嫁と呼ばれたい俺はぬい活で告白したいと思います

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《結果はっぴょー》

 学年末テストの最終日、俺と伊知郎は学校の図書室にいた。明日明後日は一、二年だけの球技大会だから、ほとんどの生徒は帰宅してしまった。二月ということで、自由登校の三年生は図書室には誰もいない。殆ど貸切状態の図書室で、俺と伊知郎はいつもの窓際の席に並んで座っていた。

《ノート出して》
《OK》

 俺が渡したお揃いのノートを伊知郎がカバンから出す。今日のてすと科目ではないノートまで持ってきているから、お互いカバンがパンパンである。

《同じきょーかのノートな》
《もちろん》

 俺と伊知郎は図書質の大きなテーブルにノート広げ、残りの白紙のページを確認しあった。伊知郎のノートに書かれた文字は、やっぱり少し丸みを帯びていて、伊知郎っぽいと思うのだ。
 残りのページ数を書いて付箋を貼りつけていく。その数字の合計で競うというわけなのだが、伊知郎が結構頑張っていて俺は結構慌てていた。

――負けたくない。

 俺は内心祈りながら合計数を書き出した。

「優一の勝ち」

 耳元で伊知郎の声がした。
 伊知郎が指さす数字を見てみれば、確かにたった一ページの差で俺の勝ちだった。

《なんでも一つな》

 伊知郎がノートに書き込んだ。その書かれた文字を目で追う。たいした文字数ではない。むしろ簡潔でわかりやすい言葉である。
 もちろん、勝てる自身があった訳ではない。それでも、俺はちゃんと準備をしてきた。伊知郎が、ズル防止の為に今日だと言ったから、俺はちゃんと準備をしてきたのだ。

《決まってないなら、明日でも》
《大丈夫、決まってるから》
《そなの》
《うん》
《じゃあ、もったいぶるなよ》
《うん》

 俺はノートに書き込みながら、どう切り出すべきか考えていた。準備はしてあるのだ。あとは、サラッと伝えるだけである。
 俺はカバンを抱き抱え、ゴクリと唾を飲み込んだ。

《嫁にして下さい》

 そうノートに書き込んで、カバンからぬいぐるみを取り出した。ちゃんとぬいぐるみは一郎の方に向けて持っている。色々悩んだけれど、学校の制服を作って着せてある。

《ゆういちろう?》

 伊知郎が、そんなことをノートに書いた。その文字を見て、俺は叫び出しそうだった。
 俺が口を開いて、それから閉じて、視線をさ迷わせている間、伊知郎は俺の手が握りしめているぬいぐるみをじっと見つめていた。

《優一です》

 俺は、震える右手で何とかノートに書き込んだ。
 伊知郎は、俺の書いた文字と俺の左手が握りしめているぬいぐるみを交互に見て、それから俺の顔とぬいぐるみを見比べた。

《いーよ》

 伊知郎の右手が握るシャーペンがシャッと動いて返事を書いた。そして俺の左手が握りしめるぬいぐるみを受け取ったのだった。