誰も心から愛おしいと思えず、来るもの拒まず去るもの追わずで女と関係を持った。数なんて数えてないけれど、ちゃんと付き合ったと言える女も三人くらいはいる。
真夏ちゃんが現れて、俺は運命の相手と出会えていなかっただけだったと安心した。愛おしくて、ずっと彼女の事を考えてしまうくらい深い谷底に落ちるような恋をした。

臆病でやり方も分からなくて自分からは口説けなかったけれど、彼女も俺を深く好きでいてくれたから結ばれることができた。俺みたいな人間にとって、真夏ちゃんは奇跡の人だった。
秘書の間口を問い詰め、俺は真夏ちゃんの居場所に辿り着く。
そこで真夏ちゃんは、京極清一郎の女になっていた。