モニモンくんの旅行記


・【13 新潟県を旅したよ!(3)】


問い1.道の駅いりひろせにいる金の女神像は何を持っている?
問い2.最終目的地はズバリどこ?
問い3.モニモンくんたちが最終目的地で食べたモノは何?

 今日は日曜日。
 午前中から動き出して、まずは道の駅いりひろせにワープした。
 木造の趣ある建物で、その向こうには湖があった。まずは道の駅いりひろせ内に入ることにした。
 お店屋さんの中はこじんまりとしているけども、商品はたくさん売られていて、入ってすぐの冷蔵庫には笹団子が売られていた。
「モニー、笹団子たまには良いモニ」
 確かに。笹団子というものは本当にたまには良いものだから。
 モニモンくんは笹団子を握りしめて、レジへ歩いていった。
 いつもの顔だけうしで、人型の全身白タイツ状態だ。
 日曜日ということもあり、小さな子供もいて、モニモンくんのことを指差しているわけだが、隣の大人がすぐに「めっ!」といった感じに指をさげさせていた。
 こんな田舎までこういった教育が施されているなんて、文明の高い国じゃないか。まあ都会から遊びに来た家族の可能性もあるけども。
 そんなモニモンくんが僕に向かって、
「一緒に食べるモニ!」
 と言うのが嬉しいような恥ずかしいような……喜ばしくてツラい、が一番正しい感情なのかもしれない。
 モニモンくんと外に出て、笹団子を食べている。
 モニモンくんは嬉しそうに、
「草餅というかこのヨモギの香りがたまらないモニ、ヨモギは薬草でもあって健康に良いんだモニ」
 こんな見た目なのに、ちゃんとした講釈を垂れている。こんな見た目なのに、だ。
 僕はうんうんと相槌を打っているけども、どこか別のグループですみたいな顔はしている。一緒に並んで座っているから意味無いだろうけども。
 早めに食べ終えた僕は一旦中に戻ってパンフレットを見た。どうやらこの湖は鏡ヶ池(かがみがいけ)と言うらしい。池だったんだ。
 というと入口前から見えている範囲分にしかなかったということか。ここが湖の先端ではなかったわけだ。
 モニモンくんは二個食べ終えて(大体笹団子というモノはヌンチャクみたいに三個くらい連なっている)一緒に池のほうへ行くことにした。
 そっちのほうはまだ観光客がまばらだからだ。池のほうへ歩いていくとすぐに目に入ってきたのが、金色の女性の像だった。
 モニモンくんは目を輝かせて、
「写真撮るモニ!」
 と言うと、手のひら状態になった。いつもこの姿で撮ってほしいとせがむのだ。
 まあこの状態はナンボあってもいいですからね、とミルクボーイ状態で撮ってあげると、すぐに人型の全身白タイツに戻って、心の中で舌打ちしてしまった。
 モニモンくんは小首を傾げながら、
「ところでこの像が持っている丸いモノ、団子モニか?」
「球体じゃないでしょ、平たい丸でしょ」
「じゃあ笹団子モニ?」
「笹団子はラグビーボール状でしょ。女性の像が笹団子見ながらポーズとっていないよ」
「モニモンは笹団子見ながらポーズとるモニ!」
「じゃあさっきの人型の時に、笹団子を食べている写真撮れば良かった?」
 するとモニモンくんはちょっとムッとしながら、
「絶対ダメだモニっ」
 と口を尖らせた。
 あの姿は一体何がダメなんだろうか。まあダメだけども。人間界的にダメなことは理解できるけども、宇宙人的にダメな理由は一体何なんだろうか。
 とは言え、詰めて機嫌が損なわれてしまったら、置き去りになる可能性は高いので、やめとく。この辺は最寄りの駅も見当たらないし。
 池の周りには顔ハメパネルもあり、蛙の口が穴になっていた。蛙の口の中に入りたい願望無いでしょ。
 田植えしている農家の顔ハメもあったけども、田植えしている農家になりたいかと言ったら、そこも微妙だ。
 何ならまだ美しい女性の像になりたいのは理解できるけども、それは無かった。それは無いんかい。
 僕とモニモンくんは今回の最終目的地に移動した。モニモンくんがグーグルマップで調べて、行きたかった場所らしい。
 さっきの道の駅いりひろせもかなり昔ながらといった建物だったけども、ここはもう古い長屋の一つみたいな趣がある。でもちゃんとしたお店屋さんらしい。
 店名はあんまり良い意味では使われない言葉が使われている。田舎の人のユーモアなのかもしれない。だとしたらなかなか良い。僕は心の中でウケている。
 するとモニモンくんがこのお店屋さんの看板を見ながら、
「ゲハゲハァ! こんな名前にしないモニー!」
 とゲハゲハ大ウケしていて、でも笑いたい気持ちも正直分かる。ねちっこいゲハゲハは一緒にいて本当に嫌だけども、その気持ちは分かる。
 まあ村と冠付いているので、本当に昔ながらの村というコンセプトなんだろうなぁ。好きという文字が付いている言葉の中で、一番悪口みたいな名前のお店屋さんだ。
 中に入ると、両脇の棚にたくさんの商品が並んでいる。そもそもこういうお店屋さんって、店の外にも野菜とか並んでいるけども、盗まれないのだろうか。
 真っ橙色のカボチャジャムというものが売っていて、パンパンに入っているのに激安だ。多分カボチャのペーストだろうから、こんな値段付けはダメでしょ。
 地元のおばあさんが作ったと思われる、可愛い手芸が売っていたり、奥の冷蔵庫では普通にしっかりとした製品の魚の加工品が売っていたりとバリエーションに富んでいる。
 モニモンくんが僕に、
「何か良いモノあったモニ?」
「カボチャジャムというかカボチャのペーストが気になったかな」
「じゃあそれにするモニ」
 モニモンくんはやたら僕の意見を尊重してくれるところがある。宇宙人としての余裕なんだろうか。地球人はそんなおおらかじゃない。
 少なくても、多少なりに信用はされているらしい。この距離感をキープしたいところだ。近過ぎて全身白タイツ状態と肩寄せ合うのは御免だから。
 レジに立ったモニモンくんが入り口の逆側を見ると、ワッと驚いた。
「外にも出れるモニ」
 外というかベランダみたいな感じで、僕が先にそちらへ行くと、下に線路が走っている。奥のほうを見ると、田んぼアートのように水田がなっていた。
 こういうのに既存のキャラクターがよく使われるけども、著作権とかどうなっているんだろうか、ちょっとだけ常に気になっている。
 モニモンくんはそんな声を出したくせに、ベランダには来なかった。
 それよりも奥長のお店屋さんの奥に目を向けている。何を見ているんだろうと思っていると、食事処のほうだった。
 僕がふと、
「注文がある前というか、食事処が開く前にかき揚げを揚げているって珍しいね」
「でもすぐに提供できるモニね」
「なんというか机上の空論みたいにも感じるけども」
「お店が開いたら、モニモンとマヒロくんも食べるモニ」
「そうしようか」
 モニモンくんと一緒に一旦外に出たところで、モニモンくんが急にゲハゲハ笑ったと思ったら、
「変なオブジェあるモニー!」
 と言って指を差した。いつの間にか買ったモノはもう亜空間に放り込んでいた。
 その指先を見ると、確かに米粒なのか何なのか、訳の分からないマシーンのオブジェが動いていた。
 二人でそっちへ駆け寄って、いろいろ文字を見たけども、特に何も分からなかった。
 でもモニモンくんは大層嬉しそうに、ゲハゲハと笑っていたので、まあそれでいいのだろう。それできっと本望なのだろう、このオブジェは。
 このお店屋さんにずっと漂っている田舎の良くないユーモアは食事処にもあった。
 モニモンくんが上機嫌そうに笑いながら、
「お店屋さんの名前が”げんたん”だモニー!」
「痛烈批判だね」
「げんたんってお米を減らすという意味だモニよね!」
「そうそう。だからそれの食事処なんだろうね」
 モニモンくんもよくこういうお店を見つけてくるなぁ、と感心しながら、その食事処で昼食を頂いた。
 かき揚げはどうせつゆに浸すので、揚げたてじゃなくても確かに美味しかった。そもそも全然サクサクだったし。






・『答え発表』


問い1.鏡
>鏡ヶ池だから鏡だったんです。平たい丸の形した鏡ってよくありますよね。
 それを”見ながら”ポーズをとっている、といったところもヒントでしょうか。





問い2.ものずき村
>かなり難しいというか、グーグルマップを併用しないと多分無理ですよね。
 とは言え、好きという文字が付く言葉の中で一番悪口っぽいは、結構ちゃんとヒントになっていると思うのですが、どうでしょうか。
 物好きって何か悪口っぽいんですよね、人に言われたら普通に悪口だし、自分で言っても自虐ネタにしか感じられないでしょう。





問い3.蕎麦(店名は”そば処げんたん”)
>かき揚げがあって、米ではない。
 田舎は小麦粉よりも蕎麦のほうが作っているイメージありますよね。というか、げんたんという店名、本当にメッセージ性あり過ぎる。





その他.
>本当に、二店(にみせ)しかないパートなんですけども、ものずき村は問題に出したかったので、この入広瀬パートも作りました。
 まあそば処げんたんは魚沼市ですが、入広瀬からも近いのでいいことにしてください。道の駅いりひろせからものずき村まで12キロです。
 なんとなく夏あたりをイメージに書いているので、カボチャジャムのタイミングでは微妙に違うかもですが、まあ買って美味しかったモノを書きたかったのでご了承ください。
 ちなみにそば処げんたんでは食べたことがありません。どこかへ遠出する時の通り道なんです……申し訳御座いません……。