嫁と呼ばれたい俺はぬい活で告白したいと思います

13.
「イロチのオソロだよぉ」

 帰宅後俺は部屋の中で一人で身悶えていた。

「しかも、俺の事高橋、いや伊知郎は入学式の時から知っててくれてた。どうしよう。ヤバい。ヤバすぎる」

 家族はまだ誰も帰宅していない。中学生の妹は部活があるし、母親はまだパートの時間である。俺はとりあえず洗濯物を取り込んで、自分の分だけを部屋に持ち込んだ。さすがに運動部ではないから、毎日の洗濯物は大した量ではない。俺にとって大切なことは、ワイシャツをハンガーのまま部屋に持ち込むことだけである。中学の頃はさほど気にしていなかったけれど、さすがに高校生ともなると最低限の身だしなみとして、シワの無いワイシャツは必須である。形状記憶よありがとう。の気持ちでいっぱいだ。

「シャーペンに続き、お揃いがまたひとつ」

 俺は机の上に二つ並んで置いてある次作のぬいぐるみを見た。スタンドではなく、細長いカゴに入れて横並びに入れてある。一応、俺と伊知郎のつもりで俺が作ったぬいぐるみだ。

「ネックウォーマーを付けるとしたら」

 そんな事を考えて、フェルトを取りだし首に巻き付けてみた。

「裸にネックウォーマーって、変態すぎるわ」

 そう、俺と伊知郎のぬいぐるみはまだ服を着ていないのだ。ぬいぐるみ用のかぼちゃパンツはとても簡単に作れるので一応作ってみたのだが、かぼちゃパンツだけを履いているぬいぐるみもなんだ変な感じがしたので裸のままなのだ。

「制服、着せたい、な」

 思い出すのはとなりのせきの松浦のぬいぐるみである。松浦の話によると、推しのぬいぐるみらしく、コンサートで購入した公式のグッズらしい。そこにぬい活として自分で好きな服を作って着せると言うことで、松浦は学校の制服を作って着せているという訳だ。

「セーターは、百均で売っていたよなぁ」

 ぬい活用の服も季節があるらしく、売り場は冬物がほとんどをしめていて、あとはシンプルなTシャツとズボンぐらいしかなかったと記憶している。

「無理だ。俺にはそこまで細かいディテールにこだわれる能力はない」

 俺は改めて次作のぬいぐるみを見た。髪の毛は大型店舗まで買いに行ったぬいぐるみ用のウイッグである。伊知郎の透明感のある茶色いサラサラの髪を上手く再現できていると思う。対して俺の髪はもう少し暗めの茶色にした。自室でスマホの画面を向けながら、自撮りで何回も確認をしての購入である。陽の光を浴びると案外髪の毛は真っ黒ではなかったのだ。

「制服を作ろう。うん、やっぱり制服を着せたいよな」

 俺は裸のぬいぐるみ達がなんだか寒そうに見えて、ハンドタオルを二体の上にかけてみた。

「ぐっ」

 かけた瞬間、俺はものすごく後悔した。
 なぜなら、俺と伊知郎が裸で並んで寝ているようにしか見えなかったからだ。