昨日の恥ずかしさがあってもまた今日も通学しなくてはいけない。
いつも通りの場所に座ってイヤホンを着ける。
少しどきどきするので深呼吸。
見てたの、バレてたんだ。
もしかして今までもバレてたのかな。
恥ずかしい…。
そんな事を思っていたら、あっと言う間に彼の乗ってくる駅に着いた。
彼もいつも通り乗ってきて俺の前に立つ。
それから俺を見てちょっと笑った。
寝ぐせでもついてるかと思って焦って髪を直すと、そうじゃないと彼は手を振る。
またスマホを出して、それから俺に見せる。
『顔赤い』
「!!」
どんどん顔が熱くなっていって、そんな俺の様子をおかしそうに見ている彼は、もしかしたらちょっと意地悪なのかもしれない。
声を上げて笑いたいけど電車の中だから我慢しているみたいに見える。
俺がちょっと拗ねた顔をして見せると、またスマホを操作して俺に見せる。
『ごめん』
俺もスマホを出してメモに入力して彼に見せる。
『許す』
彼はほっとした顔をする。
すると彼の乗った駅から二駅ほどで俺の隣に座っていた人が降りた。
彼はするりとそこに座り、俺が着けているイヤホンの右側を外して自分の右耳に着ける。
「洋楽聴いてるんだ?」
初めてちゃんと聞く声。
低くて、でもちょっと甘く耳に響く…なんて表現するのが正しいのかわからないけど、そんな感じの声。
「英語得意?」
「全然だめ。でも雰囲気が好きで聴いてる」
「そうなんだ」
まるでずっと友達だったみたいに言葉を交わす。
変な感じ。
ワンセットのイヤホンを分け合って使ってるのも変な感じだし、俺の隣に彼が座ってるのも変な感じがする。
なんだかくすぐったい。
顔を右に向けると、彼が微笑んで小声で言う。
「俺も英語全然だめ」
「嘘だぁ!」
つい声が大きくなってしまって慌てて口を手で押さえる。
彼はやっぱりおかしそうに笑いを堪えている。
意地悪だ…。
英語が全然だめなんて絶対うそだ。
だって彼の通う私立校は英語に特化している。
受験の時にそこも調べたから知ってる。
「ね、名前教えてよ」
「え?」
「名前」
「…吉谷准」
彼に聞かれてどきどきしながら自分の名前を口にする。
自分の名前を言うのにこんなに緊張したの初めてかも。
「准」
わ…。
俺の名前がすごく綺麗な名前みたいに響く。
小声で呼ばれてるのにはっきりくっきり聞こえる…不思議。
「って呼んでいい?」
「えっ…あ、うん…よろしくお願いします…」
「俺は」
「あ!」
もう俺の降りる駅に着く。
慌てて降りようとすると手を取られて彼が着けていたイヤホンの片方を握らされた。
「またね、准」
優しい微笑み。
とくんとくん、心臓が脈打つ。
こんなのまるで、恋みたいだ。
いつも通りの場所に座ってイヤホンを着ける。
少しどきどきするので深呼吸。
見てたの、バレてたんだ。
もしかして今までもバレてたのかな。
恥ずかしい…。
そんな事を思っていたら、あっと言う間に彼の乗ってくる駅に着いた。
彼もいつも通り乗ってきて俺の前に立つ。
それから俺を見てちょっと笑った。
寝ぐせでもついてるかと思って焦って髪を直すと、そうじゃないと彼は手を振る。
またスマホを出して、それから俺に見せる。
『顔赤い』
「!!」
どんどん顔が熱くなっていって、そんな俺の様子をおかしそうに見ている彼は、もしかしたらちょっと意地悪なのかもしれない。
声を上げて笑いたいけど電車の中だから我慢しているみたいに見える。
俺がちょっと拗ねた顔をして見せると、またスマホを操作して俺に見せる。
『ごめん』
俺もスマホを出してメモに入力して彼に見せる。
『許す』
彼はほっとした顔をする。
すると彼の乗った駅から二駅ほどで俺の隣に座っていた人が降りた。
彼はするりとそこに座り、俺が着けているイヤホンの右側を外して自分の右耳に着ける。
「洋楽聴いてるんだ?」
初めてちゃんと聞く声。
低くて、でもちょっと甘く耳に響く…なんて表現するのが正しいのかわからないけど、そんな感じの声。
「英語得意?」
「全然だめ。でも雰囲気が好きで聴いてる」
「そうなんだ」
まるでずっと友達だったみたいに言葉を交わす。
変な感じ。
ワンセットのイヤホンを分け合って使ってるのも変な感じだし、俺の隣に彼が座ってるのも変な感じがする。
なんだかくすぐったい。
顔を右に向けると、彼が微笑んで小声で言う。
「俺も英語全然だめ」
「嘘だぁ!」
つい声が大きくなってしまって慌てて口を手で押さえる。
彼はやっぱりおかしそうに笑いを堪えている。
意地悪だ…。
英語が全然だめなんて絶対うそだ。
だって彼の通う私立校は英語に特化している。
受験の時にそこも調べたから知ってる。
「ね、名前教えてよ」
「え?」
「名前」
「…吉谷准」
彼に聞かれてどきどきしながら自分の名前を口にする。
自分の名前を言うのにこんなに緊張したの初めてかも。
「准」
わ…。
俺の名前がすごく綺麗な名前みたいに響く。
小声で呼ばれてるのにはっきりくっきり聞こえる…不思議。
「って呼んでいい?」
「えっ…あ、うん…よろしくお願いします…」
「俺は」
「あ!」
もう俺の降りる駅に着く。
慌てて降りようとすると手を取られて彼が着けていたイヤホンの片方を握らされた。
「またね、准」
優しい微笑み。
とくんとくん、心臓が脈打つ。
こんなのまるで、恋みたいだ。



