モニモンくんの旅行記


・【09 茨城県を旅したよ!(1)】


問い1.モニモンくんが行った神社仏閣はどこ?
問い2.モニモンくんがゆるキャラのぬいぐるみを買えなかったと悔しんだ、ゆるキャラの名前とは?
問い3.ズバリ最終目的地はどこ?

 最初に僕たちが訪れたのは、なんとサービスエリアだった。高速道路のSAというヤツだ。
 車ナシにワープでやって来た僕は若干の罪悪感を抱いているがモニモンくんにそういうところを気にする様子は無い。
「面白いモニ! 面白いモニ! 生け垣で”ひたち”と書いてあるモニ!」
 指差しながら笑うモニモンくん。
 確かに垣を綺麗にカットして”ひたち”と書かれているところは滑稽力(りょく)が高い。
 いや勿論日立なんだけども、日立過ぎる。日立って工業製品のイメージあるけども、生の植物でひたちと書いているので、ふざけている感じがする。
 顔がうしで、人型の全身白タイツ状態から、いつも通り手のひらサイズに変化してから、僕にその”ひたち”とのツーショットを撮らせたモニモンくん。
 僕は全然撮らなくてもいいなと思った。滑稽だし、何かちょっとだけしょうもないから。
 日立のサービスエリアではそれが目的で、すぐにワープして厳かな雰囲気がする、この地にやって来た。
 目の前では蕎麦稲荷を売っているお店屋さんがあったり、と。思ったより、やや閑散としている感じがする。平日だからだろうか。
 でもその目的地の中に入ると、お店屋さんがいっぱいで、むしろ中にあるほうなんだと目を丸くしてしまった。
 モニモンくんは一心不乱に奥へ奥へ入っていく。もうしっかり人型の全身白タイツっぽい見た目なので、異物感が半端無い。
 それとも同じ白を基調とした狐のぬいぐるみがいっぱい店先にいたので、ギリ大丈夫なのだろうか。大丈夫なはずがあるか。
 どう表現したらいいか分からないけども、殿(または、でん!)といったような社が出てきて、正直壮観だ。相当デカい。
 前には栗を模しているようなマークがある。まあここは日立じゃなくて別の市で、栗が有名だからそうなんだろうな。
 モニモンくんはしっかり頭をさげて、何か願いことを考えているようだった。宇宙人なのにそういう感じの作法知っているんだ。
 僕は普通に『モニモンくんと喧嘩しませんように』と願った。だって仲違いしてワープさせてもらえなかったら、自力で家に戻るしかないので、茨城から新潟に帰るんじゃ、お金が掛かってしょうがないから。電車の乗り換えも自信無いし。
 モニモンくんは柏手一発叩いてから、
「いっぱい買い物するモニ!」
 と言って、神社はそんな買い物するところじゃないだろとは思った。
 とは言え、中にはいろんなお店屋さんがあり、そこでモニモンくんがいな吉というゆるキャラのぬいぐるみを買った。
 手のひら状態になったら自分もぬいぐるみみたいなくせにと思って見ていると、モニモンくんが、
「最近ゆるキャラに目覚めたモニ。こういうのって良いよね、会話もできるし」
 最後変なことを言ったが、まあいいだろう。
 というか自分がそのマスコット状になると、マスコットと会話できるのか? う~ん、したいようなしたくなような。マスコットにはずっと聞くだけでいてほしいような、ね。
 モニモンくんは嬉しそうにどこからともなく巾着袋を出現させて、そこに入れて、また巾着袋を亜空間に放り込んだ。
 いや自分と会話できるマスコットを巾着袋に入れて亜空間すな、と思ったけども、あんま変な口答えをすると怒られるだろうからしない。
 どこに沸点があるかどうか分からないから、モニモンくんの予想の範囲は越えないようにするのがポイントだと思う。謎生活のティップス。
 モニモンくんはその後、栗のお菓子を買ってまたワープした。勿論栗のお菓子も亜空間した(この日本語合ってる? というか日本語に本当に亜空間って言葉ある?)。
 そこからいろんな茨城県内の道の駅を巡り、日立の道の駅に着いたところでモニモンくんがとある看板を指差した。
「これ可愛いモニ!」
 それは水戸黄門と助さん格さんの顔ハメ看板だった。この三人に顔が空いていて、顔が空虚な人間が可愛いとはホラーな感性だと思って頷くだけにしていると、
「この人間三人にぶどうやメロンを献上してあげているゆるキャラ、最高に可愛いモニ!」
 あぁ、そうか、その脇でちょこまか動いているゆるキャラのほうか、可愛いって言ったのは。
 一応こういう強くゆるキャラを押し出している商業施設はマスコットがあるので、僕も探してあげることにした。
 それにしても何だろうか、この三頭身の鶴みたいな顔をしているヤツは。顔は多分鶴だと思う。だけども問題はこの全身だ。
 全身が鶴のような足感じゃなくて、完全に黒タイツなのだ。モニモンくんの裏面というか2Pカラーというか。
 自分と同じようなモノが好きになるんだな、まあうしにも反応するし、と思いながら、道の駅の中を歩くわけだけども全然見つからない。
 一応紹介している展示コーナーみたいなところは見つけた。
 モニモンくんは少ししょげた顔で、
「上手(じょうず)みたいな名前だけども、売り出し方が下手だよ……ちゃんとマスコットを売るべきだよ……」
 とモニナシ語尾で、本気で悲しんでいるようだった。
 どうやら良くてピンズまでしかないらしい。
 モニモンくんは肩を落として、
「マスコットがほしかったよ……ピンズじゃ会話できないんだよ……」
 ピンズじゃ会話できないんだ、とオウム返しを心の中でした。
 モニモンくんはトボトボとこの道の駅ひたちおおたを後にした。
 それくらいのタイミングで段々暗くなってきた。それもそのはず。今日は道の駅日立大宮や道の駅北斗星、奥久慈の道の駅へと飛び飛びでいろんな場所へワープしたからだ。
 最後に最終目的地である場所に着いた時にはあいにくの雨で、長い通路を真っ直ぐ歩いている時に願ったけども、やっぱり雨のままで窓ガラス全開の地で青い太平洋を拝むことはできなかった。
 何か雨のせいか、カフェも閉まっていて、モニモンくんは強めにがっくし。
 するとモニモンくんが小声でこう言った。
「神社で舐めた態度とらなかきゃ良かった……」
 僕は小首を傾げながら、
「モニモンくん、ちゃんと神社で何か願っていたじゃないか。頭もさげていたし」
「頭はさげたけども、心の中で『旅行なんて余裕だモニ! 少しは思った通りにならないようにするモニ!』と言ってしまったんだ……」
「何で意味無く反抗的に……」
「神様っているんだね……」
「この場合はいるで合ってると思う」
 だからって、と僕は、
「雨の海も、雨のガラスも悪くないけどね。ちょうど人もあんまいないし、写真撮りたい放題だよ。ちょっと荒れているほうが波感出るし」
「確かに。これはこれで貴重モニ」
 とモニ語が出たので、ちょっとは気持ちが回復したみたいだ。
 とにかく何が起きるか分からないから、気持ちは回復していたほうがいい。
 普通の人間同士の旅だとしても、気分が良いほうが良いからね。
 モニモンくんはまたマスコット状になり、僕が写真を撮った。
 結構良い降りな雨になっている。でもそれはオツというヤツだろう。知らんけど。
 モニモンくんは最後は笑顔になって、
「マヒロくんとの旅行を選んで正解だったモニ」
 と言ったので、お、おまえ……(はぁと)みたいな気持ちになった。おまえとは言わないけども。機嫌を損なう危険性があるから。







・『答え発表』


問い1.笠間稲荷神社
>ゆるキャラは笠間のいな吉。茨城県で栗が有名と言えば笠間市。これはもう基本。桃鉄にもありますね。
 名物の蕎麦稲荷は美味しかったです。あと小籠包という名前のほぼ肉まんを食べた、笠間稲荷の参道の真ん前の店。これも名物だったのだろうか。





問い2.じょうづるさん
>ヒントの出し方が分からず、上手(じょうず)みたいな名前と言ってしまった。反則では?
 元々知っている人はすぐに分かっただろうけども、ゆるキャラの名前という問題はちょっとどうだったのだろうか。
 とは言え、他の問題も思い浮かばず、この問題を採用にしました。本当にゆるキャラのマスコット(ぬいぐるみ)が売ってなくて、意気消沈しました。





問い3.日立駅
>だって電車の音とか言ったらすぐにバレるでしょうが! 長い通路を真っ直ぐで、軽度のヒントですね。
 デカい窓ガラス越しに見る海が有名なスポットなんです。日立来て、日立意識させて日立駅ってそのままだから、できるだけ駅っぽい描写はできませんでした。





その他.
>写真をご覧なったお方なら分かると思うんですが、ひたちのサービスエリアのモニモンくんだけ色が白い。汚れていない。
 これはサービスエリアの写真だけだいぶ昔に撮ったからです。それ以外の茨城県の写真は確か2025年ですね。
 ひたちのサービスエリアの写真はなんせ”前に撮った”とちゃんと記憶しているため、最新の、汚れたモニモンくんの写真が無いんです。
 別に撮っていても良かった。この違和感には別に何のクイズ要素は無いです。写真ご覧になっていないと分からないし。