」

特に何も考えてなかったせいか、本音がぽろっとこぼれる。
僕はもし付き合えたら。と想像して悲しく息を吐く。

「……あの子、そんなに好きなの?
……俺以上に?」

急にこちらを向き、肩を掴んでみゆの方を向かせる。顔は相当お怒りのようだ。なんで怒るんだよ?それに『俺以上に?』って何?

「そ、そりゃあ、
長年過ごしたみゆの方が大切だけどさ
恋人は欲しいでしょ?」

掴まれた肩にどんどん力がこもり痛みが限界になったため声を上げると、ハッとしたみゆは謝ってくれた。

「そんなに恋人欲しい?」
「うん、まあ、それよりも、一度も告白をされたことも、したことないのが悲しいというか。」

言ってて、自分でも変な理想だなと思っていると
同じことを思ったのか、
みゆはさっきまでの真剣な顔とは一変
口角が上がっている。

「そこ?それで彼女を作るのは違うと思うけど。」

まあそうだね。と二人とも少し笑顔になる。
やっぱりみゆは優しいな。

「ってか、それなら俺がいるでしょ?」

みゆは何を言ってるんだ?と冗談っぽく笑おうとしてみゆの顔を見て体が固まる。
その顔は冗談ではなく、苦虫を嚙み潰したような、辛い思いを飲みこんでいるような顔をしていた。