vino/nelle/vene

[“6月” 水面下で進行するもの]

「ありがとうございました!」

(…さて、やることは沢山ある。
まずは、目の前の撤収から…)

 …素晴らしい…!

「!?
 んぐッ…ゲホッゲホッ」

(なに、これ?手が震えてる?)

 辺りを見渡しても、マナに声をかけた者は居なかった。

(気の所為か…)

 悪寒がする。手は震えている。
何が原因なのかは、全くわからない。マナに心当たりは無い。

 マナは、冷や汗をかく理由もわからぬまま、気の所為であるということにして、忘れることにした。

「マナさん!これで撤収準備完了しました!
これから事務所に戻りますが、よろしいですか?」
 スタッフの1人で、秘書に近い役割を担っている、
ワカナという名の者に声をかけられた。

「…マナさん。どうしました?顔色が悪いですよ?」
「?別に体調は悪くないよ。」
「そうですか…。無理なさらないで下さいね。
 もし何かお手伝いすることがあれば、このワカナにお申し付けください!」

「ふふっ。ワカナさん。ありがとう。
ひとまず撤収の指示を任せてもいいかな?」
「はい!」

 ワカナは、『泉門』のスタッフとして、始めて雇ったスタッフだった。
 頭の回転が早く、気遣いのできる人物で、いつも頼りにしている。
 彼女の手にかかれば、普段行っている撤収作業の指示は的確に伝わる。今日の公演の撤収も、あっという間に完了した。

「…よし!私も計画を詰めていかないと!」