「確かにそんなニュースもありましたね。ここの料理長はプライドを持って仕事をしてるので大丈夫ですよ。先程の歓談の中で刺身が好きだって言ってませんでした?」
鯛のお刺身は出されてから時間が経つのに水々しい。礼儀とばかり箸で摘みあげ一口はふると、味がしない上に食感がゴムのようだ。
おそらく刺身は冷凍され解凍することを何度か繰り返している。個人的には寄生虫が死滅するから、生で出すより冷凍してからの刺身の方が安全だ。
しかし、ここは高級料亭で冷凍食材を出して良い場所ではない。その上、この刺身はどうせ食べられないことを見越しているのか、冷凍と解凍を繰り返し既に食べ物ではなくなっている。
「そう言いながら、あんたも今不味そうな顔をしていたぞ。料理長のプライドねぇ。そんな見えないもの信じてるなんて馬鹿だろ。霧吹きして新鮮に見せてるだけの可能性が高いのは明白だ」
眼前の男はかなり疑い深い性格のようだ。先程までつまらない男だと思ってたが少し興味が湧く。
時計を見ると夜の九時半。想い人であるライ君のガソリンスタンドのバイトは十時までだ。
節目でもある誕生日の今日中には彼の顔が見たい。
鯛のお刺身は出されてから時間が経つのに水々しい。礼儀とばかり箸で摘みあげ一口はふると、味がしない上に食感がゴムのようだ。
おそらく刺身は冷凍され解凍することを何度か繰り返している。個人的には寄生虫が死滅するから、生で出すより冷凍してからの刺身の方が安全だ。
しかし、ここは高級料亭で冷凍食材を出して良い場所ではない。その上、この刺身はどうせ食べられないことを見越しているのか、冷凍と解凍を繰り返し既に食べ物ではなくなっている。
「そう言いながら、あんたも今不味そうな顔をしていたぞ。料理長のプライドねぇ。そんな見えないもの信じてるなんて馬鹿だろ。霧吹きして新鮮に見せてるだけの可能性が高いのは明白だ」
眼前の男はかなり疑い深い性格のようだ。先程までつまらない男だと思ってたが少し興味が湧く。
時計を見ると夜の九時半。想い人であるライ君のガソリンスタンドのバイトは十時までだ。
節目でもある誕生日の今日中には彼の顔が見たい。
