『拝啓、奥村海音(かいと)さま。
 君が、この手紙を読んでいるということは、俺はきっともうこの世にはいないんだろうね。
 俺は今まで君に何をしてあげられただろう?
 してやれただろうって、今になってすごく不安になるよ。
 だけど、そんな俺だけど、言わせてほしい言葉があるんだ。
 俺の想いを。懺悔を。どうか、聞いてほしい。
 それから――、いまさらだけど、
 先にいってしまう俺を、どうか、許してほしい。』

 それは三年前、僕に贈られた一通の手紙。差出人は、僕にとって忘れられないひと。

 天川将成(あまかわまさなり)

 僕が、高校三年生の時に出会った、初めてできた友人であり、親友であり、一年間共に過ごしたひと。
 そして、三年前に亡くなった最愛のひと。
 手紙は、今までの思い出が詰まったびっくり箱のようで、僕は今でもその手紙を読むたびに、まだ君が生きているんじゃないかと錯覚して、君のことを昨日のことのように思い出すんだ。