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「なに?安達くん?」
ある朝、俺は隣の席の女子のカバンにぶら下がる巨大なポーチに目が止まった。なぜなら、そのポーチの中にはぬいぐるみが入っていたからだ。
「それって……」
俺は言葉に詰まった。なぜならぬいぐるみが着ているのはうちの学校の制服に似ていたからだ。咄嗟に言葉が出てこなくて、思わず指をさしてしまい、そのまま固まってしまった。
「これ?コレは推しのぬいだよ。年末のコンサートでやっとお迎えできたんだぁ。で、ようやく制服が完成したから今日から一緒に登校してるってわけ」
やたらとハイテンションで話し始めた隣の席の女子ではあるが、なかなか理解し難い話に、俺は若干引き気味だった。それでも話をやめないどころか、さらに彼女は話を続けてきた。
「もしかして、安達くんもぬい活してるの?オレの嫁が、いたりする?同じ制服きせたくなっちゃった?」
「オレの嫁?」
謎すぎるワードに俺は思わず聞き返してしまった。
「あ、ごめん。無理に話さなくていいから」
彼女は俺の前に手のひらを向けて静止してきた。そしてさらに語りを続行してきたのだ。
「そうだよね。オレの嫁は聖域だよね。一緒に登校なんてしないよね。でも、同じ制服は着せたいよね?だって嫁だもんね。分かる。その気持ちわかるよ。でも、最終的に自慢したくなっちゃうのがぬい活なわけよ。制服、私が作ってあげてもいいんだけど、やっぱりオレの嫁の服を他の女が作るなんて許せないよね。うんうん。そんな安達くんに、素敵な情報を教えちゃう。このSNSを参考にして。作りた方をメッチャ分かりやすく解説してるから。あ、制服の布はね。駅裏の布屋で買えるよ。はい、じゃあドロップしちゃおっか」
一気にまくし立てるような語りが終わると、彼女は当たり前のようにスマホを差し出してきた。ドロップって、機種が限定される行為も当たり前のことらしく、俺は断ることも出来ないままそのSNSのリンクを受け取ってしまった。
帰宅してから検索すれば、オレの嫁と言うパワーワードは俺の胸に確かに突き刺さった。動画配信者が当たり前のように口にしているのはとても羨ましかった。
「オレの嫁」
口にしてみるとなぜだかストンと俺の心に落ちてきた。
「なに?安達くん?」
ある朝、俺は隣の席の女子のカバンにぶら下がる巨大なポーチに目が止まった。なぜなら、そのポーチの中にはぬいぐるみが入っていたからだ。
「それって……」
俺は言葉に詰まった。なぜならぬいぐるみが着ているのはうちの学校の制服に似ていたからだ。咄嗟に言葉が出てこなくて、思わず指をさしてしまい、そのまま固まってしまった。
「これ?コレは推しのぬいだよ。年末のコンサートでやっとお迎えできたんだぁ。で、ようやく制服が完成したから今日から一緒に登校してるってわけ」
やたらとハイテンションで話し始めた隣の席の女子ではあるが、なかなか理解し難い話に、俺は若干引き気味だった。それでも話をやめないどころか、さらに彼女は話を続けてきた。
「もしかして、安達くんもぬい活してるの?オレの嫁が、いたりする?同じ制服きせたくなっちゃった?」
「オレの嫁?」
謎すぎるワードに俺は思わず聞き返してしまった。
「あ、ごめん。無理に話さなくていいから」
彼女は俺の前に手のひらを向けて静止してきた。そしてさらに語りを続行してきたのだ。
「そうだよね。オレの嫁は聖域だよね。一緒に登校なんてしないよね。でも、同じ制服は着せたいよね?だって嫁だもんね。分かる。その気持ちわかるよ。でも、最終的に自慢したくなっちゃうのがぬい活なわけよ。制服、私が作ってあげてもいいんだけど、やっぱりオレの嫁の服を他の女が作るなんて許せないよね。うんうん。そんな安達くんに、素敵な情報を教えちゃう。このSNSを参考にして。作りた方をメッチャ分かりやすく解説してるから。あ、制服の布はね。駅裏の布屋で買えるよ。はい、じゃあドロップしちゃおっか」
一気にまくし立てるような語りが終わると、彼女は当たり前のようにスマホを差し出してきた。ドロップって、機種が限定される行為も当たり前のことらしく、俺は断ることも出来ないままそのSNSのリンクを受け取ってしまった。
帰宅してから検索すれば、オレの嫁と言うパワーワードは俺の胸に確かに突き刺さった。動画配信者が当たり前のように口にしているのはとても羨ましかった。
「オレの嫁」
口にしてみるとなぜだかストンと俺の心に落ちてきた。
