いつもの通学の電車。
俺が座る場所は、四両目の三番ドアから乗ってすぐ右の一番端。
乗るのが始発駅だから俺はいつもそこに座る。
時間は少し早めでゆとりをもって乗れる時間帯。
だってこれから学校で色々詰め込まれるっていうのに、その前にぎゅうぎゅう詰めの電車で体力消耗するなんて絶対無理。
三十分早く乗るだけでだいぶゆったり乗れるし、乗り換えはないので一度座ってしまえば学校の最寄り駅まで座ったまま。
学校に着いてから机に突っ伏して寝ればいいんだし、楽に通学できるほうを俺は選んでいる。
そして十分ほど電車が走って、これもいつも通り、ひとりの男子高校生が乗ってきて俺の前に立つ。
俺の通う高校の五駅先にある私立高校の制服。
そこの生徒はかっこいい人や可愛い子が多いとみんなよく騒いでいるけど、彼もいつ見ても朝から爽やかなかっこいい男子。
彼が乗ってくる頃になると寝ぐせがついてないかチェックしてしまう。
地味な俺は見た目で張り合えないんだから、せめて身なりを整えるくらいはしないとという意識の表れだと思う。
ワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながらこっそり彼の顔を見上げる。
この角度から見てもすごくかっこいい。
彼は窓の外を見ている。
見れば見るほどかっこよくて、芸術品を愛でる人の気持ちがわかるなぁ…と毎日彼をこうやってこっそり見る度に思う。
綺麗なものって、ずっと見ていたくなる。
突然、彼がポケットからスマホを出してなにか操作し始めるので視線を逸らす。
メッセージでも送ってるのかなとか考えながら俺もなんとなくスマホを出す。
特になにもきていない。
スリープにしたところで目の前にスマホがすっと差し出された。
「?」
画面には。
『そんなに見つめないで。照れる』
メモアプリにそう入力されている。
かあっと顔が一気に熱くなった。
慌てて自分のスマホのメモを開く。
『ごめんなさい』
そう入力して彼に見せると、彼はふっと笑った。
笑うと可愛い。
心臓がとくん、と鳴って、その感覚に疑問符が浮かぶ。
ちょうど俺が降りる駅に着いてしまったので慌てて降りると、すれ違う時にイヤホンの向こうで『またね』と言われた。
心臓がおかしくなってしまったかと思った。
ホームで振り返ってみたら、彼は俺が降りて空いた場所に座らずに立ったまま俺を見ていた。
学校に着いてイヤホンをケースに戻した時に、声を掛けても聞こえないかもしれないから彼はスマホに入力して見せたんだ、と気付いた。
俺が座る場所は、四両目の三番ドアから乗ってすぐ右の一番端。
乗るのが始発駅だから俺はいつもそこに座る。
時間は少し早めでゆとりをもって乗れる時間帯。
だってこれから学校で色々詰め込まれるっていうのに、その前にぎゅうぎゅう詰めの電車で体力消耗するなんて絶対無理。
三十分早く乗るだけでだいぶゆったり乗れるし、乗り換えはないので一度座ってしまえば学校の最寄り駅まで座ったまま。
学校に着いてから机に突っ伏して寝ればいいんだし、楽に通学できるほうを俺は選んでいる。
そして十分ほど電車が走って、これもいつも通り、ひとりの男子高校生が乗ってきて俺の前に立つ。
俺の通う高校の五駅先にある私立高校の制服。
そこの生徒はかっこいい人や可愛い子が多いとみんなよく騒いでいるけど、彼もいつ見ても朝から爽やかなかっこいい男子。
彼が乗ってくる頃になると寝ぐせがついてないかチェックしてしまう。
地味な俺は見た目で張り合えないんだから、せめて身なりを整えるくらいはしないとという意識の表れだと思う。
ワイヤレスイヤホンで音楽を聴きながらこっそり彼の顔を見上げる。
この角度から見てもすごくかっこいい。
彼は窓の外を見ている。
見れば見るほどかっこよくて、芸術品を愛でる人の気持ちがわかるなぁ…と毎日彼をこうやってこっそり見る度に思う。
綺麗なものって、ずっと見ていたくなる。
突然、彼がポケットからスマホを出してなにか操作し始めるので視線を逸らす。
メッセージでも送ってるのかなとか考えながら俺もなんとなくスマホを出す。
特になにもきていない。
スリープにしたところで目の前にスマホがすっと差し出された。
「?」
画面には。
『そんなに見つめないで。照れる』
メモアプリにそう入力されている。
かあっと顔が一気に熱くなった。
慌てて自分のスマホのメモを開く。
『ごめんなさい』
そう入力して彼に見せると、彼はふっと笑った。
笑うと可愛い。
心臓がとくん、と鳴って、その感覚に疑問符が浮かぶ。
ちょうど俺が降りる駅に着いてしまったので慌てて降りると、すれ違う時にイヤホンの向こうで『またね』と言われた。
心臓がおかしくなってしまったかと思った。
ホームで振り返ってみたら、彼は俺が降りて空いた場所に座らずに立ったまま俺を見ていた。
学校に着いてイヤホンをケースに戻した時に、声を掛けても聞こえないかもしれないから彼はスマホに入力して見せたんだ、と気付いた。



