しかしながら、涼波食品は危機を脱したどころか一時は該当のレトルト食品が品切れが続出する程バカ売れした。

涼波圭吾は、京極清一郎を「まるで魔法使いだ」と絶賛していた。涼波圭吾は彼に莫大な謝礼を払ったらしいが、有り余る会社の利益で十分回収できたらしい。莫大な報酬と引き換えに仕事を請け負う京極清一郎は弁護士界のブラックジャックとも言われていた。

京極清一郎が話し合い以外の圧力をかけた可能性を俺は感じていた。弱みを握って脅したとか、後ろ暗い事を平気でしそうな危険な香りが彼からはする。
経歴を見る限りびっくりするくらいのエリートなのに、鋭い目つきからは育ちの良さは感じない。

───涼波圭吾と京極清一郎は今も繋がっている。父は現在の契約が終了したら、涼波食品の顧問弁護士を依頼することも考えていると言っていた。

やっとの思いで辿り着いた真夏ちゃんの居場所に着いた時、俺は味わった事のない屈辱を感じた。

「お前、俺の女を馴れ馴れしく呼ぶな」

京極清一郎の言葉に思わず彼を睨みつける。
俺と真夏ちゃんを引き離そうとしている涼波圭吾が、ピュアな真夏ちゃんを拐かすように彼に依頼したのかもしれない。