【補足】
・台詞→〇〇(キャラ名)「……」
・心情台詞→〇〇(キャラ名)M「……」
・ナレーション→〇〇(キャラ名)N『』
・その他(手紙など)→〇〇(キャラ名)●●(手紙など)<>
それ以外はト書き、状況説明です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
登場人物
夜見・カミーラ・眞琴(17歳)…ヒロイン。外国人とのハーフ。エクソシスト。
白道絃(24歳)…ヒーロー。陰陽師。白道財閥の跡取り。
アッシュ…眞琴の使い魔。普段はコウモリの姿。モフモフ。
山本英里奈(17歳)…眞琴の親友。父親が外交官の帰国子女。
ダレン・クワトロ(17歳)…眞琴の友人。エクソシスト。大使館勤務の父親の都合で日本にいる。
ライアン・ラーテン…司祭。眞琴のエクソシストの師匠。
夜見香子(17歳)…ヴィラン。眞琴の従姉妹。陰陽師の卵。
夜見新太郎…ヴィラン。眞琴の伯父。陰陽師。
夜見多香子…ヴィラン。新太郎の妻、香子の母。陰陽師。
◇
・アバン。
絃が眞琴に顎クイをしている。近い距離で見つめ合う二人。
絃は微かに不敵な笑みを浮かべ、眞琴は少し目を見開いた驚きと困惑の表情。
絃
「お前の運命、俺が変えてやるよ」
「強制的にな」
眞琴N
『私の運命は、この男によって、本当に変えられることになる…』
◇
・朝。晴れ。
・高校の校舎の玄関辺り。通学する生徒たちでいっぱい。わいわい。がやがや。
眞琴も大勢の中に混じり教室に向かって歩いている。女生徒の中で一人だけ頭一つ高く、金髪に碧い瞳で非常に目立っている。
N
『夜見(ルビ:やみ)・カミーラ・眞琴(ルビ:まこと)』
不意に女生徒の囁き声が眞琴の耳に入る。
女生徒1
「来た、悪魔の子…」
眞琴が声のほうにちらりと視線を向けると、数人の女生徒たちが蔑む目で彼女を見ながらヒソヒソと話している。
彼女たちの中心には、従姉妹の香子が立っている。香子とその取り巻きたちはセーラー服の襟の胸元あたりにピンバッジを付けている。直径3センチくらいの六角形の黒い土台に、金色で五芒星が描かれたもの。
女生徒2
「見れば見るほど異様だわ」
女生徒1
「香子が可哀想。あんなのと従姉妹だなんて」
香子はわざとらしく肩をすくめながら困った顔をして、眞琴に聞こえるように言う。
香子
「ほんっと〜。一族の恥さらしだわぁ〜」
女生徒たちはクスクスと嘲笑う。
香子の顔から表情が消える。
香子
「死ねばいいのに」
N
『夜見香子(ルビ:やみかおるこ)』
眞琴は無視して、無表情のまま前を向いてスタスタと歩く。
英里奈
「眞琴〜! おっはよー!」
ダレン
「おはよう、カミーラ!」
眞琴は穏やかな表情になって二人に挨拶を返す。
眞琴
「おはよう」
英里奈は香子たちをきっと睨み付けながら言う。
英里奈
「気にすることないよ。今時ハーフなんて珍しくないから」
「鎖国時代かっつーの」
N
『山本英里奈(ルビ:やまもとえりな)』
ダレンが呆れ顔で言う。
ダレン
「そうそう。あいつら、眞琴が目立つから嫉妬してんだよ」
N
『ダレン・クワトロ』
眞琴
「陰陽師は純血を重んじるからね」
英里奈
「だる〜」
香子たちの襟元のバッジのアップ。キラリ。
眞琴N
『彼女たちは、陰陽道科という名の特別クラスの生徒』
『黄金に輝く五芒星は、特別な力を持つ者だけの特別な紋章だ』
悪霊、五芒星、装束姿の陰陽師たちのシルエット…みたいなイメージ図を背景にお願いします。
眞琴N
『科学では説明できない魑魅魍魎。それらは時として人間の生命を奪おうとする』
『そんな悪霊を祓うのが陰陽師の仕事だ』
少し離れた場所で「きゃあああぁっ!」と女生徒たちの黄色い声が上がる。
女生徒1
「見てっ! 白道様よ!」
女生徒2
「今日も素敵〜」
絃(※着物に羽織り姿)と、少し後ろに彼の秘書(※スーツ姿)が歩いている。
N
『白道絃(ルビ:はくどうげん)』
二人の周囲には、主に女生徒たちの人だかりができている。香子も「絃様〜♡」とその集団に加わる。
眞琴たちは少し離れた場所で、それを眺めている。
英里奈
「うわっ、すっごいイケメン!」
「誰!?」
ダレン
「ありゃ、白道家の跡取り息子だな」
英里奈
「白道って…白道財閥の?」
眞琴
「そう。陰陽師の名家でもあるわ」
「四大司家(ルビ:しだいつかさけ)って呼ばれている家門の一つよ」
英里奈
「へぇ〜」
四人の人影とそれぞれの家紋のイメージ図をお願いします。
眞琴N
『四大司家――白道(ルビ:はくどう)、黒曜(ルビ:こくよう)、日野(ルビ:ひの)、真夜(ルビ:まや)――の4つの家門は、国の結界を守護している超名家だ』
離れて突っ立っている眞琴と、絃にきゃあきゃあ言っている香子の対照的な様子。
眞琴N
『私たち夜見家は、真夜家の分家筋』
『陰陽師一族の者は全員が特別クラスに在籍する義務があるけど』
『異国の血が混じっている私は、入ることが許されていない』
眞琴は無感情でチラリと絃を見る。
眞琴M
「…ま、陰陽師なんかになるつもりもないけど」
眞琴と絃の目がバチリと合う。一瞬だけ見つめ合う二人。
眞琴&絃
「!」
眞琴は胸が高鳴り、不可解そうな顔をする。(※眞琴と絃の霊力の波長が合う…という設定の伏線です!)
眞琴M
「なに…? あの霊力は…」
ダレン
「二人とも、早く行こうぜ」
眞琴
「え、えぇ…」
英里奈
「イケメンもっと見たーい」
絃は去っていく眞琴の背中を見つめている。
絃M
「凄まじい霊力を感じたんだが…。気のせいか?」
◇
【眞琴回想】
・小学生の頃の眞琴。黒いワンピースを着ている。
・両親の墓(※キリスト教形式)の前。
・昼。雨が降りそうな天気。
眞琴は無表情で墓を見つめている。
眞琴N
『私が11歳のとき、両親が事故で死んだ』
新太郎、飛行機、日本の風景…のイメージ図をお願いします。
眞琴N
『母方の親族は誰もおらず、私は日本にいる伯父に引き取られた』
親族たちが、幼い眞琴を見てヒソヒソ悪口を言っているイメージ図をお願いします。
眞琴N
『陰陽師の強い力は濃い血に宿ると言われており、母が外国人の私は、汚れた血だと忌み嫌われた』
『私は、一族の恥だった』
◇
・夜見家の母屋の庭。
・夜。
・眞琴は薄汚れたワンピースを着ていて、外国にいた頃より痩せ細っている。
眞琴が多香子と香子から突き飛ばされて地面に倒れる。彼女の頬には平手打ちされた痕が残っている。
眞琴
「っ…」
多香子と香子は恐ろしい形相で、眞琴を見下ろしている。
多香子
「この盗人が!」
「屋敷には無断で入るなって言ったわよね?」
眞琴
「で、でも…。昨日から何も食べていなくて…」
多香子
「食事は小屋の前に置いているでしょう?」
「食べないのはお前の自己責任さ」
眞琴はぐっと唇を噛みしめる。
眞琴M
「嘘…。食事を置いても、すぐに番犬を放つくせに…」
バシャン!と眞琴の髪に泥水が派手にかかる。
眞琴
「きゃっ!」
バケツを持った香子がニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべながら言う。
香子
「その汚い髪も目障りだわぁ〜!」
「汚物はわたしたちの視界に入らないでちょうだいね?」
多香子と香子はくすくすと笑いながら母屋の屋敷に戻る。
泥水を頭から被って全身がドロドロの眞琴は、その場にへたりこんだまま涙を流す。
◇
・眞琴が住んでいる離れの物置小屋。古くてボロボロな掘っ立て小屋。
眞琴が汚れたまま中に入ると、アッシュが彼女の元へ飛んで来る。
アッシュ
「眞琴〜、おかえり〜!」
「裏山でビワ取ってきたぞ――って、どうしたその姿は!?」
眞琴は無表情のまま。
眞琴
「別に」
アッシュは「むきーっ!」と怒っている。
アッシュ
「またアイツらにやられたのか!?」
眞琴はタオルで髪の毛を拭いている。
眞琴
「いつものことよ」
アッシュ
「あんにゃろー! 許せねー!」
眞琴N
『この子はアッシュ。私の使い魔だ』
『外国で契約して、今も一緒にいてくれる』
眞琴はアッシュをぎゅっと抱きしめる。アッシュは「ビワ食えー!」と叫んでいる。
眞琴N
『ここでは辛いことばかりだけど、この子のおかげでなんとか生きている』
【回想終わり】
◇
・学校の放課後。
・生徒たちが帰る準備をしている。
英里奈は「むぅっ〜」と頬を膨らまして不満げな様子。
英里奈
「あーあ。もうイケメンいなくなっちゃったー」
「あの人、かっこよかったなぁ」
ダレン
「今日は特別クラスの視察だってよ。普通科なんかに寄り付かねぇって」
眞琴とダレンが揃って教室から出ようとしている。
英里奈
「二人は今日もバイト? 頑張ってね〜」
眞琴
「ありがと。また明日」
ダレン
「じゃあな〜」
◇
・郊外の住宅地。
・その前に眞琴とダレン。眞琴は黒い手袋と透明の保護ゴーグルを装着している。(※後の伏線なので必ず描写してください!)
・二人の少し後ろでカソック姿のライアンが聖書を片手に持ち、二人を見守っている。
眞琴は2本の光の短剣、ダレンは光の長剣で戦っている。苦戦しながらも、バッサバッサと悪霊たちを斬っている。
眞琴N
『私は陰陽師の父と、祓魔師(ルビ:エクソシスト)の母から霊力を引き継いだ』
『その力で祓魔師(ルビ:エクソシスト)のバイトを始めた』
『夜見家ではネグレクト状態に近く、学校用具以外は何も用意してくれないからだ』
眞琴N
『それに、私は高校を卒業したら屋敷を追い出される』
『それまでに少しでもお金を貯めておきたい』
悪霊たちが全て消える。
ライアン
「二人とも、お疲れ様。今回はなかなか強敵だったのに、見事だ」
N
『ライアン・ラーテン』
眞琴N
『ライアン先生は街の教会の司祭で』
『お腹を空かせていた幼い私に、よく食事を与えてくれた』
『祓魔師(ルビ:エクソシスト)の仕事に誘ってくれたのも先生だ』
眞琴は手袋とゴーグルを外しながら言う。
眞琴
「…先生、こんなに手強かったんだから、きちんと上に報酬を請求してくださいね」
ダレン
「全くだ。オレたち、ボランティアじゃねぇんだから」
ライアン
「いやいや。我々は困っている人々を助ける義務がある」
「奉仕の精神を忘れてはいけないよ」
眞琴はジト目でライアンを見て言う。
眞琴
「報酬の差額分は上層部が掠め取っていますよ」
眞琴N
『祓魔師(ルビ:エクソシスト)になるには、師の元で3年以上の実習を積まなければならない』
『そして師に認められたら、資格試験を受けることができる』
眞琴N
『私は特にやりたいこともないし』
『高校を卒業したら正式に祓魔師(ルビ:エクソシスト)になって、いぃ〜〜〜っぱい稼ぐつもり!』
突如、アッシュが眞琴の背中からにゅっと出てくる。
アッシュ
「奉仕だけじゃあメシが食えねーぞ!」
ダレン
「そうだ、そうだ!」
ライアン
「はっはっは。感謝されると胸が満たされるじゃないか」
アッシュ
「腹は満たされねーよ!」
アッシュが「こんにゃろー!」とライアンに両手をポカポカしている。
その時、不穏な気配を眞琴が察知して振り返る。
眞琴
「……?」
不意を突かれて、まだ残っていた悪霊が眞琴に襲いかかる。
ライアンとアッシュが同時に叫ぶ。
ライアン
「カミーラ君!」
アッシュ
「眞琴!」
眞琴の上に3メートルほどの悪霊が覆いかぶさろうとする。彼女は慌てて手袋とゴーグルを着けようとするが、悪霊の動きのほうが早い。
眞琴M
「不味い…! 間に合わ――」
絃
「滅!」
絃の放った光の柱が直線で悪霊へ向かって一瞬で焼き尽くす。
目を見張る眞琴たち。アッシュは慌ててライアンのカソックの中に入る。
眞琴M
「なんて力…」
「並の陰陽師を凌駕している」
絃はゆっくりと眞琴たちを見る。
絃
「規格外の霊力と、不穏な魔の気配を感じたんだが…」
「祓魔師(ルビ:エクソシスト)か…?」
眞琴の心臓が「ドクン、ドクン…」と強く鳴る。
眞琴
「……」
絃は眞琴の顔を正面から見て、少し目を見開く。(※眞琴の記憶には残っていませんが、二人は幼い頃に会ったことがあります)
絃
「お前は…」
絃M
「なんだ…。この胸のざわつきは…」
眞琴
「助けてくださってありがとうございます」
「先生、帰りましょう」
ライアン
「あ、あぁ…」
絃は踵を返す眞琴の手首を掴む。
絃
「待て」
眞琴が無言で振り返る。
絃
「お前は…夜見家門の者じゃないのか?」
「特別クラスにはいなかったが、どういうことだ? 所属は?」
眞琴は無言で掴まれた絃の手を強く弾き、睨み付けるように彼を見る。
眞琴
「失礼します」
眞琴たちはその場を離れる。ライアンだけが振り返って絃に会釈をする。
彼らが去ると、絃は楽しそうにニッと口の端を吊り上げる。
絃
「へぇ…?」
眞琴N
『この時、ずっと止まっていた私の時計の針が既に動き始めていたのだ』
『あの瞳に捕まってしまったばかりに…』
・台詞→〇〇(キャラ名)「……」
・心情台詞→〇〇(キャラ名)M「……」
・ナレーション→〇〇(キャラ名)N『』
・その他(手紙など)→〇〇(キャラ名)●●(手紙など)<>
それ以外はト書き、状況説明です。
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登場人物
夜見・カミーラ・眞琴(17歳)…ヒロイン。外国人とのハーフ。エクソシスト。
白道絃(24歳)…ヒーロー。陰陽師。白道財閥の跡取り。
アッシュ…眞琴の使い魔。普段はコウモリの姿。モフモフ。
山本英里奈(17歳)…眞琴の親友。父親が外交官の帰国子女。
ダレン・クワトロ(17歳)…眞琴の友人。エクソシスト。大使館勤務の父親の都合で日本にいる。
ライアン・ラーテン…司祭。眞琴のエクソシストの師匠。
夜見香子(17歳)…ヴィラン。眞琴の従姉妹。陰陽師の卵。
夜見新太郎…ヴィラン。眞琴の伯父。陰陽師。
夜見多香子…ヴィラン。新太郎の妻、香子の母。陰陽師。
◇
・アバン。
絃が眞琴に顎クイをしている。近い距離で見つめ合う二人。
絃は微かに不敵な笑みを浮かべ、眞琴は少し目を見開いた驚きと困惑の表情。
絃
「お前の運命、俺が変えてやるよ」
「強制的にな」
眞琴N
『私の運命は、この男によって、本当に変えられることになる…』
◇
・朝。晴れ。
・高校の校舎の玄関辺り。通学する生徒たちでいっぱい。わいわい。がやがや。
眞琴も大勢の中に混じり教室に向かって歩いている。女生徒の中で一人だけ頭一つ高く、金髪に碧い瞳で非常に目立っている。
N
『夜見(ルビ:やみ)・カミーラ・眞琴(ルビ:まこと)』
不意に女生徒の囁き声が眞琴の耳に入る。
女生徒1
「来た、悪魔の子…」
眞琴が声のほうにちらりと視線を向けると、数人の女生徒たちが蔑む目で彼女を見ながらヒソヒソと話している。
彼女たちの中心には、従姉妹の香子が立っている。香子とその取り巻きたちはセーラー服の襟の胸元あたりにピンバッジを付けている。直径3センチくらいの六角形の黒い土台に、金色で五芒星が描かれたもの。
女生徒2
「見れば見るほど異様だわ」
女生徒1
「香子が可哀想。あんなのと従姉妹だなんて」
香子はわざとらしく肩をすくめながら困った顔をして、眞琴に聞こえるように言う。
香子
「ほんっと〜。一族の恥さらしだわぁ〜」
女生徒たちはクスクスと嘲笑う。
香子の顔から表情が消える。
香子
「死ねばいいのに」
N
『夜見香子(ルビ:やみかおるこ)』
眞琴は無視して、無表情のまま前を向いてスタスタと歩く。
英里奈
「眞琴〜! おっはよー!」
ダレン
「おはよう、カミーラ!」
眞琴は穏やかな表情になって二人に挨拶を返す。
眞琴
「おはよう」
英里奈は香子たちをきっと睨み付けながら言う。
英里奈
「気にすることないよ。今時ハーフなんて珍しくないから」
「鎖国時代かっつーの」
N
『山本英里奈(ルビ:やまもとえりな)』
ダレンが呆れ顔で言う。
ダレン
「そうそう。あいつら、眞琴が目立つから嫉妬してんだよ」
N
『ダレン・クワトロ』
眞琴
「陰陽師は純血を重んじるからね」
英里奈
「だる〜」
香子たちの襟元のバッジのアップ。キラリ。
眞琴N
『彼女たちは、陰陽道科という名の特別クラスの生徒』
『黄金に輝く五芒星は、特別な力を持つ者だけの特別な紋章だ』
悪霊、五芒星、装束姿の陰陽師たちのシルエット…みたいなイメージ図を背景にお願いします。
眞琴N
『科学では説明できない魑魅魍魎。それらは時として人間の生命を奪おうとする』
『そんな悪霊を祓うのが陰陽師の仕事だ』
少し離れた場所で「きゃあああぁっ!」と女生徒たちの黄色い声が上がる。
女生徒1
「見てっ! 白道様よ!」
女生徒2
「今日も素敵〜」
絃(※着物に羽織り姿)と、少し後ろに彼の秘書(※スーツ姿)が歩いている。
N
『白道絃(ルビ:はくどうげん)』
二人の周囲には、主に女生徒たちの人だかりができている。香子も「絃様〜♡」とその集団に加わる。
眞琴たちは少し離れた場所で、それを眺めている。
英里奈
「うわっ、すっごいイケメン!」
「誰!?」
ダレン
「ありゃ、白道家の跡取り息子だな」
英里奈
「白道って…白道財閥の?」
眞琴
「そう。陰陽師の名家でもあるわ」
「四大司家(ルビ:しだいつかさけ)って呼ばれている家門の一つよ」
英里奈
「へぇ〜」
四人の人影とそれぞれの家紋のイメージ図をお願いします。
眞琴N
『四大司家――白道(ルビ:はくどう)、黒曜(ルビ:こくよう)、日野(ルビ:ひの)、真夜(ルビ:まや)――の4つの家門は、国の結界を守護している超名家だ』
離れて突っ立っている眞琴と、絃にきゃあきゃあ言っている香子の対照的な様子。
眞琴N
『私たち夜見家は、真夜家の分家筋』
『陰陽師一族の者は全員が特別クラスに在籍する義務があるけど』
『異国の血が混じっている私は、入ることが許されていない』
眞琴は無感情でチラリと絃を見る。
眞琴M
「…ま、陰陽師なんかになるつもりもないけど」
眞琴と絃の目がバチリと合う。一瞬だけ見つめ合う二人。
眞琴&絃
「!」
眞琴は胸が高鳴り、不可解そうな顔をする。(※眞琴と絃の霊力の波長が合う…という設定の伏線です!)
眞琴M
「なに…? あの霊力は…」
ダレン
「二人とも、早く行こうぜ」
眞琴
「え、えぇ…」
英里奈
「イケメンもっと見たーい」
絃は去っていく眞琴の背中を見つめている。
絃M
「凄まじい霊力を感じたんだが…。気のせいか?」
◇
【眞琴回想】
・小学生の頃の眞琴。黒いワンピースを着ている。
・両親の墓(※キリスト教形式)の前。
・昼。雨が降りそうな天気。
眞琴は無表情で墓を見つめている。
眞琴N
『私が11歳のとき、両親が事故で死んだ』
新太郎、飛行機、日本の風景…のイメージ図をお願いします。
眞琴N
『母方の親族は誰もおらず、私は日本にいる伯父に引き取られた』
親族たちが、幼い眞琴を見てヒソヒソ悪口を言っているイメージ図をお願いします。
眞琴N
『陰陽師の強い力は濃い血に宿ると言われており、母が外国人の私は、汚れた血だと忌み嫌われた』
『私は、一族の恥だった』
◇
・夜見家の母屋の庭。
・夜。
・眞琴は薄汚れたワンピースを着ていて、外国にいた頃より痩せ細っている。
眞琴が多香子と香子から突き飛ばされて地面に倒れる。彼女の頬には平手打ちされた痕が残っている。
眞琴
「っ…」
多香子と香子は恐ろしい形相で、眞琴を見下ろしている。
多香子
「この盗人が!」
「屋敷には無断で入るなって言ったわよね?」
眞琴
「で、でも…。昨日から何も食べていなくて…」
多香子
「食事は小屋の前に置いているでしょう?」
「食べないのはお前の自己責任さ」
眞琴はぐっと唇を噛みしめる。
眞琴M
「嘘…。食事を置いても、すぐに番犬を放つくせに…」
バシャン!と眞琴の髪に泥水が派手にかかる。
眞琴
「きゃっ!」
バケツを持った香子がニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべながら言う。
香子
「その汚い髪も目障りだわぁ〜!」
「汚物はわたしたちの視界に入らないでちょうだいね?」
多香子と香子はくすくすと笑いながら母屋の屋敷に戻る。
泥水を頭から被って全身がドロドロの眞琴は、その場にへたりこんだまま涙を流す。
◇
・眞琴が住んでいる離れの物置小屋。古くてボロボロな掘っ立て小屋。
眞琴が汚れたまま中に入ると、アッシュが彼女の元へ飛んで来る。
アッシュ
「眞琴〜、おかえり〜!」
「裏山でビワ取ってきたぞ――って、どうしたその姿は!?」
眞琴は無表情のまま。
眞琴
「別に」
アッシュは「むきーっ!」と怒っている。
アッシュ
「またアイツらにやられたのか!?」
眞琴はタオルで髪の毛を拭いている。
眞琴
「いつものことよ」
アッシュ
「あんにゃろー! 許せねー!」
眞琴N
『この子はアッシュ。私の使い魔だ』
『外国で契約して、今も一緒にいてくれる』
眞琴はアッシュをぎゅっと抱きしめる。アッシュは「ビワ食えー!」と叫んでいる。
眞琴N
『ここでは辛いことばかりだけど、この子のおかげでなんとか生きている』
【回想終わり】
◇
・学校の放課後。
・生徒たちが帰る準備をしている。
英里奈は「むぅっ〜」と頬を膨らまして不満げな様子。
英里奈
「あーあ。もうイケメンいなくなっちゃったー」
「あの人、かっこよかったなぁ」
ダレン
「今日は特別クラスの視察だってよ。普通科なんかに寄り付かねぇって」
眞琴とダレンが揃って教室から出ようとしている。
英里奈
「二人は今日もバイト? 頑張ってね〜」
眞琴
「ありがと。また明日」
ダレン
「じゃあな〜」
◇
・郊外の住宅地。
・その前に眞琴とダレン。眞琴は黒い手袋と透明の保護ゴーグルを装着している。(※後の伏線なので必ず描写してください!)
・二人の少し後ろでカソック姿のライアンが聖書を片手に持ち、二人を見守っている。
眞琴は2本の光の短剣、ダレンは光の長剣で戦っている。苦戦しながらも、バッサバッサと悪霊たちを斬っている。
眞琴N
『私は陰陽師の父と、祓魔師(ルビ:エクソシスト)の母から霊力を引き継いだ』
『その力で祓魔師(ルビ:エクソシスト)のバイトを始めた』
『夜見家ではネグレクト状態に近く、学校用具以外は何も用意してくれないからだ』
眞琴N
『それに、私は高校を卒業したら屋敷を追い出される』
『それまでに少しでもお金を貯めておきたい』
悪霊たちが全て消える。
ライアン
「二人とも、お疲れ様。今回はなかなか強敵だったのに、見事だ」
N
『ライアン・ラーテン』
眞琴N
『ライアン先生は街の教会の司祭で』
『お腹を空かせていた幼い私に、よく食事を与えてくれた』
『祓魔師(ルビ:エクソシスト)の仕事に誘ってくれたのも先生だ』
眞琴は手袋とゴーグルを外しながら言う。
眞琴
「…先生、こんなに手強かったんだから、きちんと上に報酬を請求してくださいね」
ダレン
「全くだ。オレたち、ボランティアじゃねぇんだから」
ライアン
「いやいや。我々は困っている人々を助ける義務がある」
「奉仕の精神を忘れてはいけないよ」
眞琴はジト目でライアンを見て言う。
眞琴
「報酬の差額分は上層部が掠め取っていますよ」
眞琴N
『祓魔師(ルビ:エクソシスト)になるには、師の元で3年以上の実習を積まなければならない』
『そして師に認められたら、資格試験を受けることができる』
眞琴N
『私は特にやりたいこともないし』
『高校を卒業したら正式に祓魔師(ルビ:エクソシスト)になって、いぃ〜〜〜っぱい稼ぐつもり!』
突如、アッシュが眞琴の背中からにゅっと出てくる。
アッシュ
「奉仕だけじゃあメシが食えねーぞ!」
ダレン
「そうだ、そうだ!」
ライアン
「はっはっは。感謝されると胸が満たされるじゃないか」
アッシュ
「腹は満たされねーよ!」
アッシュが「こんにゃろー!」とライアンに両手をポカポカしている。
その時、不穏な気配を眞琴が察知して振り返る。
眞琴
「……?」
不意を突かれて、まだ残っていた悪霊が眞琴に襲いかかる。
ライアンとアッシュが同時に叫ぶ。
ライアン
「カミーラ君!」
アッシュ
「眞琴!」
眞琴の上に3メートルほどの悪霊が覆いかぶさろうとする。彼女は慌てて手袋とゴーグルを着けようとするが、悪霊の動きのほうが早い。
眞琴M
「不味い…! 間に合わ――」
絃
「滅!」
絃の放った光の柱が直線で悪霊へ向かって一瞬で焼き尽くす。
目を見張る眞琴たち。アッシュは慌ててライアンのカソックの中に入る。
眞琴M
「なんて力…」
「並の陰陽師を凌駕している」
絃はゆっくりと眞琴たちを見る。
絃
「規格外の霊力と、不穏な魔の気配を感じたんだが…」
「祓魔師(ルビ:エクソシスト)か…?」
眞琴の心臓が「ドクン、ドクン…」と強く鳴る。
眞琴
「……」
絃は眞琴の顔を正面から見て、少し目を見開く。(※眞琴の記憶には残っていませんが、二人は幼い頃に会ったことがあります)
絃
「お前は…」
絃M
「なんだ…。この胸のざわつきは…」
眞琴
「助けてくださってありがとうございます」
「先生、帰りましょう」
ライアン
「あ、あぁ…」
絃は踵を返す眞琴の手首を掴む。
絃
「待て」
眞琴が無言で振り返る。
絃
「お前は…夜見家門の者じゃないのか?」
「特別クラスにはいなかったが、どういうことだ? 所属は?」
眞琴は無言で掴まれた絃の手を強く弾き、睨み付けるように彼を見る。
眞琴
「失礼します」
眞琴たちはその場を離れる。ライアンだけが振り返って絃に会釈をする。
彼らが去ると、絃は楽しそうにニッと口の端を吊り上げる。
絃
「へぇ…?」
眞琴N
『この時、ずっと止まっていた私の時計の針が既に動き始めていたのだ』
『あの瞳に捕まってしまったばかりに…』

