モニモンくんの旅行記


・【07 新潟県を旅したよ!(2)】


問い1.モニモンくんが最初に見たお花は何?
問い2.モニモンくんが現在の目的地で見たお花は何?
問い3.ズバリ最終目的地はどこ?

 モニモンくんのワープはどうやら時間飛行もできるらしい。
 僕とモニモンくんはちょっとだけ未来である、五月中旬にやって来た。
 着いたらすぐに満開のお花が僕らを待ち構えていた。百花繚乱という言葉が一番しっくりくるようなお花たち。
 梅などのお花も勿論綺麗なのだけども、やっぱりこのお花は豪華だと思う。お花の豪華さは花びらの数で決まりだ。
 さらにはいろんな色がある。純白も清廉さがあるし、燃えるような赤も情熱的だし、ピンクがかった赤も上品で素敵だ。
 モニモンくんはいつもの顔はうしで、胴体は人型の全身白タイツでンキャンキャしている。
 僕は書いている看板を見ながら、 
「百種展示園と言うらしいけども、普通に百種以上あるらしいよ、今回は百二十種だってさ」
「すごいモニ! こんだけあったら一株もらってもいいはずだモニ!」
「ダメだよ、普通でもダメなのにこれ未来だから多分もっとダメだよ」
 今現在、この百種展示園には誰もいない。こんな満開なのに。何故なら未来だから、らしい。
 未来には動物がいなくて、植物や無機物しか存在していないらしい。よく分かんないけども。
 まあ人がいなければ写真撮りたい放題で、モニモンくんの格好とか異物感とか気にする必要無いんだけども、まあなんというか、お花の香りがしない。
 ハッキリ言ってしまえば、カレーの匂いがする。
 人がいないのに何故なのか、それはモニモンくんがこの地域で有名なお店から鶏の半身揚げを買ってきているからだ。
 どうやら時間飛行のワープには相当なカロリーを消費するらしく、事前に現代から鶏の半身揚げを買ってきて持ち込んでいるのだ。
 とは言え、
「モニモンくん、いつもの亜空間にしまいなよ。ずっとカレーの香りがするよ」
「でもこれ、カレーに似た香りであって、複雑なスパイスの香りだと思うんだモニ」
「香りの食リポからスタート、じゃぁないんだよ。絶対お花の香りを打ち消しているよ」
 するとモニモンくんは小首を傾げながら、
「お花も匂いがするモニの?」
「するよ、お花ってめっちゃ良い香りするよ」
「写真でしか知らなかったけども、良い香りするのかぁモニー」
 と言いながら、鶏の半身揚げが入ったパックを亜空間に直接しまった。巾着袋には入れていなかった。まあそんなことはどうでもいい。
「モニモンくん、お花の香りを楽しもうじゃないか」
「そうするモニー」
 僕はお花の真ん中で深呼吸すると、甘い香りが鼻腔をついた。
 なんという爽やかな甘い香り、金木犀ほど強いわけじゃないけども、こんなにいっぱいあればまあ香ることは当然のことで。
 品種によって香りの濃さには差があるみたいだ。とは言え、匂いソムリエとかでもないので、甘さの種類の差は感じられない。
 モニモンくんは楽しそうに小躍りしつつ、顔だけの、手のひらサイズになり、
「写真いっぱい撮ってモニー!」
 と叫んだ。
 まあ別にこれならぬい撮りみたいだし、そもそも今回は誰もいないし、本当にいっぱい写真を撮ってあげた。
 ちょっとした高台になっているところもあり、上から見ると壮観だ。本当、公園の遊具程度の高さになるだけの高台だけども。
 するとモニモンくんが、
「ここでとりかん食べるモニ」
 と言って、亜空間から鶏の半身揚げを取り出した。
 僕はふと、
「とりかん、最新版の桃鉄の物件にもなっていたね」
 僕とモニモンくんは勉強がてら、桃鉄2をする。
 だからこう言えば、すぐ伝わるもので、モニモンくんは頷きながら、
「そうだモニね、多分とりかんモニね。これから現代に戻っていくところの物件もあったモニね」
「そうだね、まあ商業施設のほうじゃなくて、園としてだけどね」
「ところで、桃鉄2にあったメロン畑とコシヒカリ水田ってどこのことだモニ?」
「メロン畑が木越で、コシヒカリ水田が村松のほうじゃないかな。ここと村松は結構前に合併して。こっちに水田のイメージ無いし。勿論あるはあるけども、東京のお店に卸しているとか美味しいってのは村松のほうだよ」
「さすがマヒロくんは詳しいモニね」
「なんせこの辺に住んでいるからね」
 と答えたところで、モニモンくんが、
「マヒロくんも一個食べるといいモニ」
「モニモンくんのカロリーのためじゃないの?」
「別に食べなくてもワープできるし、一緒に食べたほうが美味しいモニ」
 満面の笑みでそう言ったモニモンくん。
 一応こっちのことを好意的に想ってくれているようで有難い(と同時に食べなくてもワープできたんかいという思いは勿論ある)。
 僕はとりかんをひとかじりすると、すぐに衣のスパイシーな味と鶏肉のジューシーさをダイレクトに感じた。旨いが早い。たまにあるよね、旨いが早い食べ物。
 衣はパリパリだし、鶏肉が柔らかいし、本当に食べやすくて美味しい。
 僕とモニモンくんは食べ終えて、モニモンくんが出してくれた手拭きで手を拭いたところで、現代にワープして戻ってきた。
 まずは商業施設のほうじゃなくて、だだっ広い園のほうに来た。
 さっきのお花とは打って変わって、慎ましいという表現が合うだろう。勿論華麗なんだけども、豪華さは無い。庶民的なお花といったところだろうか。
 小学生が育てるようなお花というか、でもここは全部プロが育てているところだ。
 綺麗に大量に並んで、童謡どころの騒ぎじゃない。ズラッとここまでたくさん並んでいれば壮観というヤツだ。
 今日は曇り空で朝は雨が降っていたらしく、畝の底に水たまりができているけども、それが反射となって、これはこれで趣がある。
 するとモニモンくんがいぶかしげに、
「あんまりお花の匂いがしないモニ」
「そうだね、このお花はあんまりしないんだ」
「ちょっと残念モニ。こんなにいっぱいあるのにモニ。何でこんないっぱいあるモニ?」
「ここは商売用で球根を売るためだよ」
「球根を売るなんてすごいモニ、お花が商売モニね」
 そう嬉しそうに言ったモニモン。商売だと嬉しいんだ。
 モニモンくんとまた写真を撮って、最後の目的地である商業施設のほうへ行った。
 そこで人型モニモンくんを手招きして、
「ほら、こっちは綺麗に飾ったバージョンがある」
 と見せると、モニモンくんは目を輝かせながら、
「すごいモニ! 階段というか段々を作って飾ってあるモニ! こういうのも良いモニね!」
 喜んでもらえて嬉しい。なんせこの辺に住んでいる人間だから。ほぼほぼ地元がウケることは何か気分が良い。
 モニモンくんが「あっ」と言ってから、
「そう言えば、このお花は食べられるモニ?」
「食べられないよ、確かちょっと毒があるんじゃなかったかな。ちなみにさっきのお花も軽度の毒があるよ」
「ちょっとケチだモニ……」
 と肩を落としたモニモンくん。毒があるからケチ、毒が無いと大盤振る舞いとかじゃないよ。
「まあ中に入ればこの辺の特産品が売っているよ」
 僕とモニモンくんは中に入ると、子供がいっぱい走り回っていた。
 モニモンくんは子供を少し目で追ってから、
「施設内って走っていいモニ?」
「そんな老害みたいなこと言わないでよ、そもそも子供が遊べる場所が建物内にあるからこれくらい当然の風景だよ」
「モニモンは行かなくていいモニよ」
 勿論こんな全身白タイツの人型うしなんて連れて行かないよと思いつつ、お土産売り場にやって来た。
 基本は野菜だけども、加工品も多く取り揃いている。スペースはやや狭めだろうか。
 モニモンくんは物色しながら、
「この塚田牛乳のワッフルにするモニ」
 と微妙にここの特産品ではないものを選んで、ちょっとがっくししてしまった。
 とは言え、何か派手なお土産品が無いことも事実なので仕方無いか。
 塚田乳牛のワッフルにはうしの絵が描かれている。やっぱりうしのことが好きなことは好きらしい。
 モニモンくんは僕の分も買ってくれたところで、モニモンくんが、
「そう言えば、桃鉄にも載っていないオススメ品ってあるんだモニ?」
「やっぱり五泉市なら帛乙女かな、里芋なんだ」
「里芋は毒モニ?」
「毒のはずないじゃないか」
 と、この時はそう会話をして家に戻ったわけだけども、僕はふと家へ帰ってから調べると、里芋自体は毒性成分を含んでいるらしい。適切に下処理と加熱をすれば安全に食べられるという話だ。毒だったんかい。






・『答え発表』


問い1.ボタン
>通称ボタン園。
 満開の時期になると平日でも人が絶え間なくやって来る。ちなみに株も売っている。
 百花繚乱と言うと、こういう花びらが多くて大きくて広がっているお花に対して言うイメージがある。それか生け花。





問い2.チューリップ
>童謡とか割とヒントが多かったんじゃないでしょうか。今振り返ってみると、球根を売るとかもまんまですね。
 まあ百合の可能性もあるか。でもそこは童謡で。





問い3.ラポルテ五泉
>これはもう多分誰も答えられないと思います。絶対分からないだろうから最後ハッキリ五泉市って書きました。
 とは言え、五泉市の商業施設って普通のスーパー以外、ラポルテ五泉くらいしかないので、知っていれば知っている。
 クイズとは全てそういうものですが。グーグルマップの併用よろしくお願いします。





その他.
>とりかん美味しいんですよね、鶏重という揚げた鶏に甘じょっぱいタレが掛かっているほうもオススメ。
 喧嘩別れして、とりかんは二店舗ありますが(ほっかほっか亭現象)、私は『五泉名物とりかん』のほうでしか買いません。
 でもこういう味というのは好き好きなので、自分が好きなほうをチョイスしてみてください!