夏の暑さが残り、涼しくなることが待ち遠しく感じる。僕は、朝の寒さと裏腹に昼の温度差に驚きながら、周りを散策していた。
「ヒロ!今日も涼みに来たか?」
僕を「ヒロ」と呼ぶ人物は、屈託のない笑顔で出迎えてくれる。白や赤く大きな車が整列している場所。そこは、消防署というらしい。
そこには、いつもこの暑さには相応しくない紺色をした、厚手の服に身を包む人がいた。
「少し待ってろ。」
笑顔の似合うその男は、あるものを持ってきてくれる。手に持つものが目に飛び込むと、思わず嬉しさに高揚した。
「ほら、冷たい水とおやつだ!」
この男が持ってくるおやつは最高に旨い!細長い鮮やかな色の袋から飛び出す魅惑の食べ物は、僕を虜にする。
「今日は、マグロ味だぞ~。」
僕は、一目散に飛びつき、袋ごとかぶりついた。
「そんなに急いで食べるな。ちゅーるは逃げないぞ。」
アハハと大きな声で笑いながら、僕がむさぼりつく姿を楽しんでいる。そんなことをお構いなしに、僕は夢中になっていた。この人が準備するおやつは、いつも間違えない!最高だと。
すると突然、心臓が飛び跳ねる様な、耳がツーンとする「ジリジリジリ」という音が鳴り響く。
そして、チカチカと眩しい光が回り始めた。
「出動か。」
紺色服の男が一言つぶやくと、オレンジ色服を着た人々がすごい勢いで走り去っていく。この光景に、思わず身構えてしまうほどの恐怖を感じた。その中の一人が、叫びながら白い車に乗り込んでいった。
「今野、出動する!」
「あぁ、よろしく!」
今野さんは、僕を抱き上げ白い車から急ぎ離れる。すると、「ピーポー」という音を響かせながら、風のように去って行った。
「助かると良いな。」
今野さんの心配そうな言葉は、僕の心に引っかかった。
次の日、同じように今野さんは、僕を出迎えてくれる。
今日は、カツオ味のちゅーるが旨い!
そんなことを思いながら、昨日のようにかぶりついていた。
「今日も旨そうに食べるな。」
アハハと大きな声で笑う。いつも通りの笑顔に少しホッとする。
すると、昨日叫びながら白い車に乗り込んだ人物が、僕らに近づいてきた。
「お!ヒロをだしに使ったさぼりか~。」
「それは、この子に申し訳ないよ。まぁ、さぼりは否定しないが。」
「やっぱりか。」
二人は、冗談を言い合いながら、僕をかこう。
「まぁ、こういう日常がある事は、幸せなことだからな。」
オレンジ服の人が、優しく微笑みながら、僕の頭をなでる。そして、このゆったりとした時間を噛み締めているように感じた。
「俺たちの仕事は、暇な方がいい。だって、皆が何事もない日常を元気に過ごせているわけだからさ。」
「おぉ~、いいこと言うな。間宮は。」
今野さんは、間宮と呼ばれる人物の肩を叩いた。「痛⁉」と反射的に出た言葉に、思わずまた笑いあう。僕は、そんな二人を見ていて良いなと思った。
1週間後。学校と呼ばれる場所に、今野さんがいた。
僕は、フェンス越しに覗いてみる。
そこには、キラキラした目で見つめるゆうちゃん達もいた。
「放水、はじめ!」
きびきびとした掛け声で、今野さんは赤い車から、重く長いものを構える。すると、もの凄い勢いで、水が噴射する。とても遠くまで届く水は、障害物をバタバタと倒していく。
皆から、歓声が響き渡る。
僕は、その姿を見てこう思った。
「かっこいい、ヒーローだな」と。
「ヒロ!今日も涼みに来たか?」
僕を「ヒロ」と呼ぶ人物は、屈託のない笑顔で出迎えてくれる。白や赤く大きな車が整列している場所。そこは、消防署というらしい。
そこには、いつもこの暑さには相応しくない紺色をした、厚手の服に身を包む人がいた。
「少し待ってろ。」
笑顔の似合うその男は、あるものを持ってきてくれる。手に持つものが目に飛び込むと、思わず嬉しさに高揚した。
「ほら、冷たい水とおやつだ!」
この男が持ってくるおやつは最高に旨い!細長い鮮やかな色の袋から飛び出す魅惑の食べ物は、僕を虜にする。
「今日は、マグロ味だぞ~。」
僕は、一目散に飛びつき、袋ごとかぶりついた。
「そんなに急いで食べるな。ちゅーるは逃げないぞ。」
アハハと大きな声で笑いながら、僕がむさぼりつく姿を楽しんでいる。そんなことをお構いなしに、僕は夢中になっていた。この人が準備するおやつは、いつも間違えない!最高だと。
すると突然、心臓が飛び跳ねる様な、耳がツーンとする「ジリジリジリ」という音が鳴り響く。
そして、チカチカと眩しい光が回り始めた。
「出動か。」
紺色服の男が一言つぶやくと、オレンジ色服を着た人々がすごい勢いで走り去っていく。この光景に、思わず身構えてしまうほどの恐怖を感じた。その中の一人が、叫びながら白い車に乗り込んでいった。
「今野、出動する!」
「あぁ、よろしく!」
今野さんは、僕を抱き上げ白い車から急ぎ離れる。すると、「ピーポー」という音を響かせながら、風のように去って行った。
「助かると良いな。」
今野さんの心配そうな言葉は、僕の心に引っかかった。
次の日、同じように今野さんは、僕を出迎えてくれる。
今日は、カツオ味のちゅーるが旨い!
そんなことを思いながら、昨日のようにかぶりついていた。
「今日も旨そうに食べるな。」
アハハと大きな声で笑う。いつも通りの笑顔に少しホッとする。
すると、昨日叫びながら白い車に乗り込んだ人物が、僕らに近づいてきた。
「お!ヒロをだしに使ったさぼりか~。」
「それは、この子に申し訳ないよ。まぁ、さぼりは否定しないが。」
「やっぱりか。」
二人は、冗談を言い合いながら、僕をかこう。
「まぁ、こういう日常がある事は、幸せなことだからな。」
オレンジ服の人が、優しく微笑みながら、僕の頭をなでる。そして、このゆったりとした時間を噛み締めているように感じた。
「俺たちの仕事は、暇な方がいい。だって、皆が何事もない日常を元気に過ごせているわけだからさ。」
「おぉ~、いいこと言うな。間宮は。」
今野さんは、間宮と呼ばれる人物の肩を叩いた。「痛⁉」と反射的に出た言葉に、思わずまた笑いあう。僕は、そんな二人を見ていて良いなと思った。
1週間後。学校と呼ばれる場所に、今野さんがいた。
僕は、フェンス越しに覗いてみる。
そこには、キラキラした目で見つめるゆうちゃん達もいた。
「放水、はじめ!」
きびきびとした掛け声で、今野さんは赤い車から、重く長いものを構える。すると、もの凄い勢いで、水が噴射する。とても遠くまで届く水は、障害物をバタバタと倒していく。
皆から、歓声が響き渡る。
僕は、その姿を見てこう思った。
「かっこいい、ヒーローだな」と。
