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[“6月” ディスと照らす旭日]

 マナは、姿を見せた途端、大きな歓声に迎えられる。
 『泉門』が解散し、離れるファンもいたようだが、メンバーの意思を尊重するファンも多かった。

(…みんな、ありがとう。いつか絶対に夢を叶えるから。
その時を心待ちにしていて欲しい。

 だから、今この瞬間を目に焼き付けてね。)

 観客は、生きている。
 当たり前のことではあるけれど、意識すれば、どことなく見え方が変化する。

 人間は、感情を持っている。
 時にコントロールできないほどの苛烈な感情も宿す。

 その目に焼き付けて、その心に焼き付けて。
生まれ変わっても覚えているだろうと思わせるほどに。

 まばゆく光るその姿は、簡単には消えない炎を絶えず生み出す太陽のようであり、観る者全ての心を奪った。

「…わぁ。何だろう、この感覚…。
眩しいのに、どこか温かくて…懐かしい…!」

「嘘みたい…!
 一面に広がるサイリウムも揺れていて生きているみたい!なんて綺麗な景色なの…!?
 まるで魂が集っているみたい!」

「マナが髪を揺らす度にサイリウムがチカチカしてる!
操っているみたい…!」

「こんなパフォーマンス、見たことが無い!
 今シーズンは、もう何度も観に来た。
同じ演目のはずなのに…最早、何も言葉が見つからない…!」

 過去最強のパフォーマンスは、マナの手により、
不滅の力強さを印象づけた。

 観客は、マナの表現に目が眩み、公演終了後はすぐに席を立てない者も多かった。