翌日も学校があるから当然通学。
彼の乗る駅が近付くにつれて心臓が暴れ始める。
とくんとくんが、どくんどくんに。
ドアが開いて、彼の姿を探したくなるのをぐっと堪える。
でもいつまで経っても彼は俺の前に来ない。
今日は休み…?と思って視線を車両内に走らせると、少し離れたドアの近くに見つけた。
どうしたんだろう、と思ったら、すぐそばに彼と同じ学校の女子生徒が立っていて、彼の腕に触れている。
「……」
なんだ、彼女いるんじゃん。
あんなにかっこいいんだから、いないわけがない。
俺はふたりから視線を逸らしてイヤホンを着ける。
なんだかさっきまでのそわそわとかどきどきとか、そういうのが一気に冷えて身体と心がカチンコチンになった。
ばかみたいって思った自分がおかしくて小さく息が漏れた。
『なんだ』ってなに?
なにか期待してた?
男子相手に?
俺も男なのに?
ちょっと話して楽しかっただけじゃん。
それでいい。
別に彼女がいた事で傷付いたりしてない。
俺の名前を呼ぶ声の響きが心地好かったなんて、思ってない。
◇◆◇
次の日、俺はいつもより二本前の電車に乗った。
彼の乗ってくる駅に着いても、当然彼は乗ってこない。
…なにやってるんだ。
もやもやが渦巻いて俺を真っ黒にするから、少しでも心の中の煙を出したくて息を吐き出す。
…こんなの、俺自身が認めてないだけじゃん。
認めたところでフラれるのが確定している気持ちなんて、そんなの苦し過ぎる。
イヤホンケースを出してイヤホンを着ける。
「……」
『またね』って言ったくせに、翌日には彼女と一緒に通学するとか、ほんと意地悪。
俺のひとつひとつの表情を見てはおかしそうに笑いを堪えてすごい失礼なやつだし、英語に特化した学校に通いながら英語が全然だめなんて言う嘘吐きヤローだし。
人のイヤホン片方勝手に取って、まるでそうするのが自然みたいに自分の耳に着けて俺と同じ音を共有するし…。
イヤホンからはいつもの洋楽が流れているはずなのに、右側のイヤホンからだけ彼の低く甘い声で『准』と囁く声が響き続ける。
視界が滲んできて、こんなのおかしいと口の中で呟く。
こんなのおかしいし、嫌だ。
彼の乗る駅が近付くにつれて心臓が暴れ始める。
とくんとくんが、どくんどくんに。
ドアが開いて、彼の姿を探したくなるのをぐっと堪える。
でもいつまで経っても彼は俺の前に来ない。
今日は休み…?と思って視線を車両内に走らせると、少し離れたドアの近くに見つけた。
どうしたんだろう、と思ったら、すぐそばに彼と同じ学校の女子生徒が立っていて、彼の腕に触れている。
「……」
なんだ、彼女いるんじゃん。
あんなにかっこいいんだから、いないわけがない。
俺はふたりから視線を逸らしてイヤホンを着ける。
なんだかさっきまでのそわそわとかどきどきとか、そういうのが一気に冷えて身体と心がカチンコチンになった。
ばかみたいって思った自分がおかしくて小さく息が漏れた。
『なんだ』ってなに?
なにか期待してた?
男子相手に?
俺も男なのに?
ちょっと話して楽しかっただけじゃん。
それでいい。
別に彼女がいた事で傷付いたりしてない。
俺の名前を呼ぶ声の響きが心地好かったなんて、思ってない。
◇◆◇
次の日、俺はいつもより二本前の電車に乗った。
彼の乗ってくる駅に着いても、当然彼は乗ってこない。
…なにやってるんだ。
もやもやが渦巻いて俺を真っ黒にするから、少しでも心の中の煙を出したくて息を吐き出す。
…こんなの、俺自身が認めてないだけじゃん。
認めたところでフラれるのが確定している気持ちなんて、そんなの苦し過ぎる。
イヤホンケースを出してイヤホンを着ける。
「……」
『またね』って言ったくせに、翌日には彼女と一緒に通学するとか、ほんと意地悪。
俺のひとつひとつの表情を見てはおかしそうに笑いを堪えてすごい失礼なやつだし、英語に特化した学校に通いながら英語が全然だめなんて言う嘘吐きヤローだし。
人のイヤホン片方勝手に取って、まるでそうするのが自然みたいに自分の耳に着けて俺と同じ音を共有するし…。
イヤホンからはいつもの洋楽が流れているはずなのに、右側のイヤホンからだけ彼の低く甘い声で『准』と囁く声が響き続ける。
視界が滲んできて、こんなのおかしいと口の中で呟く。
こんなのおかしいし、嫌だ。



