・
・【02 初めにお読みください、物語の設定です】
・
「モニモンくんだモニ!」
モニモンくんというらしい。
明らかにうしの見た目だけども、顔しかない。
サイズも手のひらサイズで何か手作りのぬいぐるみみたい……否、中は綿も無く、平たくて、要はワッペンみたいな存在だ。
最初、中にマイクロチップが入っているオモチャが僕の部屋に投げ込まれたのかなと思って、開けていた窓から外を眺めたけども誰もいない。
というかここ二階だし、網戸もしていたし、投げ入れることは不可能だろう。
一般的な子供部屋には隠し通路も無いので、果たしてこのオモチャはどこからきたのかと思ったら、一発で理解した。
このモニモンくんはみるみるうちに大きくなり、顔から人間らしい体が生えてきて、僕と同じような体型の人間になったのだ。顔はうしのまま。胴体は全身白タイツ状態の何か良くないユーモア風。
明らかにこの世の科学力じゃないと悟った僕は観念して、その場で手を挙げた。
するとモニモンくんはこう言った。
「こっちの科学力にひれ伏せている場合じゃないモニ! 早くモニモンと旅行へ行くモニ!」
僕は震えながらも、
「もう訳が分からない……」
と言うと宙にプレゼン資料を浮かべて、僕に分かりやすく説明してくれた。
モニモンくんは宇宙人で旅行が大好き。理由は地球の娯楽を勉強するためで、宇宙人として侵略する気は一切無し。科学力の差は歴然で、侵略して得るモノは無く、必要なのはその娯楽力。というわけでのびのびと人間には生活してもらって、その娯楽を勉強したいというわけだった。
でも、と、
「僕はまだ高校生だから車の運転とかもできないよ」
するとモニモンくんが笑顔で、
「科学力で移動はどうとでもなるモニ!」
と言った。そう言えば、プレゼン資料での説明の時、語尾に”モニ”って付けていなかったな、そういうの変幻自在なほうなんだと思いながら、
「で、何で一緒に同行するガイドが僕なんだい?」
モニモンくんはまたプレゼン資料を浮かべて、
「君は帰宅部で暇で、かつ、旅行経験も豊富だからさ。君は高校生でも両親と一緒に旅行行くことを拒まないもんね」
やっぱり真面目に説明する時は”モニ”って言わないんだ、そういうTPOがあるんだ、と思いつつ、
「まあそうだけども」
「というわけでとりあえずは君が今まで行った場所でいいから、モニモンを旅行に連れて行ってほしいんだモニ!」
「……毎週末?」
「ううん! 毎日放課後にだモニ!」
僕は悩みかけたけども、すぐに考えることを辞めた。
何故なら科学力の差はこの時点で歴然としている。つまり僕に決定権なんてないことは明白だからだ。
だから聞きたいことは一つ。
「お金はどうするの?」
モニモンくんは何も無い空間から突然一万円札の束を出現させて、それを見せながら、
「いっぱい集めたモニー」
と言ったので、これはもう確定となった。
そう、モニモンくんと旅行してご相伴にあずかる、だ。
せっかく僕を選んだんだ、僕も楽しくやろうじゃないか。
高校は適当な友達とつるんでいるけども、みんな部活が忙しい、強豪校じゃないのにバカみたいだ。
放課後は確かに毎日暇なんだ、バイトなんて大人になればいくらでも働かないといけなくなるわけだから、今からする必要も無い。
「モニモンくん、よく僕を選んでくれた。一緒に毎日旅行へ行こうじゃないか」
「モニー! 物分かりと損得勘定一位の別役マヒロくん! これからよろしくね!」
あっ、そこまでデータ化されていたんだと思った。
やるじゃん、謎の資料。
・【02 初めにお読みください、物語の設定です】
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「モニモンくんだモニ!」
モニモンくんというらしい。
明らかにうしの見た目だけども、顔しかない。
サイズも手のひらサイズで何か手作りのぬいぐるみみたい……否、中は綿も無く、平たくて、要はワッペンみたいな存在だ。
最初、中にマイクロチップが入っているオモチャが僕の部屋に投げ込まれたのかなと思って、開けていた窓から外を眺めたけども誰もいない。
というかここ二階だし、網戸もしていたし、投げ入れることは不可能だろう。
一般的な子供部屋には隠し通路も無いので、果たしてこのオモチャはどこからきたのかと思ったら、一発で理解した。
このモニモンくんはみるみるうちに大きくなり、顔から人間らしい体が生えてきて、僕と同じような体型の人間になったのだ。顔はうしのまま。胴体は全身白タイツ状態の何か良くないユーモア風。
明らかにこの世の科学力じゃないと悟った僕は観念して、その場で手を挙げた。
するとモニモンくんはこう言った。
「こっちの科学力にひれ伏せている場合じゃないモニ! 早くモニモンと旅行へ行くモニ!」
僕は震えながらも、
「もう訳が分からない……」
と言うと宙にプレゼン資料を浮かべて、僕に分かりやすく説明してくれた。
モニモンくんは宇宙人で旅行が大好き。理由は地球の娯楽を勉強するためで、宇宙人として侵略する気は一切無し。科学力の差は歴然で、侵略して得るモノは無く、必要なのはその娯楽力。というわけでのびのびと人間には生活してもらって、その娯楽を勉強したいというわけだった。
でも、と、
「僕はまだ高校生だから車の運転とかもできないよ」
するとモニモンくんが笑顔で、
「科学力で移動はどうとでもなるモニ!」
と言った。そう言えば、プレゼン資料での説明の時、語尾に”モニ”って付けていなかったな、そういうの変幻自在なほうなんだと思いながら、
「で、何で一緒に同行するガイドが僕なんだい?」
モニモンくんはまたプレゼン資料を浮かべて、
「君は帰宅部で暇で、かつ、旅行経験も豊富だからさ。君は高校生でも両親と一緒に旅行行くことを拒まないもんね」
やっぱり真面目に説明する時は”モニ”って言わないんだ、そういうTPOがあるんだ、と思いつつ、
「まあそうだけども」
「というわけでとりあえずは君が今まで行った場所でいいから、モニモンを旅行に連れて行ってほしいんだモニ!」
「……毎週末?」
「ううん! 毎日放課後にだモニ!」
僕は悩みかけたけども、すぐに考えることを辞めた。
何故なら科学力の差はこの時点で歴然としている。つまり僕に決定権なんてないことは明白だからだ。
だから聞きたいことは一つ。
「お金はどうするの?」
モニモンくんは何も無い空間から突然一万円札の束を出現させて、それを見せながら、
「いっぱい集めたモニー」
と言ったので、これはもう確定となった。
そう、モニモンくんと旅行してご相伴にあずかる、だ。
せっかく僕を選んだんだ、僕も楽しくやろうじゃないか。
高校は適当な友達とつるんでいるけども、みんな部活が忙しい、強豪校じゃないのにバカみたいだ。
放課後は確かに毎日暇なんだ、バイトなんて大人になればいくらでも働かないといけなくなるわけだから、今からする必要も無い。
「モニモンくん、よく僕を選んでくれた。一緒に毎日旅行へ行こうじゃないか」
「モニー! 物分かりと損得勘定一位の別役マヒロくん! これからよろしくね!」
あっ、そこまでデータ化されていたんだと思った。
やるじゃん、謎の資料。



