拝啓、奥村海音さま。
君が、この手紙を読んでいるということは、俺はきっともうこの世にはいないんだろう。
俺は今まで君に何をしてあげられただろう? たくさんの心配を掛けてしまった俺だけど、言わせてほしい言葉があるんだ。
俺の想いを。懺悔を。どうか、聞いてほしい。
それから――、いまさらだけど、先にいってしまう俺を、どうか、許してほしい。
俺は、小さい頃から心臓病を患っていました。
それも重い心臓病です。手術をしても治る可能性が低いと言われ、二十歳になるまで生きられないと言われ続けていました。
でも、二十歳になれました。大人になれました。
生きることが、できました。
それはひとえに海音と、兄ちゃんと、俺に関わってくださったひとみんなのお陰です。感謝しかありません。
本当に、ありがとうございます。
君には、重い心臓病だったこと、ずっと隠していました。
高校最後の冬、もう君とは会わないと、終わりにしようと伝えました。
別れを告げようと、俺なりの覚悟を持って。
君に嫌われようが何を思われようが、君に負担を掛けたくなかったから。俺はもう、会わないつもりだったんだ。
でも、本当は辛かった。
君が言っていたように、自分に「ふざけるな」と言いたくなった。
勝手にいなくなって。
勝手に好きにさせておいて。
そして、君の前から、俺は逃げたんだ。
君が泣いていたのを分かってはいたけれど、それでも俺はこれ以上、君に迷惑を掛けたくなくて君から離れました。
離れたのに、覚悟が足りませんでした。
結局、海音には助けられてばかりでした。
もう生きることに疲れた俺に、君は「生きろ」と言った。
不思議なもので、海音の言う言葉には力が宿って、本当にこれからはちゃんと生きてみようと思えたんだ。
もう逃げないと、決めることができたのは海音――君のお陰です。
お陰と言えば、君のお母さまである美里先生にも、大変お世話になりました。
あまりここで話すには気が引けるけれど……それでもこのことは、いつか、誰かから君に話さなければいけないことだと思っていたから、俺から伝えようと思います。
美里先生の事故は、俺と佐央里の所為で起きてしまったことです。
あの日、佐央里が我儘を言って先生を困らせてしまった。美里先生は「大丈夫、大丈夫」って笑っていたけど、俺は先生を困らせた佐央里が許せなくて、いい加減にしろって注意した。けど佐央里は美里先生に謝らなかった。謝るどころか、大嫌いって言って道路に飛び出したんだ。
美里先生は佐央里を追いかけて、俺も一緒に追いかけて、美里先生を止めようとしたんだけど、ダメだった。
先生は、俺たちの所為で、死んでしまった。
美里先生がひかれたあと、俺たちは決めたんだ。美里先生のご家族に、もう二度と迷惑を掛けてはいけないと。
罪を償う――ではないけれど、そんな気持ちで生きてきたんだ。
美里先生の子供がいるとは知っていたけど、それが海音だって知った時は正直、怖かった。
そもそも同じ高校だと思わなかったし、初めて会った時の君は、美里先生にそっくりだった。
そう思ったのは君が女装していたからかな(笑)
君には申し訳なかったけれど、俺は君と出会って、美里先生への償いが出来ると思ったんだ。
こんなやましい気持ちで君に近付いた俺を、どうか、許さないでほしい。
俺は罪を償うどころか、君を、好きになってしまった。
美里先生の死んでしまった原因を、海音に言えなかったです。
手紙という形で伝えたこと、男として恥ずかしく思います。
本当に、ごめんなさい。
君には、感謝しかありません。
海音、こんな俺を、見捨てないでくれてありがとう。
生きろと言ってくれてありがとう。
生きる理由をくれてありがとう。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。
何度言っても、何度伝えても、足りないくらい、感謝の気持ちしかありません。
さて、長々とこうして手紙を綴ってきたけど、俺の想いは伝わっただろうか?
俺にとって、君といられた時間はかけがえのないものになりました。
心残りのないように生きてきたつもりだったけれど、それでも心残りはできてしまうもので、海音、君のことが気掛かりです。
俺がいなくなっても、君なら大丈夫。
君の周りには、君を助けてくれるひとたちがいる。
君を愛してくれるひとがいる。
だから、気負いすることはないよ。
そして、最後に伝えたいことが三つあるんだ。
聞いてくれるだろうか? ――
君が、この手紙を読んでいるということは、俺はきっともうこの世にはいないんだろう。
俺は今まで君に何をしてあげられただろう? たくさんの心配を掛けてしまった俺だけど、言わせてほしい言葉があるんだ。
俺の想いを。懺悔を。どうか、聞いてほしい。
それから――、いまさらだけど、先にいってしまう俺を、どうか、許してほしい。
俺は、小さい頃から心臓病を患っていました。
それも重い心臓病です。手術をしても治る可能性が低いと言われ、二十歳になるまで生きられないと言われ続けていました。
でも、二十歳になれました。大人になれました。
生きることが、できました。
それはひとえに海音と、兄ちゃんと、俺に関わってくださったひとみんなのお陰です。感謝しかありません。
本当に、ありがとうございます。
君には、重い心臓病だったこと、ずっと隠していました。
高校最後の冬、もう君とは会わないと、終わりにしようと伝えました。
別れを告げようと、俺なりの覚悟を持って。
君に嫌われようが何を思われようが、君に負担を掛けたくなかったから。俺はもう、会わないつもりだったんだ。
でも、本当は辛かった。
君が言っていたように、自分に「ふざけるな」と言いたくなった。
勝手にいなくなって。
勝手に好きにさせておいて。
そして、君の前から、俺は逃げたんだ。
君が泣いていたのを分かってはいたけれど、それでも俺はこれ以上、君に迷惑を掛けたくなくて君から離れました。
離れたのに、覚悟が足りませんでした。
結局、海音には助けられてばかりでした。
もう生きることに疲れた俺に、君は「生きろ」と言った。
不思議なもので、海音の言う言葉には力が宿って、本当にこれからはちゃんと生きてみようと思えたんだ。
もう逃げないと、決めることができたのは海音――君のお陰です。
お陰と言えば、君のお母さまである美里先生にも、大変お世話になりました。
あまりここで話すには気が引けるけれど……それでもこのことは、いつか、誰かから君に話さなければいけないことだと思っていたから、俺から伝えようと思います。
美里先生の事故は、俺と佐央里の所為で起きてしまったことです。
あの日、佐央里が我儘を言って先生を困らせてしまった。美里先生は「大丈夫、大丈夫」って笑っていたけど、俺は先生を困らせた佐央里が許せなくて、いい加減にしろって注意した。けど佐央里は美里先生に謝らなかった。謝るどころか、大嫌いって言って道路に飛び出したんだ。
美里先生は佐央里を追いかけて、俺も一緒に追いかけて、美里先生を止めようとしたんだけど、ダメだった。
先生は、俺たちの所為で、死んでしまった。
美里先生がひかれたあと、俺たちは決めたんだ。美里先生のご家族に、もう二度と迷惑を掛けてはいけないと。
罪を償う――ではないけれど、そんな気持ちで生きてきたんだ。
美里先生の子供がいるとは知っていたけど、それが海音だって知った時は正直、怖かった。
そもそも同じ高校だと思わなかったし、初めて会った時の君は、美里先生にそっくりだった。
そう思ったのは君が女装していたからかな(笑)
君には申し訳なかったけれど、俺は君と出会って、美里先生への償いが出来ると思ったんだ。
こんなやましい気持ちで君に近付いた俺を、どうか、許さないでほしい。
俺は罪を償うどころか、君を、好きになってしまった。
美里先生の死んでしまった原因を、海音に言えなかったです。
手紙という形で伝えたこと、男として恥ずかしく思います。
本当に、ごめんなさい。
君には、感謝しかありません。
海音、こんな俺を、見捨てないでくれてありがとう。
生きろと言ってくれてありがとう。
生きる理由をくれてありがとう。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。
何度言っても、何度伝えても、足りないくらい、感謝の気持ちしかありません。
さて、長々とこうして手紙を綴ってきたけど、俺の想いは伝わっただろうか?
俺にとって、君といられた時間はかけがえのないものになりました。
心残りのないように生きてきたつもりだったけれど、それでも心残りはできてしまうもので、海音、君のことが気掛かりです。
俺がいなくなっても、君なら大丈夫。
君の周りには、君を助けてくれるひとたちがいる。
君を愛してくれるひとがいる。
だから、気負いすることはないよ。
そして、最後に伝えたいことが三つあるんだ。
聞いてくれるだろうか? ――
