モニモンくんの旅行記


・【04 福島県を旅したよ!(1)】


問い1.モニモンくんは何を飲みながら観光している?
問い2.モニモンくんが買ったお土産は何?
問い3.ズバリここはどこ?

 空気が澄んでいるというより、少しだけ厳格な雰囲気があり、気が引き締まる思いだ。
 この場所はしっかり整備が行き届いていて、綺麗に緑が整っている。
 まあ『福島県と言ったらココ!』と言う声だってあるだろうし、観光地として当然なのかもしれない。
 ふとモニモンくんに目をやると、モニモンくんはもう普通に顔だけうしで、体は人型で歩いている。
 勿論、僕たちにギョッとする観光客もいるけども、そういう趣味の人かと受け入れられてしまう部分がある。これが多様性のある令和か、と勝手に感心してしまう。
 確かにカップルが二人とも着ぐるみを着て出掛けるみたいなニッチな趣味もあるらしいし、これくらいはもはや普通なのかもしれない。確かに見ようによっては、全身白タイツの子がうしのマスクを被っているようにも見える。
 逆にスマホでずっとカメラ回しているほうが自然なのかな、そんなことを考えていると、モニモンくんがこんなことを言い出した。
「この牛乳をお風呂いっぱいにして、飲みたいモニ」
「一旦お風呂に移す意味が無いよ、冷蔵庫で冷やそうよ。それなら」
「でもお風呂にいっぱいにしたほうが、屈んで飲めるモニ」
「屈んで飲むのの何がいいんだい」
 するとモニモンくんはハッとした顔をしてから、
「確かに、頭をさげると格下みたいだモニ。気付かなかったモニ。マヒロくんは意外と天性だモニ」
「天性単体では褒め言葉じゃないよ、天才とか、天性の才能とかだったら褒め言葉になるけども」
「それはさすがに自惚れだモニ」
 そう言ってゲハゲハ笑ったモニモンくん。笑い方が嫌過ぎる。
 そもそも僕が自分で言い出したわけじゃないし。
 でも強く言い返すことはしない。なんせ科学力に差があるから。ちょっとでも不機嫌にさせてしまったら、すぐにバコンだと思うから。怖過ぎて擬音でしか考えたくない。
 モニモンくんのワープを使って、まずは磐梯熱海駅近くの磐梯熱海物産館に行っていた。
 そこでまあこの飲み物が安売りになっていて、買い占めた。
 厳密にはモニモンくんがまず一本買って飲んで、すごく美味しかったので、全部買ったという形だ。
 これから歩いて観光するのに300mlの飲み物を十五本も買って大丈夫だろうかと思ったら、そこは科学力だった。
 モニモンくんがどこからともなく取り出した巾着袋にはいくらでもモノが入るし、その巾着袋もまたどこかへ消えていった。
 もう正直巾着袋なんてなくても、きっとその謎空間に出し入れできるんだと思う。モニモンくんはあの、モニモンくんの顔がついた巾着袋を僕に見せたかったんだと思う。そんな感じがする。
 そこからまたワープして目的地の現在の公園、公園というかまあここに着いたんだけども、モニモンくんは飲み物が無くなる度にどこからともなく取り出した巾着袋から、さらに飲み物を取り出す。
 あまりのペースに僕は心配になりながら、
「飲むペース早くない? 言うてもこういうところは歩くし、中に入れば階段だってあるんだから」
「大丈夫だモニ、モニモン胃は頑丈だモニ」
 もにもんい……あぁ、モニモン胃か、会話は活字じゃないから分かりづらい。
 とは言え、飲み物をがぶがぶ飲むのって、胃の問題かなとか思っていると、
「お土産屋さんがあるモニ」
 と言って、物色し始めた。
 いやでも、
「こういうお土産は、一番のメインを見てから帰りに買ったほうがいいんじゃないかな?」
「でもモニモンは車じゃなくてワープで帰るから、一番高いところに行ったら、そこからワープで帰りたいモニ」
「まあ確かに。そういう動線ならそれでいいけども」
 モニモンくんは赤べこに強い興味を示しているようだ。牛乳をいっぱい飲むし、やっぱりうしが好きなのかな?
 でもモニモンくんは首を横に振ると、赤べこを選ばずに、何でこんなもの選ぶのかなみたいなモノを選んだ。中学生か。
 僕は思わず、
「何で赤べこを買わなかったの?」
「だっていつか赤べこ発祥の地にも行きたいモニ、ここは同じ会津地方だけどもメインのところじゃないモニ」
「そういうことはもう調べがついているんだ。結構日本人はその辺ごっちゃになって、もはや福島イコールで赤べこと感じているくらいだけども」
「モニモンの旅行はそんな雑じゃないモニ」
 とプンスカしているわけだけども、
「だからってその棒を選ぶことはかなり雑だけども」
 と、つい口を挟むと、モニモンくんはムッとしながら、
「棒なんて雑な言い方しないでほしいモニ!」
 と声を荒らげた。
 家に帰ったらそんなモノ、棒中の棒、木の棒中学校一年生が家にこの棒を持って帰ってきたら、お母さんから呆れられるものだけどな。
 モニモンくんは飲み物を持ったままレジに行こうとしたので、さすがに僕が飲み物を一旦受け取って、モニモンくんはその棒を持ってレジへ行った。
 買ってこちらへ戻ってくると、またその棒を亜空間に収納したみたいだ。やっぱり巾着袋は無くてもいいんだ。
 ところで、
「飲み終わったカラを雑に亜空間に詰めているけども、リサイクルとかは大丈夫? ストローと紙パックは別々とかそういう概念は無いの?」
「紅茶味のほうに分別しているモニ」
「いやゴミの分別で内容の味は関係無いでしょ」
「あと、サンドウィッチマン伊達が好きなモノ、のほうに分別しているモニ」
「本当にいらない分別している。伊達さんが好きなのはカフェオレ味だし」
「きっと紅茶味も好きモニよ」
 結局リサイクルの話から、伊達さんの話になってしまった。
 本当にモニモンくんは周辺情報をよく知っている。
 そういうのも科学力でモニモンくんがたまに見る、パンフレットのようなモノに勝手に浮かび上がるらしい。
 とは言え、前回のこともあるし、芸能人やスポーツ選手の小さい情報が多くないか?
 僕とモニモンくんはメインのところへ向かって歩いていくわけだけども、一応松越しのソレなどの写真を撮っていく。
 やっぱり松越しはかなり風流だから。和の心というヤツだ。
 モニモンくんの写真も撮るわけだけども、何故か写真を撮る時だけはマスコット状の、手のひらサイズになって、僕に撮らせてくる。
 人型になったらもうずっと人型でいてほしいけども。この手のひらサイズから人型になるところを他の人に見られたくないから。
 もう言おうかと思って、
「モニモンくん、マスコットサイズから人型になる時が一番変だから、ずっと人型で写真撮らない?」
「嫌だモニ、人型はカッコ悪いモニ。モニモンのモニモンたる見た目はこの可愛い顔状態モニ」
 どうやら人型になっている時の姿が好きじゃないらしい。まあ全身白タイツみたいなのはカッコ悪いか。
 その時だった。モニモンくんが俯きがちに、
「というか、ちょっと、体のサイズを、変えたり、していたら、気持ち悪くなってきた……何でだろうか……」
 語尾にモニがついていない。つまりは本当に余裕が無い、または本気だ(本当だ)という証拠だ。
 でも、
「それは紅茶オレをいっぱい飲んだからでしょ、体のサイズを変えると胃のサイズも変わるんじゃないの?」
「そ、そうかも……もう帰ろうか……歩けないよ……」
「えぇ! 一番上まで行かないのっ?」
「どうせ……タワーのようには高くないよ……」
「そういうもんじゃないからね! 当時の人たちと同じ風景が見えるということがウリだから!」
「ワープすればカロリーも使うから、だいぶ良くなるよ……」
 ワープってモニモンくんのカロリーを使用するんだ、初耳だ。どういう科学力なんだろう。それじゃああくまでイメージだけども、魔法とかのほうが近そうだ。
 モニモンくんはうんと強く頷いてから、
「うん、ワープします」
 と言うと、いつの間にか僕とモニモンくんは僕の部屋にいた。


・『答え発表』


問い1.酪王紅茶オレ
>牛乳で、紙パックとストロー。
 サンドウィッチマンの伊達さんが好きな飲み物と言えば、酪王のモノ。
 実際に私が旅した時、磐梯熱海の物産館で紅茶オレが安くなっていて、いっぱい買いました。





問い2.木刀
>木の棒。お母さんが呆れると言っているから決して杖ではない。
 中学生が買うよく分からないお土産一位は木刀と相場が決まっている。





問い3.会津若松城
>松越しが風流が一番のヒントだろうか。
 あえて頂上という書き方はしなかったです。多分頂上でも合っているんだけども、そう言うと、山っぽさが出てしまうので。
 常に建物感があるように書くことにしました。





その他.
>モニモンくんはどうやら赤べこ発祥の地にも行く気らしいですね。
 最初、景色の描写で”荘厳”と書こうとして辞めました。荘厳はあまりにもお城過ぎるので。厳格に変えて、寺の可能性もあると思わせることにしたのですが、どうでしょうか。