vino/nelle/vene

[“6月” 1人目のキーパーソン]

「あ、あの!これ!」
 ハッとして顔を声がする方へ向ければ、小鳥のように慌てながら涙目になっているスタッフがいた。

「!?ごめんごめん!これ拾ってくれたんだね!
 ありがとう!」

 マナが落としたネックレスを渡すという任務をこなすことができてホッとしたのか、そのスタッフは、落ち着きを取り戻す。
 双六角錐型のアクセサリーは、ペンデュラム(振り子)を意識している。“踊り子”に合わせて8つの“振り子”が揺れれば、画になるのではないかと思った事がきっかけで身に付けていた。
 しかし、今ではこのネックレスが、大事な心の支えにもなっている。
 『泉門』と今のマナを繋ぎ、夢の継続を誓わせる。

 このネックレスは、お守りの役目を果たしていた。

 当然、ネックレスを紛失したならば、必死で探すところだったので、この青年には心から感謝したいと思った。


 事務所に戻ったマナは、例の青年を見つけた。

 淡々と仕事をこなす長髪の青年に、何か声をかけようと思い、言葉に迷っていると、良いひらめきがあった。

「ヒカル!――?」

「…え…」

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