季節は変わり、空気がひんやりする時期。
木々が赤や黄色など、暖色に染まる。僕は、日の当たり方によって、輝きが変わる木々たちを眺めるのが楽しくなっていた。
そんなある日、公園のベンチに一人。金色のに輝く何かをもってベンチに座っていた。
その人物は、上下黒色に、肩の部分だけ大きな白が目立った服を着ている。確か、制服というものらしい。
僕は、その人物に近づいた。
「あ、おとちゃん。こんにちは。」
僕を「おとちゃん」と呼ぶ人物。彼女は、僕に一言挨拶をすると、おもむろに音を奏で始めた。
ぷ、ぷー、ぷっぷ、と。
僕は、不思議な音に首を思わず傾げた。
すると、僕反応が面白かったのか。フフッと笑った。
「今日も、トランペットの練習。聞いてくれるかな?」
彼女は、金色に輝くものを見せてくれる。これが、トランペットというものだと知った。僕は、気になり彼女の隣に座る。すると、彼女は「ありがとう」とお礼をし、奏で始めた。
「ぷ、ぷー、ぷっぷ。ぷ、ぷー、ぷっぷ。」
頬を大きく膨らませながら、空気を一杯吐き出している。そいして音が鳴り響く。
僕は、何を奏でているのか分からなかった。でも、一生懸命な音が伝わってくる。心地よいかと言われれば、難しい。それでも、聞き入ってしまった。
こうして、空が暗くなるまで彼女は無心で吹き続けていた。
次の日。僕は、同じように公園へ向かうと、トランペットの彼女がいた。
昨日と違い、少し表情が暗い。僕は、近づき隣に座った。
「おとちゃん。こんにちは。」
トランペットを握りしめたまま動かない。昨日の様に音を鳴らしてくるのを待ちながら、僕は寝る体制になりながら待った。
「あのね。今日、先生にもっと練習しなさいって怒られちゃった。」
彼女は、酷く落ち込んでいるようだ。
「沢山練習をしたけど、まだまだなんだって。誰かに感動してもらう演奏って難しいね。」
昨日、響かせていた音は、あまり良くなかったらしい。それで、気持ちが沈んでいたのだ。
僕は、音の良し悪しは分からない。でも、彼女が一生懸命奏でている姿は好きだった。
だから、僕はゆっくり起き上がり、前足でトランペット軽く叩いた。吹いてとねだるように。
「吹いてほしいの?」
彼女が確かめるように、見つめてくる。僕は、お願いと込めて尻尾を振った。
すると、パッと笑顔になる。
「分かった。」
トランペットを持ち直し、深呼吸する。そして、さらに大きく息を吸い奏で始めた。
「ぷ、ぷー、ぷっぷ。ぷ、ぷー、ぷっぷ。」
うん、悪くない。僕は、やっぱり君の音が好きだと思った。
しばらくすると、「ねこさーん!」と僕を呼ぶ声が聞こえる。
見ると、そこにはゆうちゃんとまいちゃんが大きく手を振っていた。
「あ!琴音ちゃんもいる!」
まいちゃんは、一目散に走って近づいてくる。ゆうちゃんは、「まって!」と後から追うように近づいてきた。
「琴音ちゃん、今日もトランペットの練習?」
まいちゃんは、興味津々で話しかける。琴音ちゃんは、あまりの勢いにたじろぎながらも、「うん。」と返事をした。
「琴音ちゃん、かっこいい!」
素直な言葉に、琴音ちゃんの頬が赤らむ。これは……、照れているな。僕は、その姿にニヤリとしてしまう。すると、ゆうちゃんが意を決してあるお願いをした。
「琴音ちゃん。きらきら星弾いて!」
すると、まいちゃんも被せるようにねだる。
「まいも聞きたい!」
二人のお願いに、恥ずかしそうな表情をしている。僕は、背中を押すように尻尾をゆっくり振った。
僕らのおねだりに、根負けしたのか。琴音ちゃんはまた深呼吸をする。
そして、ゆっくり口をつけ、奏で始めた。
「ぷっぷ、ぷっぷ、ぷっぷ、ぷー。」
いつも話の止まらないまいちゃんが、今日は静かに聞いている。ゆうちゃんは、目をキラキラさせながら見入っていた。僕も、尻尾を振りながら音を楽しむ。
「やっぱり、かっこいいね!琴音ちゃん。」
やっぱり、音の良し悪しは分からない。だが、二人の意見に僕も賛成だ。だって、琴音ちゃんの音は、一生懸命だから。僕は、それが好きだと思った。
木々が赤や黄色など、暖色に染まる。僕は、日の当たり方によって、輝きが変わる木々たちを眺めるのが楽しくなっていた。
そんなある日、公園のベンチに一人。金色のに輝く何かをもってベンチに座っていた。
その人物は、上下黒色に、肩の部分だけ大きな白が目立った服を着ている。確か、制服というものらしい。
僕は、その人物に近づいた。
「あ、おとちゃん。こんにちは。」
僕を「おとちゃん」と呼ぶ人物。彼女は、僕に一言挨拶をすると、おもむろに音を奏で始めた。
ぷ、ぷー、ぷっぷ、と。
僕は、不思議な音に首を思わず傾げた。
すると、僕反応が面白かったのか。フフッと笑った。
「今日も、トランペットの練習。聞いてくれるかな?」
彼女は、金色に輝くものを見せてくれる。これが、トランペットというものだと知った。僕は、気になり彼女の隣に座る。すると、彼女は「ありがとう」とお礼をし、奏で始めた。
「ぷ、ぷー、ぷっぷ。ぷ、ぷー、ぷっぷ。」
頬を大きく膨らませながら、空気を一杯吐き出している。そいして音が鳴り響く。
僕は、何を奏でているのか分からなかった。でも、一生懸命な音が伝わってくる。心地よいかと言われれば、難しい。それでも、聞き入ってしまった。
こうして、空が暗くなるまで彼女は無心で吹き続けていた。
次の日。僕は、同じように公園へ向かうと、トランペットの彼女がいた。
昨日と違い、少し表情が暗い。僕は、近づき隣に座った。
「おとちゃん。こんにちは。」
トランペットを握りしめたまま動かない。昨日の様に音を鳴らしてくるのを待ちながら、僕は寝る体制になりながら待った。
「あのね。今日、先生にもっと練習しなさいって怒られちゃった。」
彼女は、酷く落ち込んでいるようだ。
「沢山練習をしたけど、まだまだなんだって。誰かに感動してもらう演奏って難しいね。」
昨日、響かせていた音は、あまり良くなかったらしい。それで、気持ちが沈んでいたのだ。
僕は、音の良し悪しは分からない。でも、彼女が一生懸命奏でている姿は好きだった。
だから、僕はゆっくり起き上がり、前足でトランペット軽く叩いた。吹いてとねだるように。
「吹いてほしいの?」
彼女が確かめるように、見つめてくる。僕は、お願いと込めて尻尾を振った。
すると、パッと笑顔になる。
「分かった。」
トランペットを持ち直し、深呼吸する。そして、さらに大きく息を吸い奏で始めた。
「ぷ、ぷー、ぷっぷ。ぷ、ぷー、ぷっぷ。」
うん、悪くない。僕は、やっぱり君の音が好きだと思った。
しばらくすると、「ねこさーん!」と僕を呼ぶ声が聞こえる。
見ると、そこにはゆうちゃんとまいちゃんが大きく手を振っていた。
「あ!琴音ちゃんもいる!」
まいちゃんは、一目散に走って近づいてくる。ゆうちゃんは、「まって!」と後から追うように近づいてきた。
「琴音ちゃん、今日もトランペットの練習?」
まいちゃんは、興味津々で話しかける。琴音ちゃんは、あまりの勢いにたじろぎながらも、「うん。」と返事をした。
「琴音ちゃん、かっこいい!」
素直な言葉に、琴音ちゃんの頬が赤らむ。これは……、照れているな。僕は、その姿にニヤリとしてしまう。すると、ゆうちゃんが意を決してあるお願いをした。
「琴音ちゃん。きらきら星弾いて!」
すると、まいちゃんも被せるようにねだる。
「まいも聞きたい!」
二人のお願いに、恥ずかしそうな表情をしている。僕は、背中を押すように尻尾をゆっくり振った。
僕らのおねだりに、根負けしたのか。琴音ちゃんはまた深呼吸をする。
そして、ゆっくり口をつけ、奏で始めた。
「ぷっぷ、ぷっぷ、ぷっぷ、ぷー。」
いつも話の止まらないまいちゃんが、今日は静かに聞いている。ゆうちゃんは、目をキラキラさせながら見入っていた。僕も、尻尾を振りながら音を楽しむ。
「やっぱり、かっこいいね!琴音ちゃん。」
やっぱり、音の良し悪しは分からない。だが、二人の意見に僕も賛成だ。だって、琴音ちゃんの音は、一生懸命だから。僕は、それが好きだと思った。
