vino/nelle/vene

[“6月” やがて、夏が来れば]

 スタッフは知っている。
 『泉門』が解散した今、必死に前を向いて先導するマナが、支えを必要としていることを。

 『泉門』は、ミカとマキが去ったことにより、事実上の解散となった。
 しかし、残ったマナは、スタッフのために公演を開催し、ファンのためにパフォーマンスをした。

(諦めない。まだ終わってないから。)

 『泉門』で海外進出をする夢は、叶わなくなってしまった。
 しかし、ミカとマキの2人と共演するチャンスが、一生来ないと決まった訳では無い。

 別のグループになっても、海外進出した先の何かの機会で叶うもしれない。
 その機会を作りたい。

(2人は成長しようとしている。
ここに留まった私が、夢を諦めれば、一生叶わない。
体裁を気にしているばかりでは、何も進まない。)

 一部の報道陣は、“『泉門』は閉門された”などと、3人が決別したように報道している。
 しかし、3人は決別などしていないし、それどころか前向きな気持ちで“また会おう”などとお互いの選択を尊重している。

 3人それぞれに思うところはあるのだろうが、その些細な違いがあっても、夢を叶えるという大きな目標を共有しているため、気持ちが噛み合わないことは無い。

 ただ、少しの間バラバラになるだけなのだ。
いずれは1つになる。


「マナさん!そろそろ時間です!」
 長髪の青年がマナへ、開幕の時が近づいていることを告げる。

(マナ、気合い入れていくよ。
この瞬間に、全身全霊で挑む!)